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リユーススマートフォンを賢く使うために知っておきたいこと

 最新機種の価格が高騰する中、スマートフォン購入の選択肢のひとつとして、ますます注目度が高まっているリユーススマートフォン。

 リユースといっても専門店であれば、買取の際の徹底したチェックと、端末の状態の詳しい情報開示に加え、補償サービスなども用意されていて、安心して購入することが可能だ。

 一方でリユースだけに限らず、利用するキャリア以外からスマートフォンを購入する場合には、いくつか注意すべき点もある。以下にポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。

注意ポイント1:利用できるSIMカードの種類とeSIM対応の有無

 スマートフォンは各キャリアが発行する、電話番号などの情報が書き込まれたSIMカードを挿入することで、モバイルネットワークを使った通信や通話が可能になる。

 今発行されているSIMカードのほとんどは「nano SIM」と呼ばれるサイズだが、古いスマートフォンや携帯電話では「micro SIM」と呼ばれるひとまわり大きいサイズが採用されていた。

 自分が購入予定のスマートフォンの対応サイズと、利用したいキャリアのSIMカードのサイズが合わない場合は、アダプターの使用やカードの交換が必要になる。

 最近は大手キャリアを中心に、SIMカードの情報を物理カードを使用せずに、直接スマートフォンに記録できる「eSIM」への対応も進んでいる。

 物理的なカードを発行、送付する時間や、カードを挿入する手間が省けるため、サービスに申し込んだらすぐに使い始められるのがメリット。

 ただしeSIMを利用するには、対応するスマートフォンが必要になる。たとえばiPhoneなら、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降の機種がeSIMに対応。利用したい場合は、対応スマートフォンを選ぼう。

現在はほとんどのスマートフォンがnano SIMを採用しているが、以前はひとまわり大きいmicro SIMが使用されていた
SIMフリーモデルなど機種によっては、nano SIMカードを2枚挿入でき、2つの電話番号で同時に待ち受けができるものもある

注意ポイント2:キャリアの周波数とスマートフォンの対応周波数が合っているか

 ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの各キャリアでは、サービスごとに使用している電波の周波数帯が少しずつ異なる。ドコモ、au、ソフトバンクの設備を借りてサービスを提供している、格安スマホことMVNOも同じ。

 複数のキャリアと提携したサービスを展開するMVNOでは、キャリアごとのプランによって周波数帯が異なることになる。たとえばドコモの設備を借りて提供されているプランを利用する場合は、ドコモの使用する周波数帯につながるスマートフォンが必要だ。

 利用したいキャリアやプランで使用可能な周波数帯と、スマートフォンの対応周波数帯がミスマッチだと、最悪の場合はつながらないこともある。

 実際には各キャリアとも複数の周波数帯を使用しているため、その一部にでも対応していればつながるのだが、場所によってつながりにくかったり、通信が不安定になる。または複数の周波数帯をあわせて高速化するしくみが利用できず、速度が出ないといったことが起こる。

 動画やゲームが快適に楽しめないだけでなく、レジ前でポイントカードやQRコード決済が表示されないなんていうトラブルの元にもなるため、スマートフォン購入前には必ずチェックすべきポイントだ。

 iPhoneシリーズのようにどのキャリアで購入した端末でも、カバーする対応周波数帯が同じというケースもあるが、同じメーカーの同じ機種でも、発売元のキャリアに合わせて対応する周波数帯が違っているケースも少なくない。また、海外向けのモデルなど、国によってカバーしている周波数帯が異なる場合もある。

 なお総務省がまとめている、日本の各キャリアの使用周波数帯は次の通りだ。

各キャリアの使用周波数帯(3G)
800MHz帯
バンドクラス0
800MHz帯
バンドVI/XIX
900MHz帯
バンドVIII
2.0GHz帯
バンドクラス6
2.0GHz帯
バンドI
NTTドコモ---
KDDI/沖縄セルラー(au)---
ソフトバンク(ワイモバイル含む)---
各キャリアの使用周波数帯(4G)
700MHz帯
バンド28
800MHz帯
バンド18/26
800MHz帯
バンド19/26
900MHz帯
バンド8
1.5GHz帯
バンド11
1.5GHz帯
バンド21
1.7GHz帯
バンド3
2.0GHz帯
バンド1
3.5GHz帯
バンド42
NTTドコモ---
KDDI/沖縄セルラー(au)---
ソフトバンク(ワイモバイル含む)---
楽天モバイル--------
各キャリアの使用周波数帯(5G)
3.7GHz帯
n77
3.7GHz帯
n78
4.5GHz帯
n79
28GHz帯
n257
NTTドコモ--
KDDI/沖縄セルラー(au)--
ソフトバンク(ワイモバイル含む)---

 周波数帯はこのようにバンドで表記されることが多い。各スマートフォンがどのバンドに対応しているかは、残念ながらキャリアが配布しているカタログやホームページには記載されていないことが多く、別途メーカーのホームページなどで自分で調べる必要がある。

 ただし前述のように、同じ機種でもSIMフリーモデルとキャリアモデルで、対応するバンドが異なるケースもあるので注意が必要だ。

注意ポイント3:キャリア販売の端末の場合、SIMロックは解除されているか

 キャリアで発売されていたリユーススマートフォンを購入する場合、もうひとつ注意したいポイントがSIMロック解除がされているかどうかだ。

 SIMロックとは、販売元のキャリア以外のサービスが利用できないよう、スマートフォンにロックがかけられた状態のこと。

 たとえばiPhoneは前述のようにどのキャリアの周波数帯もカバーしているので、機能的にはどのキャリアでも使えるが、SIMロックがかかっている場合は他のキャリアのSIMカードを挿入してもつながらない。

 SIMロックは2021年10月1日以降はすべての端末で撤廃されているが、それ以前に販売されていた端末にはロックがかかっているものもある。

 たとえば、数多くのリユーススマートフォンを取り扱う専門店のじゃんぱらでは、最初からSIMロックのかかっていない端末に「SIMフリー」、SIMロックがかかっていたがすでに解除されている端末には「SIMロック解除済み」、SIMロックされたままの端末を「SIMロックあり」と記載して違いがわかるようにしている。

じゃんぱらの店頭では、キャリア販売モデルにはキャリア名を明記。SIMロックが解除されたものには「SIMロック解除済み」とわかりやすく記載されている

 「SIMロックあり」の端末は、ロックを解除しない限り他のキャリアでは利用できない。たとえばauのロックがかかったスマートフォンは、auのサービスでしか使えないといった具合だ。

 ただし例外もあって、ドコモのSIMロックがかかったスマートフォンは、ドコモのほか、ドコモと提携するMVNOのプランでもそのまま利用できる。

 また、ロックがかかっている場合も、2015年4月23日以降に発売されたスマートフォンであれば、販売元のキャリアのIDを発行、登録する手間はあるものの、オンラインからの手続きで原則無料でロック解除することができる。

 なお、SIMカードや対応周波数帯のミスマッチがなく、SIMロックがされていないスマートフォンであっても、利用時にAPNと呼ばれる設定をしないと、つながらないケースもある。

 利用するキャリアの案内に従って手続きすれば決して難しくはないが、上記の注意ポイントとあわせて、追加設定が必要なケースがあることも覚えておきたい。