ケータイ用語の基礎知識
第708回:アクティベーションロック とは
(2015/5/20 13:09)
本来のユーザー以外による初期化などを防ぐ
アクティベーションロックは、iPhoneなどのiOS7以降を搭載する端末に組み込まれた機能で、持ち主である本来のユーザーではなく、他の人の手に端末が渡ってもその端末を使えなくする、という仕組みのことです。
iPhoneのアクティベーションロックでは、「端末を工場出荷状態になるようにデータ消去する」「『iPhoneを探す』機能をオフにする」「端末を再アクティベート」といった機能を使った場合、本来のユーザーのApple IDとパスワードの入力を求められるようになっています。
iOSでは、「iPhoneを探す」機能をオンにすると、インターネット上にあるiCloud上にApple IDと端末とのリンク情報を保管します。これによって、iPhone上のデータを消そうとしたときなどに、正当なユーザーによる行為なのかどうかを確認し、他人の悪用を防ぐのです。
日本のように安全な国では、あまりその危険を感じることはありませんが、iPhoneのようなスマートフォンは、持ち運びもしやすく、換金すればそれなりの値段がつくということで、盗難や強盗の被害にあいやすいものでもあります。
「データ消去」や「端末の再アクティベート」は、iPhone内のデータなどを消して、まっさらの工場出荷状態に戻すときに使われる機能です。本来のユーザーの許可がなければこれらの機能を使えない、という形にすることで、不正に入手されたiPhoneを中古市場などで売りさばくことが難しくなりました。
iOS 7がインストールされたiPhoneで、アクティベーションロックを有効にする方法は簡単です。iCloudの設定から「iPhoneを探す」をオンにするだけでこの機能を使うことができます。また、最新のiOS8ではこの機能がデフォルトで有効となっているため、たとえばiPhone 6やiPhone 6 Plusでは、自分のApple IDを入力しアクティベートした時点で、ユーザーの許可なく初期化などの操作はできなくなっています。
被害の拡大を食い止める
レース用の自動車、あるいはバイクなどには、押すと即座にエンジンを停止するスイッチがあります。事故の際、燃料漏れによる火災など、大きな被害につながることを防ぐための仕組みで、「キルスイッチ」と呼ばれます。
転じて、iOSにおけるアクティベーションロックのように、端末が盗難にあったり紛失してしまった場合、そこから初期化して他のユーザーの物にされたり、内部に記録されたデータを悪用されるといった被害を防ぐための仕組みのことも「キルスイッチ」と呼ぶことがあります。
iPhoneにおけるキルスイッチ的な仕組みとしては、アクティベーションロックのほかにも、端末の「紛失モード」もあります。これは、iPhoneの画面表示をロック画面と、持ち主の電話番号を記したメッセージにすることができるというもので、4桁のパスコードを入力しないとiPhoneは使えず、また、このメッセージがずっと画面に表示されることになります。
「紛失モード」は、あらかじめ「iPhoneを探す」を有効にしておけば、パソコンやiPadなどからiCloudの「iPhoneを探す」画面から「紛失モード」を有効にするという簡単な操作で利用が可能です。
なお、キルスイッチに該当する機能はiPhoneだけでなく、Androidスマートフォンにも存在します。Android2.3以降で採用されている「Androidデバイスマネージャー」がそれで、あらかじめ「Google設定」の「セキュリティ」にあるこの機能の「リモートでこの端末を探す」「リモートでのロックとデータ消去を許可する」を有効にしておくことで利用が可能です。
使える機能としては、遠隔操作で、自分の利用端末をロック、着信音を鳴らしたり、データを完全に消去してしまうことも可能です。使い方は、パソコンなどから「Androidデバイスマネージャー」のサイトを開き、遠隔操作したい端末を選んでから、メニューでこれらの機能を利用することができます。