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無線機の調達先ベンダー、キャリアごとの違いが鮮明に

 MCAは携帯基地局市場の動向調査を実施した。その結果、無線機の調達先ベンダーの傾向として「国内ベンダーが中心のNTTドコモ」「サムスン電子ジャパンの台頭が著しいKDDI(au)」「北欧ベンダー中心ながら中国ベンダーも加わるソフトバンク」と、3社の違いが鮮明となった。調査結果をもとに、無線機市場を俯瞰してみたい。

キャリアにおける無線機供給ベンダの色分けが明確になった2015年度

無線機市場規模推移と予測(2014~2019年度、単位:億円)(出典:MCA)

 2015年度は無線機市場において、キャリア各社の参入ベンダーの色分けが明確になった。国内ベンダーのNTTドコモ、アジアベンダのKDDI(au)、北欧ベンダーのソフトバンクといった形である。

 NTTドコモの場合、元々、NECや富士通といった国内ベンダーが強く、海外ベンダーが入り込む余地は少ない。パナソニック システムネットワークスを吸収したNokiaは例外的な存在といえるが、現在のところ、Nokiaは国内ベンダーに押されている。

 KDDI(au)では、Motorolaを吸収したNokiaが大きなシェアを獲得していたが、近年ではLTE展開でのピコセルでサムスン電子ジャパンが飛躍した。サムスン電子ジャパンは700MHz帯でも東名阪をおさえており、この勢いは当面、続きそうである。

 ソフトバンクは旧ソフトバンクモバイル時代にエリクソン・ジャパンとNokiaの2社がエリアを構築していた。旧ワイモバイルの統合により、新たに華為技術日本とZTEジャパンが加わったが、1.7GHz帯のみの展開にとどまるため、現在のところ、存在感は薄い。

 次に無線機ベンダーの動向をまとめてみたい。

NTTドコモでのシェアの維持がカギの国内ベンダー

 NECはKDDI(au)やソフトバンクにも供給実績はあるが、現在、その存在感はなく、富士通もNTTドコモのみへの供給にとどまっている。両社が無線機を供給しているNTTドコモは他キャリアに比べ、調達規模が大きいため、NTTドコモでのシェアの維持がカギといえる。

NokiaはNTTドコモとKDDI(au)でのシェア回復が重要

 Nokiaは大手3社に足がかりを持っているが、KDDI(au)で失速傾向にある。そのため、今後はNTTドコモやKDDI(au)でのシェア回復、ソフトバンクではシェア維持がカギになる。

KDDI(au)でのシェア拡大が課題のエリクソン・ジャパン

 エリクソン・ジャパンはソフトバンクで一定のシェアを持ちながら、KDDI(au)向け供給の拡大を図っている。今後はKDDI(au)でのシェアアップとソフトバンクでのシェア維持がカギといえる。

サムスン電子ジャパンはKDDIグループでのシェア固めがカギ

 サムスン電子ジャパンはUQコミュニケーションズを含めたKDDIグループでのシェア拡大が顕著になっている。今後はKDDI(au)やUQコミュニケーションズでのシェア固めがカギになる。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。