待受可能時間の比較機能が秀逸な「省電力ナビ」

2012年1月20日 06:00
(日沼諭史)

 新端末ということで、毎日ウキウキしながら使っている「DIGNO ISW11K」だが、実は購入前後から少し気になっていたのが、バッテリーの持ち。「DIGNO」のバッテリー容量は1220mAhで、以前レビューしていたXperia acroの1500mAhや、併用しているiPhone 4の1420mAhよりも少ないのだ。実際に丸一日使ったときの感覚としても、バッテリーの持ちがよくない、という印象は否めない。

 これは、「DIGNO」の高性能さが裏目に出ているところもありそう。「DIGNO」が搭載する有機ELディスプレイは、使用状況によっては一般的な液晶ディスプレイよりも消費電力が大きくなることが多いとされているし、高速データ通信規格のWiMAXやWi-Fiテザリング機能もバッテリー消費は激しい。したがって、そういったバッテリー消費の大きい機能は、必要に応じて手動でオン・オフを切り替えながら使うことになるのだが、絶対的なバッテリー容量はいかんともしがたい。可能な限りバッテリーの持続時間を延ばすための工夫を施したほうがよいだろう。

 携帯電話メーカー各社にとっても、このあたりは大きな課題なのだろうと思う。近頃は、消費電力の大きくなりがちなスマートフォンにおける節電対策として、独自の省電力機能を搭載する端末が増えてきている。「DIGNO」にも「省電力ナビ」という機能が用意されていて、待受可能時間を延ばすための設定を簡単に行えるようになっている。

 「省電力ナビ」の主な機能は、メーカーが推奨する省電力向けの端末設定になる“省電力モード”と、ユーザーが任意で設定する“カスタム省電力設定”の2パターンを切り替えること。端末設定の内容は、バックライトが消灯するまでの時間、画面の明るさ、Wi-FiやWiMAXのオン・オフ、ライブ壁紙の設定・非設定など計10種類。“省電力モード”では、これらの設定がほぼ最小限の使用にとどまっており、とりあえずこれに設定しておけばバッテリーを長持ちさせやすい状態にしておける。もっと機能を制限してもよい場合や、逆に自分にとって必要な機能を常にオンにしておきたいときは、“カスタム省電力設定”で1機能ずつ設定していけばOKだ。

 この「省電力ナビ」で秀逸なのは、現在と、“省電力モード”時、“カスタム省電力設定”時の3パターンの設定におけるそれぞれの待受可能時間の目安値を比較できるところ。「省電力ナビ」で設定可能な10種類の機能ごとに、各設定パターンにおける待受可能時間の目安値を並べて表示しつつ、その設定の仕方によってどのように待受可能時間が変化するのか、はっきりわかるようになっている。たとえば、「(Wi-Fiを)OFFにすると、待受け時間が約50分延びます」と表示されたりする。

「省電力ナビ」のアイコン設定違いによる待受可能時間の目安を横並びにして比較できる

 また、いわゆるタスク管理ツールである“アプリケーション管理”機能も備えていて、起動中のアプリを一覧し、必要があれば強制終了させることができる。アプリごとにCPUの占有度合いを把握できるため、バッテリーに負担の大きそうなアプリを個別に終了させることで節電を図る、といった活用方法が考えられる。

 Androidは設定箇所が多いために、どの機能がどういった影響を与えるのか理解しにくいことがある。特にスマートフォンを使い始めたばかりのユーザーにとっては、ほぼ一発でバッテリー消費を抑えられる「省電力ナビ」は心強いツールとなるだろう。ただし、「省電力ナビ」を使っておけば万事OK、というわけでもない。当然ながらユーザー自身の利用スタイルや時間帯、場所によって、使う機能・使わない機能は変わってくるし、その都度オン・オフを手動で切り替えていては使い勝手も悪くなる。設定すると無条件に機能のオン・オフが決まってしまう「省電力ナビ」では、こういったユーザーの置かれている場面や状況に応じたフレキシブルな設定は苦手だ。

 時間帯や場所などの条件によって機能のオン・オフを細かくコントロールできる外部アプリを利用する手もあるが、端末を開発しているメーカーならではのオリジナリティを発揮できる部分もあるはず。今後の「省電力ナビ」の進化に大いに期待したいところだ。

「省電力ナビ」の設定画面アプリごとのCPUの占有度合いがわかる“アプリケーション管理”機能も備える