レビュー

「TORQUE G02」ファーストインプレッション

「TORQUE G02」ファーストインプレッション

海も山も楽しむ王道のタフネスモデル

 auの夏モデルとして16日に発売となる「TORQUE G02」は、過酷な環境に耐えられるタフネスモデルだ。前モデルTORQUE G01よりさらに耐久性能が向上し、VoLTE対応など機能面での進化も果たした(詳細は夏モデル発表会時の記事を参照)。

「TORQUE G02」

 TORQUEシリーズがauから登場する前、auのタフネスモデルと言えばNECカシオ(カシオ、カシオ日立)の「G'zOne」だった。同社のスマートフォン製造からの撤退の後、KDDIが白羽の矢を立てたのが京セラだった。

 前モデルTORQUE G01は、京セラがアメリカで提供していたTORQUEシリーズのモデルをau向けにカスタマイズしたものだった。今回のTORQUE G02は、KDDIが開発当初からサポートし、G'zOneで培った知見を投入したモデルだ。

 スマートフォンとして世界初の耐海水性能を持ち、海でも山でも使える端末になっているという。本誌では、発売に先駆けて、TORQUE G02のレッドモデルを触れる機会を得た。ファーストインプレッションという形で、外観や操作感をお伝えしたい。

デザイン

 外観を一目見ただけで「タフネスモデル」だと分かるほどに個性が強い。鮮やかな赤色に塗装されたプラスチック素材と、周りを縁取る樹脂素材によって、端末の表からも裏からも、上下が分かりやすいようになっている。

 プラスチック部の塗装は落ち着いた赤色だったTORQUE G01に対し、TORQUE G02ではより艶めいた赤色となっていて、机に置いていても存在感がある。

 前面のAndroidの操作キーは、流行りのオンスクリーン方式ではなく、押した感触のあるボタンになっている。本体左右には4つのキー(電源キー、カメラキー、音量上下キーと、ショートカットを割り当てられる「ダイレクトボタン」)が配置されている。

 持ってみると、最近のスマートフォンにしてはめずらしく、ずっしりとした重さを感じる(約203g)。4.5インチのディスプレイを搭載していた前モデル(182g)と比較して、大型化した4.7インチディスプレイを搭載している点や、バッテリーパックが取り外し可能になったことが影響しているのだろう。

タフネス性能

 これだけ「中身が詰まった」TORQUE G02だが、そのタフネス性能は折り紙つきだ。米国国防総省が軍事物資調達に用いる耐久基準「MIL-STD-810D」に準拠した、耐水や落下衝撃体制、耐温度性能など19項目の試験と、京セラ独自の耐海水、耐荷重試験の合計21項目の試験によって検証されている(関連記事)。

 耐海水も含めた防水性能を維持しながらも、TORQUE G02ではユーザー自身でのバッテリー交換に対応した。本体のバックカバーは2重になっており、電池パックを覆う内蓋の中には水が浸入しないようになっている。

 スピーカー部など開口部は、防水被膜によって覆われており、海水や砂などが付いた場合もでも水で洗い流すことによってその性能を回復できる。

 耐海水機能を持つTORQUE G02では、海中での写真撮影ができる。海中ではタッチパネルや通常のボタンは使えなくなるため、水圧がかかった状況でも動作する側面の4つのボタンを操作して撮影する。インカメラも水中撮影に対応しており、海中での自分撮りもできる。

 タッチパネルは、多くの水滴が付着していても、指での操作を認識して、正常に反応する。手袋をつけたまま画面ロックを解除すると手袋モードとなり、手袋のままタッチパネルを操作できる。

 au +1 collectionで用意されているTORQUE G02の専用カラビナケースは、本体のデザインを活かした「見せる」ケースだ。海での使用を想定して、海の中で落とした時に回収しやすくするための、水に浮かぶフローティングストラップも用意されている。

スペックとソフトウェア

 CPUはクアルコムの「MSM8928」(クアッドコア・1.4GHz駆動)。メモリは2GB。内蔵ストレージは16GBで、最大128GBのmicroSDXCカードに対応する。

 通信面では、au 4G LTEのキャリアアグリゲーションとWiMAX 2+に対応。受信最大150Mbps/送信最大25Mbpsで利用可能。無線LANではIEEE802.11acもサポートする。BluetoothはVer.4.1。SIMカードサイズはnanoSIM。

 通話については、VoLTEをサポートしている。画面を振動させて音を伝える技術「スマートソニックレシーバー」を搭載しているため、より高品質な通話ができる。

 ディスプレイは約4.5インチHDのIPS液晶を搭載。内蔵スピーカーを2つ搭載しており、100dBの大音量で再生できる。メインカメラは約1300万画素、インカメラは約500万画素の広角タイプ。

 取り外して交換が可能な容量約2910mAhのバッテリーを搭載。防水性能を維持するために、microUSB端子とイヤホンジャックはキャップで覆われている。充電については、qi規格による無接点充電にも対応。

 ワンセグやおサイフケータイにも対応している。タフネス性能については、耐衝撃がMIL-STD-810G Method 516.7:Shock-Procedure IV相当、防水がIPX5/IPX8相当、防塵はIP6X相当となっている。動作温度は-21度/50度で連続3時間まで、耐海水は水深1.5mまでの海水に30分間までが保証の範囲となっている。

 ソフトウェア面では、Android 5.1をいち早く搭載。全体的に機能を絞ったシンプルな構成となっている。

 タフネスならではのユーティリティアプリとして、フラッシュライトや気圧高度計、潮度表示、コンパスといったアプリが用意されていて、専用のホーム画面ウィジェットが利用できる。

 さらに、TORQUE G02では、サーフィン情報の「なみある?」や、山で使えるダウンロード地図を提供する「YAMAP」、空にかざして星座をAR表示する「SkyView」といったサードパーティのアプリを搭載。タフネス性能を生かして、海でも山でも楽しめるようになっている。

どんな環境でもアクティブに楽しむユーザーへ

 デザイン面からも性能面からも人を選ぶモデルだろう。都会で使う分にはややオーバーなタフネス性能が詰め込まれている。もちろん、濡れても操作できたり、落としてもなかなか壊れない耐衝撃性の高さは、日常生活でも役に立つはずだ。

 ただ、その性能のために、microUSB端子が深いキャップで覆われているといった、実用上の不便さもあるかと思う。充電については、qi規格の無接点充電パッドを使えば、キャップ付きのmicroUSB端子というデメリットを補うことができるだろう。

 もう一つ惜しいと感じたのは、側面に4つあるボタンを使った操作だ。水中撮影では、側面のボタンを十分を生かした操作が可能だが、それ以外の状況では、側面のボタンの役割が、今一歩と言った感じだ。今後、側面ボタンを活かしたアプリが登場することに期待したい。

 しかし何と言っても、この端末のタフネス性能が存分に発揮されるのは、海や山といったアウトドアシーンだろう。海でシュノーケリングをしながら撮影したり、雪山でグローブをつけたまま操作したりといったシチュエーションでは、TORQUE G02のスペックが存分に発揮される。

 街中で使っているより、過酷な挑戦をしている人にこそ似合う、王道のタフネスモデルという印象だ。