レビュー

「らくらくスマートフォン3」と父親(66歳)の相性は!?

「らくらくスマートフォン3」と父親(66歳)の相性は!?

もっと使いたいという意欲が湧く、シニアに最適なスマートフォン

 主にシニア層に向けたシンプルなスマートフォン「らくらくスマートフォン3 F-06F」を、まもなく66歳を迎える父親が使い始めてしばらくたつ。今回は端末の全体的な使い勝手は実際のところどうだったのか、話を聞いてみた。

66歳になる父親は「らくらくスマートフォン3 F-06F」をどう見たか

デカすぎない、しっくりくるサイズ感

 まず端末のデザインについて。「らくらくスマートフォン3」は4.5インチのディスプレイを備え、サイズは高さ137×幅67×厚さ9.9mm、重さ約138gというスペックで、最新のフラッグシップスマートフォンよりは小ぶりのサイズ。四隅や背面をラウンド形状として、持ちやすさと見た目の“優しさ”に配慮したデザインとなっている。

ラウンド形状で見た目にも優しい感じのデザイン

 それまでドコモのフィーチャーフォンP-07Bを使用していた父親だが、自身初のスマートフォンとなるらくらくスマートフォン3に対しては、「デカすぎるというほどではない」と、さほど違和感はなかった様子。むしろ画面が大きくなって見やすくなったことの方が、メリットに感じているようだった。

 ただ、側面の電源キーとボリュームキーを、端末をつかむ時にどうしても押してしまいがちなのが気になっているとのこと。「キーが出っ張っていなければいいのにな」と話していた。

端末を持ち上げる時などに、側面のキーが押されてしまうのが気になる模様

スマホ拒否の父親も納得の、押し込む操作

 その大きくなった画面を使ったタッチ操作についてはどうだったか。らくらくスマートフォン3は一般的なスマートフォンと違って、軽く画面に触れただけでは画面内のボタンなどが押されず、ある程度、力を入れて画面を押し込むようにしないとタッチが認識されないようになっている。

画面を押し込むようにタッチすることで反応する独特の操作性

 父親にはこの仕組みが大変好評だった。以前父親にタブレット端末のNexus 7をプレゼントしたのだが、ちょっと画面を触れただけで反応してしまうところが「使いにくくて仕方ない」とぼやいていた。ところが、押し込んで初めて反応するらくらくスマートフォン3の場合は、確実に狙ったボタンを操作できる、とのこと。普通のスマートフォンを使っている筆者としては、ボタンなどが反応するまでに多少のタイムラグを感じそうにも思うのだが、父親は全く気にもしていないようだった。

究極の日本語入力、Super ATOK ULTIASの高精度を実感

 文字入力の際も、この独特のタッチ操作によって使い勝手は上々だという。あまり知られていないかもしれないが、実はらくらくスマートフォン3には、富士通とジャストシステムが共同開発したキーボードアプリ「Super ATOK ULTIAS」の派生バージョン、「Super ATOK ULTIAS for らくらく」が搭載されている。富士通のフラッグシップ端末「ARROWS NX F-05F」のSuper ATOK ULTIASと同等の日本語変換性能を備えているのだ。

 「Super ATOK ULTIAS for らくらく」のキーボードのインターフェースはかなり簡素化されている。ボタン自体は押しやすさに配慮して大きめ。ケータイキーボード風のボタンレイアウトが基本となっているが、フリック入力ではなくタッチで操作する仕組みだ。軽くボタンを押せば“あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ”などを一発で入力でき、少し長めに押し込めば“あ・い・う・え・お”などの各行のボタン5個がポップアップし、選んで入力できる。

ボタンの長押しで、その“行”がポップアップするキーボード。フリックではなくタッチ主体となっているのが特徴だ
予測変換候補には絵文字まで現れる

 その後は「Super ATOK ULTIAS」ならではの賢い予測変換機能で入力候補が表示され、少ない手数で文章を組み立てられる。入力方法もさることながら、父親は「一度入力したのをちゃんと学習してくれるのはいいな」と、適切な入力候補が表示される、予測変換の優秀さに感心していた。もちろん、以前使っていたP-07Bにも文字入力時の予測変換機能はあるのだが、明らかな違いを感じ取っているようだ。

