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G'zOneの精神がTORQUEに受け継がれるまで

スピード感と機能美を兼ね備えたタフネスモデル

 KDDIと京セラは、報道関係者向けにAndroidスマートフォン「TORQUE G02」の製品説明会を実施した(関連記事)。そこでは「TORQUE G02」の製品企画を担当した、KDDI プロダクト企画1部 近藤隆行氏から、TORQUEシリーズ登場までの経緯と、そのデザインに対するこだわりが語られた。

G'zOneからTORQUEへ

KDDI プロダクト企画1部 近藤隆行氏

 KDDIでは2012年まで、高耐久性能を持つの携帯電話G'zOneを継続して提供していた。メーカーは腕時計G-SHOCKで有名なカシオ計算機(後、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ、NECカシオモバイルコミュニケーションズ)。

 2013年のカシオ撤退によって、G'zOneは「G'zOne TYPE-L」を最後に開発が途絶えてしまった。KDDIではG'zOneの後継機種について、タフネスモデルの開発を終了することも含めて検討していた。

 一方、タフネスモデルG'zOneを愛するユーザーは多く、KDDIに復活を要望するユーザーの声が多く寄せられたという。中にはフィーチャーフォンのG'zOneを再生産してほしいといった声や、「G'zOne TYPE-L」の「L」が「LAST」を意味していたのか、といった声もあった。

 オンラインや手紙で多くの要望を受けて発売された、G'zOneのタフネス精神を受け継ぐ新シリーズがTORQUEだ。

 製造は北米でタフネススマートフォンを提供している京セラ。TORQUEは、同社が北米で展開しているブランドでもある。TORQUEを日本向けに提供するにあたって、KDDIのタフネスモデル開発の知見を加え、日本のユーザーが求めるタフネスモデルを実現した。

 2014年に発売されたau初のTORQUEシリーズ「TORQUE G01」は、北米向けに提供されているモデルを日本向けにカスタマイズしたもの。今回の「TORQUE G02」では、もう一歩踏み込んで、端末の開発の段階から日本のユーザーを意識して開発している。

バイクのデザインをモチーフとしたスピード感と機能美

 KDDIのタフネスシリーズは、実用性とデザイン性を兼ね備えているのが特徴だ。それはG'zOneからTORQUEへと変わっても一貫している。

 実用性では、上下対称となりがちなスマートフォンの中で、TORQUEでは、一目で上下が分かるようなデザインとなっている。スマートフォンをポケットから出してさっと持てるような工夫だ。さらに、アウトドア環境でも使いやすい、滑りにくいグリップや、押しやすい前面・側面ボタンなどを組み込んでいる。

 ただ実用性を高めるだけでは武骨で無機質なデザインになりがちなために、「TORQUE G02」では「スピード感」と「機能美」を意識して、スポーツバイクをモチーフとしてデザインを設計している。実は、デザイン担当者はバイクに乗らない人だったために、企画会議の後、急いでバイクショップに向かったという。

 G'zOneのユーザーに対するアンケート調査では、端末デザインに対する満足度は高い一方で、ケースに対する満足度は通常のスマートフォンの半分以下となっていた。

 そこでTORQUEでは、「タフネスモデルに必要なスマートフォンケース」を設計している。

 通常のスマートフォンケースは、本体を傷や衝撃から守るためや、新しいデザイン性を追加するための設計となっている。対してタフネスモデルでは、もともとの耐衝撃性能と本体デザインに対する満足度のため、そういった目的では必要とされない。

 近藤氏は、タフネスモデルに必要なケースは「本体を見せたい」という要望に応えつつ、新しい機能を追加するものだと考えていた。同氏がTORQUE G01を企画担当者だった時には、提供したいケースのサンプルを3Dプリンタで作成し、持ち歩いていたという。とある喫茶店で京セラの担当者と相談した際にそのケースを見せ、実現したのが「au +1 collection」で販売されているカラビナ付きケースだ。

カラビナ付きケースを装着した「TORQUE G02」
フローティングストラップ

 「TORQUE G02」のカラビナ付きケースでは、もっと本体を見せたい、という思いから、「究極の小さいケース」を目指して、端末の設計と一体となって設計したという。このケースを付けるために、「TORQUE G02」では、本体の筐体の左右に凹みが作られている。

 このほかにも、海中で使えるようになった「TORQUE G02」では、海で落とした時に失くすことのないように、付けておくと水に浮かぶフローティングストラップも、「au +1 collection」にてオプション販売される。

海でも山でも使えるサービスを搭載、G-SHOCKとの連携機能も

 「TORQUE G01」発売後、「G'zOneのようにアプリを充実させてほしい」というユーザーからの要望が多く寄せられたという。そこで、「TORQUE G02」では、「海と山で使えるアプリを用意」することを開発のテーマとした。

 その結果、プリインストールされることとなったのが「なみある?」と「YAMAP」だ。「なみある?」は、サーファー向けに、波の情報を表示するアプリ。今回「TORQUE G02」専用の波情報ウィジェットが提供されている。

 「YAMAP」は、紙に印刷することもできる登山地図を表示するアプリ。登山向けアプリを選定する過程で、京セラの担当者が実際に屋久島に向かい、比較した結果一番優秀だった同アプリを搭載したという。「TORQUE G02」のユーザーは、同アプリの有料機能が3カ月無料となる。

 さらに、G'zOneで搭載されていたG-SHOCKとの連携機能も搭載されている。同機能では、通常のスマートフォンでは利用できないauのEメールの通知が利用できるなどのカスタマイズがされている。

 G-SHOCK連携機能は、カシオ計算機の協力によって提供されている。G'zOneの開発を終結させたカシオでは、TORQUE向けに同機能のカスタマイズすることに対して、当初は難色を示していた。KDDI側の熱心な説得と、「G'zOne TYPE-L」での同機能の利用率が、通常の利用率の数十倍だったため、TORQUEシリーズでもユーザーに受け入れられるとの予想から、最終的にはカシオ側も全面的に協力することになったという。

 利用には、Playストアから「G-SHOCK+」アプリをダウンロードする必要がある。

 なお、「なみある?」とのコラボレーション企画として、逗子海岸の海の家「Namiaru? Beach House」にて、「TORQUE G02」をレンタルして、海中撮影を体験できるキャンペーンが実施される。期間は7月18日~8月30日。

石井 徹