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楽天モバイルの法人事業とAI実装の現在地、「Rakuten AI for Business」の新機能「リサーチ」「データ分析」やリリース予定のエージェント型AIを披露
2026年8月27日 00:00
楽天グループ最大級のビジネスイベント「Rakuten AI Optimism 2026」が2026年8月5日から7日まで開催された。Day2の6日には楽天モバイル 代表取締役 共同CEOの鈴木和洋氏が登壇し、「AI実装時代におけるDXの現在地 ~現場で進む企業変革への挑戦」と題して講演。楽天モバイルの法人事業を紹介したほか、AIの現場実装に取り組む企業の担当者2氏とパネルディスカッションを行った。
成長を続ける楽天モバイルの法人ビジネス
楽天モバイルが2023年に法人事業を開始してから約3年半。顧客企業は2万8000社を突破し幅広い規模・業界の法人企業が利用している。
この1年は楽天モバイルの通信回線だけでなく、顧客の課題を解決するソリューションサービスの提供にも注力。宿泊施設、飲食・小売業、医療・介護など様々な業種でDXパッケージの導入から運用まで支援している。
しかし、DXによってデジタル機器の導入は進んでも、現場の従業員がそれを使いこなすのに苦労し、却ってストレスを感じているケースもある。また、機器によって得たデータをうまく活用できていないといった課題もあるという。
それに対し鈴木氏は「AIを活用することで、現場で起きている課題・問題を解決できる」との見方を示した。
AI活用をサポートする「Rakuten AI for Business」、新機能も追加
とはいえ、日本企業における生成AIの利用率、実装は海外に比べて非常に遅れている。特に大企業に比べて中堅・中小企業でのAI活用が進んでいない。理由を探ると、現場にスキルやノウハウを持っている人がいないことや、昨今取り沙汰されているAIを使うことによるリスクを問題視する声が多いという。
鈴木氏はそれらの解決策として「Rakuten AI for Business」を改めて推奨した。
「Rakuten AI for Business」では、提供するツールごとにそれぞれ異なるLLMが組み込まれており、ユーザーは目的に応じてモデルを利用できるのが特徴だ。「現場に導入したらすぐ使えるAI」を目指し、実装する際に企業側の負担を減らす仕組みも用意している。
また、新たにAnthropic社のClaudeを活用した2つの新機能「リサーチ機能」と「データ分析機能」が追加された。
データ分析機能は、売上や収支、商品の販売データなどのアップロードしたデータをAIが分析・可視化する。売上傾向の分析や受注予測、コストの試算などに活用が可能。また、顧客のアンケートや問い合わせログを分析することで、課題や改善のヒントを見つけることができる。
リサーチ機能は、調べたいテーマやデータを入力すると、AIが関連情報を収集・整理し、レポート形式で出力してくれる。競合サービスとの比較や料金プランの見直し、技術動向、新規事業のアイデア探索、論文・資料レビューなど、非常に幅広く対応。作成したレポートはWordやPDF形式でエクスポートでき、社内検討や資料作成に活用できる。
鈴木氏は「スタッフに頼むと1週間ぐらいかかっていた仕事が、これに頼むと明日ぐらいまでにやってくれるイメージ。企業の意思決定を強力にサポートできる」と自信を見せた。
また、近日リリース予定のエージェント型AI「Rakuten AI for Business Workforce」も紹介された。これは手持ちの社内ドキュメントやデータをアップロードすることで、AIが自律的に情報を抽出・整理しタスクを完遂する。鈴木氏は「社員全員が自分の補佐や部下を持てる時代になる」と表現していた。
「Rakuten AI for Business Workforce」は、展示ブースの担当者によると「一問一答のAIではなく、PowerPointやExcelをAIが自律的に作ることを目指した」という。「楽天モバイルの料金プランを表にしてください」と指示すると、最適なLLMを自動的に選択して、回答をテキストではなくExcelで出してくれる。「スキル」機能もあり、プロンプトだけでなく生成するまでの手順すべてをスキルとして記憶させることも可能。年内のリリースを目指しているとのことだ。
AIの現場実装をテーマにパネルディスカッション