物理シャッターキーがお気に入りに

 ファミリページを利用すると頻繁に使うことになるカメラ機能にも満足の様子。らくらくスマートフォン3のカメラは、810万画素のセンサーと画像処理エンジン「GRANVU」を搭載し、高画質の写真を残すことができる。父親いわく「画質は全く問題ない」うえに、動いている被写体でもブレにくい「ゼロシャッター」機能や、薄暗い場所でもブレにくい「インテリジェントシャッター」機能のおかげか、「手ブレもまずない」とも話した。

 しかし父親がとりわけ気に入っているのは、本体側面にシャッターボタンが用意されているところ。普段はデジカメをよく使っているのと、“画面をタッチしてシャッターを切る”という習慣がないことから、普通のデジカメのように横に構え、物理的なシャッターボタンで撮影する操作性を自然に受け入れることができたようだ。むしろ画面内のシャッターボタンはなくてもいいのでは、とコメントするほどだった。

端末の側面に用意されたシャッターキーの使い勝手がいい、らしい

趣味の山登りに役立つ機能、性能を備える

待受画面の上部に表示された歩数は1万歩超え。山登りで記録した歩数なので、実際のEX値はもっと上だろう

 父親の趣味は山登りだ。どうやら2日に1回は北海道のどこかの山に登っているらしい。家族間で写真などを共有できるSNS機能「ファミリーページ」に届く父親からの写真も、だいたいが登った山の頂上からの景色である。つまり長距離を頻繁に歩いているわけだけれど、そういった場面で「らくらくスマートフォン3」が備える歩数計の機能が大いに役立っているという。

 山登りした日の歩数は余裕の1万歩超え。しかも急坂だから、1歩あたりの活動量は平地とは比べものにならない。歩数や設定した体格から推測される活動量(EX値)と消費カロリーも記録されるので、この数値も参考にしているというが、平地での歩行を基準に算出されていることから、実際の活動量と異なっていると思われるのが唯一の不満だそうだ。

 また、山登りの最中はLTEの電波が届かないことが多いものの、3Gであれば山頂でもほとんどの場合問題なく電波をキャッチできるそう。休憩中にニュースサイトを見たり、ファミリーページに画像を投稿するのにも十分な通信速度を確保できているという。フィーチャーフォンのP-07Bの時より、心なしか電波が届きやすくなったのもうれしいと話した。

 そのほか、父親がよく使っているのはラジオアプリの「radiko.jp」。Google PlayのStoreアプリがなく、アプリのインストールを制限している「らくらくスマートフォン3」ではあるけれど、さまざまな用途を想定したエンタメ系アプリやツール系アプリが多数プリインストールされている。radiko.jpもそのエンタメ系アプリの1つとして用意され、父親は自宅や外出先でよく聞いているそうだ。

多彩なエンターテイメント系アプリ、ツール系アプリなどがプリインストールされている

シニアに違和感のないスマートフォン選びが重要かも

大きなボタンがレイアウトされたホーム画面。この画面の使いやすさも魅力の1つだ

 父親のもう1つの趣味として、パソコンの自作がある。そのせいか、デジカメで撮影した動画を「らくらくスマートフォン3」で見られるよう変換してコピーしたり、端末のスクリーンショットを取得して筆者にメールで送る、ということもさらりと対応してのけるのは、一般的なシニアユーザーとはちょっと違うところもあるかもしれない。

 とはいえ、スマートフォンはこれまで頑なに拒否していたので、スマートフォンに関するリテラシーは他のシニアの方と大きく変わるところはないはずだ。実際、こちらから投げかけた質問に対し、どこにどんな機能があるのか時間をかけて調べつつ、慎重に操作しているのが話の端々から伝わってきた。まだそれほど多くの機能は試していないようだけれど、使いこなすのは時間の問題だろう。

 これもひとえに、「らくらくスマートフォン3」の魅力の証しだと思う。父親が元々機械に強いから使いこなせている、というよりは、タッチ操作や画面デザインなどがシニアユーザーにとって最適な形になっていて、操作したい、あるいは学びたいという意欲が自然と湧いてくるからでは、と考えている。

 両親に使わせる初めてのスマートフォンに、“とりあえず”高機能な最新スマートフォンを選びたくなる(あるいはおすすめしたくなる)こともあるかもしれない。でも、息子(娘)としては、シニアユーザーという視点から両親ができるだけ快適に、違和感なく使える端末を選んであげるべきなんだと、らくらくスマートフォン3は改めて思わせてくれる端末だった。

日沼諭史