レビュー
海上でドコモがつながりやすいのは本当?
海上でドコモがつながりやすいのは本当?
タイを釣りながら通信速度を計測
(2014/2/28 15:43)
2月17日、週刊つりニュースが、3キャリアのスマートフォンを用いて海上における接続率、通信速度を検証した結果、いずれもドコモが1位になったと発表した。
その調査は、全国の海釣りスポットのうち人気の31カ所を選び、スマートフォンを釣り船に持ち込み、速度や繋がりやすさを調べたもの。地図を見ると、都市部の釣りスポットが多いものの、東北~九州まで幅広く調査エリアが選ばれているようだ。そうした釣りスポットにおいて、LTEの接続率での1位はドコモの「iPhone 5s」で、次いでauの「iPhone 5s」、ドコモの「Xperia Z1」と続く。速度面では、全エリアの平均でドコモの「Xperia Z1」が最も速く、その次がドコモの「iPhone 5s」そしてソフトバンクの「iPhone 5s」だった。
調査を疑うわけではないが、本当にドコモが繋がりやすく、通信も速いのか、気になった筆者はさっそく釣り船を手配。翌日の18日に独自に速度検証を行ってきたので、その結果をご報告したい。
乗合船で検証スタート
「週刊つりニュース」の31カ所ある調査ポイントのうち、それに近いと思われるエリア、かつ自宅から行きやすい場所ということで、今回、選んだのは相模湾の江ノ島に近い腰越漁港。快く協力を引き受けてくださったのは「政美丸」さんだ。検証についての了解を取り、1人の釣り客として乗合船を利用して、検証することにした。
ちなみに2月はマダイ、アマダイ、石鯛などのタイ五目釣りがメインのようで、煮ても、焼いても、生でもおいしいタイの数々を釣り上げることができる。
最初のポイントに到着、いざ速度計測スタート
朝7時過ぎに出港した釣り船は、朝日を浴びながら沖へと波を切って突き進む。最初の釣りポイントに到着した。
さて、いよいよ本番の通信速度だ。ここでは、「RBB TODAY SPEED TEST」を使って計測を始める。使用端末はAQUOS PHONE SH-01F。GPSで測定した位置情報を参考にすると、相模湾の最寄りの海岸からおよそ5kmほど沖合と思われる。3回計測して平均を取った結果は下記の通り。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
ポイント1 | 12.8 | 4.5 |
下りは常に10Mbps以上、上りも3Mbps以上出ており、陸上から離れた場所でこれだけの速度があれば実用上は全く問題ないだろう。
計測の一方で、釣りのほうでは小さな“カタクチイワシ”がかかっていた。小さいとはいえとりあえず釣れたことにほっとひと安心。
2カ所目での計測は……
しばらくすると釣るポイントを変更。なんとなく引き上げてみるとわりと大物の“ハナダイ”をゲットしていた。早く刺身にして食べたいところだが、先ほどとは場所が変わったので、速度検証をあらためて実施。同様に3回計測して平均値を出した。岸からの距離はそれほど変わっていないと思われる。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
ポイント2 | 14.3 | 3.1 |
上りは3Mbps程度と最初の計測より落ちたが、下りは14Mbps超を記録。ばらつきも少なく、これならWebコンテンツはもちろん、動画であっても快適に閲覧できるだろう。
3カ所目、4カ所目、5カ所目での計測
以降、ポイント変更に合わせ、3回に分けて速度計測した結果は下記の通り。距離は江ノ島から6、7kmほどと離れたものの、3つ目のポイントでは、この日、最高の下り約18Mbps、上り約5Mbpsを記録。何度か電話もかけてみたが、ノイズが混じったり途切れたりするようなこともなく、陸上と同じように安定して通話できた。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | |
ポイント3 | 17.9 | 4.9 |
ポイント4 | 9.1 | 1.3 |
ポイント5 | 9.9 | 1.7 |
釣り客の間ではドコモが“業界標準”?
船頭さんや助手の方、他のお客さんの何人かにも話を伺ったところ、沖ではドコモを使うのが一番いいと誰もが口をそろえた。他のキャリアでは、通信はできても通話が途切れることが多く、その点でドコモは安心して使えるのだという。
長くドコモを使っている人は、以前の方がもっとつながりやすかったと話したが、その一方で、最近になって特につながりやすくなったと感じている人もいた。あくまで、今回、同じ船に乗り合わせた方に限られるが、使い勝手の面でドコモがデファクトスタンダードに近い位置付けにあると感じられた。今回の取材のきっかけとなったリリースでも、全エリアの平均接続率はドコモが93.5%、auが83.9%、ソフトバンクが67.7%となっており、話を聞いた方々との感想ともマッチする。
個人的には、万一の緊急事態で、確実に連絡が取れることが釣り客にもはっきりとわかるようにするのが重要ではないかと思う。キャリア各社のWebサイトでは、洋上のどのあたりまで電波が届いているか、地図で示されているが、釣り客の方々から聞こえてきたような「繋がりやすさ」や「通話の途切れにくさ」といった面は、そうしたエリアマップからはなかなかわからない。今後は、何らかの形で品質面もわかりやすくなることを期待したい。