講演後半は、葵会グループ 統括本部 DX戦略部長 田島聖士氏と木下グループ 常務取締役 兼 木下の賃貸 代表取締役社長 尾﨑浩司氏を交えて、「現場が“使いたくなる”AI導入の仕掛け」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
全国で病院や介護施設、教育機関などを展開する医療・福祉グループの葵会グループ。田島氏は歯科口腔外科の医師として患者を診ながら葵会グループ全体のDX戦略部長を兼務している。田島氏は、人材を求めても集まらないという医療業界の問題を指摘した。2040年には医療従事者の需給ギャップが約96万人に達すると推定されており、少子化が続く限り供給側の回復は見込めない状況だ。現場の業務負荷は深刻で、持続可能な医療提供のみならず、病院自体の存続が難しくなると危惧する。
木下グループの中核企業で不動産事業を展開している木下の賃貸の代表取締役社長 尾﨑氏は、都市部では建築費や管理費の高騰が収益を圧迫する一方で現場は深刻な人材不足に陥っていると語る。ベテランが退職すればノウハウも一緒に消えてしまうという属人化の問題があるほか、紙、印鑑、ファクシミリの文化が根強く残っており、法令や制度も遅れていると指摘した。
このような課題に取り組むべく導入されるDXやAIだが、実装時には苦労もある。医療業界は個人情報やセキュリティにセンシティブで、厳しいガイドラインや法令に準拠しなければならない。不動産業界では、紙や電話で回っていた業務が変わることに対する抵抗感が根強くあるため、ツールを導入しても使われないことが多い。
葵会、木下の賃貸とも、楽天モバイルのDXソリューションを導入している。葵会ではDXのインフラ基盤を整備するため、高速ネットワークを整備し、院内のモバイル環境を構築した。今後、グループ内の134施設に横展開する予定だ。
「葵会の1つの病院で、院内のPHSを楽天モバイルさんのスマホ約600台に移行しました。スマホは医療DXの入り口と捉えており、電子カルテの閲覧や入力、チャットによりリアルタイムで情報共有できます。そのため不要な会議や紙でのやり取りが大幅に削減されています」(田島氏)
一方、木下の賃貸は「Rakuten AI for Business」を活用して社内FAQのチャットボットを作成した。尾﨑氏によると、業務の進め方やノウハウが個人に依存していることが長年の課題だった。ただ、それがAIを導入すれば解決するという単純なものではない。
「AIを活用するには、土台となるマニュアル、社内情報を整理する必要があります。それを社員が通常業務と並行して進めるには、どうしても難しさがありました。楽天モバイルさんに相談したところ、マニュアルの作成や情報整理の段階から支援していただくことになったのが(AI導入の)きっかけです」(尾﨑氏)
鈴木氏は、トップダウンでAIを導入しても実装にばかり集中し、「AIは手段のはずなのに、それがいつのまにか目的になってしまう」問題を指摘。そうならないためには「業務をちゃんと見直すことが重要。業務を見直し、標準化した上でAIを実装していくという順番が大切」だと語った。
導入後にAIを現場に定着させるために、田島氏は「現場にAIを使う理由を作ること」が重要だとした。そのために「実際にAIに触れて、成果を実感できるタッチポイント」をできるだけ多く作る取り組みを、楽天モバイルをはじめとするAI企業に期待していた。
尾﨑氏も田島氏の意見に同意。その上で「今回(社内FAQのチャットボット)の取り組みでは、AIに詳しい一部の社員だけでなく、現場で働いている一般社員がマニュアルの作成段階から関わっています。それにより『これなら使える』という実感を積み重ねていくことが非常に大切」だったと語っていた。
これからAIの導入、実装を始める企業に向けては、「まずAIに触ってみる。AI時代に何ができるかを知って、どこから手をつけるべきかを見える化すべき。マネジメント層が積極的にAIを触ることで、組織全体にポジティブな影響が広がっていく」(田島氏)、「どれだけ時代が変わっても、最後に価値を届けるのは人。テクノロジーは人に代わるものではなく、人の力を何倍にもする存在。人への投資を惜しまない会社が、これからの時代を作っていく」(尾﨑氏)とアドバイスしていた。
「エキシビション」では業界別に多彩なソリューションを展示
楽天モバイルの法人向けサービスを紹介するブースでは、「Rakuten AI for Business」以外にも様々なソリューションサービスを見ることができた。主なものを紹介しよう。
楽天モバイルは、通信回線と上記のようなAIを活用した幅広いソリューションサービスを組み合わせ、企業のAI含むDXサポートを進めている。













