ケータイ用語の基礎知識

第710回:スピードモード/エクストラオプション/快適モード とは

 大手携帯電話会社の料金プランには、パケット通信の最大量があらかじめ定められ、その範囲内でなら定額という「データ定額」プランがあります。2015年現在、NTTドコモの「データSプラン」は2GBまで3500円で利用でき、auの「データ定額5」ならば5GBまで5000円で高速なデータ通信ができます。

 こうしたプランでは、データ通信量の上限に達した場合、速度制限が適用され、低速なデータ通信しかできなくなります。あるいは、追加料金を払って、もう少し多く、高速データ通信を利用することもできます。

 そうした“高速データ通信の追加”を設定する手段のひとつには、「その都度、ユーザーが操作せずとも、自動的にデータ容量が追加される、料金もその分、支払う」といったものがあります。こうした設定は、ドコモでは「スピードモード」、auでは「エクストラオプション」、ソフトバンクでは「快適モード」と呼ばれています。

 「スピードモード」「エクストラオプション」「快適モード」をONにしておくと、動画をたくさん観るなどして、大量のデータ通信を行っても、通信速度が遅くなることはありません。ただし、3日間で1GB以上通信した場合など、短期間での大容量通信への制限は回避できません。

 今回紹介する「スピードモード」「エクストラオプション」「快適モード」は、その挙動を理解した上で、ユーザー自身の意志で設定していれば、いつでも不自由なく高速通信が可能になる、というメリットがあります。一方で、「今月だけは自動設定、来月からは手動で」と考えていたのに、そう設定したこと忘れた、あるいは携帯電話契約時に設定していたことを忘れた、といった場合、ユーザーの想像を超えて高速通信を使い続けてしまい、想定外のデータ通信使用料が課せられることになるので注意が必要な設定でもあります。

 特にいずれの事業者のオプションも「無制限に使用量を追加する」設定が可能で、これにしているとデータ通信料金は使っただけ青天井で上がって行くことになります。過去に問題になった、大量のデータ通信に対しての多額の請求、いわゆる「パケ死」などと呼ばれる状態に、現在でもなり得るわけです。

 「スピードモード」「エクストラオプション」「快適モード」がどういった機能なのか、そしてこの種の設定がON/OFFのどちらかきちんと把握しておくことは大事なことです。一度、自分の契約の状態を確認しておくと良いでしょう。

新料金プランで1GBあたり1000円

 「スピードモード」「エクストラオプション」「快適モード」は、あらかじめ決めたデータ通信量を超えた場合、各社の新料金プランではおおよそ1GBにつき1000円(税抜、以下同)という設定になっています。一方、旧料金では2500円です。

 たとえば、ドコモの場合、月額3500円の「データSパック」では2GBまで利用可能で、そこに1GB分を追加すると、計4500円で3GBまで利用できることになります。自動的にどれくらいの容量を追加するかは、携帯会社によって違いがあります。たとえばドコモの「スピードモード」、ソフトバンクの「快適モード」では、1~10GBという単位、あるいは無制限のいずれかを選べます。

メッセージで勧誘も

 携帯電話事業者によっては、この追加容量のモードを設定していないで月のデータ使用量があらかじめ加入したプランの上限に近づいたり、超過した場合に、これらのオプションの加入を促すようなメッセージを端末に送る場合があります。そういったメッセージは「通常速度の戻す方法 快適モードに設定する http://~(以下URL)」といった内容で、設定ページへのリンクが貼られており、アクセスすると契約できます。

 事業者からのメッセージには、この契約を行うことで追加料金がかかること、また翌月以降もこの設定が続き、自動的に追加料金が発生することが、明示されていないケースがありますので、注意が必要です。

 一度利用したあと、これらの設定を外したい場合はサポートサイトから操作できるほか、各キャリアショップ店頭でも解除の手続きを行うことができます。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)