レビュー
混雑しても優先通信、ソフトバンク「FastAccess」を花火大会で試してみた
2026年8月29日 06:00
コンサートやライブの会場など人が多い場所で、携帯電話はつながらない、あるいは遅いと感じやすい。その場所にある基地局に接続しようとする携帯電話・スマートフォンが多すぎると、基地局のキャパシティを超えてしまうのだ。
今夏、ソフトバンクが始めた新サービス「Fast Access」は、人が多く集まる場所でも、優先的に通信できるようにしてくれるというものだ。
今回、「人が多くて、スマホが遅くなる」代表格である花火大会の会場付近で、FastAccess対応スマホを持って、その速度を測ってみた。
FastAccess、使える条件と仕組み
FastAccessは、ソフトバンクブランドのユーザーで、5G SA対応スマートフォンを持ち、5G SA対応のSIMを使うと利用できる。前提として、利用可能な料金プランも指定されている。
- 5G SA対応スマートフォンおよび5G SA対応SIM
- ペイトク2、テイガク無制限
- ペイトク無制限、ペイトク50、ペイトク30、メリハリ無制限+
その仕組みをざっくり言えば「より多くの電波を使えるようにする」というものだ。スマホとSIMで5G SAが必須となっているが、サービスエリアは5Gであれば使える。つまり5G SAエリア限定というわけではない。
実は、同様の仕組みで、同じようなサービスをKDDIが「au 5G Fast Lane(ファストレーン)」として約1年前に先んじて提供している。競合他社では、初めてソフトバンクが1年後に追いついた格好だ。
花火大会会場で試してみたら
今回の試みは、8月上旬、首都圏近郊で開催された花火大会会場の近くで実施した。ソフトバンクのサービスエリアマップでは、4G LTE用周波数を5Gに転用した(NR化)という場所だ。
例年、40万~50万人が訪れるとされるもので、もちろん筆者のいた場所にギュッとそれだけの人数がいたわけではないが、普段は静かな住宅地に、数多くの人が訪れていたわけで、携帯電話のネットワークにとって、かなり厳しい環境だ。
まずは花火打ち上げの約2時間半前、会場最寄駅前で計測してみた。FastAccessでは下り71Mbps、上り5.85Mbpsだったところ、非対応回線では下り25.4Mbps、上り2.41Mbpsだった。
また、移動してあらためて計測すると、対応回線では下り64.5Mbpsや28.1Mbps、非対応回線では下り14.4Mbpsといった結果だった。
会場へさらに近づき、大会本番直前の18時40分を過ぎたあたりでは、非常に多くの人が集まる環境下で、対応回線で下り4.72Mbps、非対応回線で2.22Mbpsを記録。スピードは落ちたが、倍以上の差が付いた。明らかにFastAccess対応回線のほうが速いというわけだ。
と、ここまでは良かったが、さらに人が多い場所に近づいていくとつながるものの、グッと遅くなった。車載型の移動基地局は周囲になく、通常の基地局のキャパシティが厳しくなったか、あるいは筆者が移動して偶然電波が届きにくいところになってしまったか……急激に人が多くなるイベントだけに仕方がないことだろう。優先制御は、いわば「割り込み順位を繰り上げる仕組み」であり、基地局全体の物理的な帯域自体がパンクした場合はどうしても限界が来る。
優先されるがわかりづらい
前年、auの「Fast Lane」を試したときと同じく、今回のソフトバンクの「FastAccess」もまた、優先されていることは判明したものの、たとえばアンテナピクトなどで表示されない。
つまり、FastAccessというサービスのことを知っていれば、「この料金プランだから、優先されるはず」と思えるかもしれないが、そうした前提がなければ優先されていることもわからない。筆者としても、より多くの人へ「こういう機能があるんだよ」と伝えていきたいところだ。
ちなみに、今回の検証でも見られたように、FastAccessはあくまで優先制御であり、通信を保証するわけではない点は留意したい。
昨年のauの同様のサービスでも指摘したが、通信品質でこうした取り組みが導入されること自体、個人的にはとても面白く、大いに応援したい。KDDIから1年後に登場したソフトバンクのFastAccessは、ユーザー体験としてはauのそれとほぼ同等で、もう少し差別化を求めたくはなるが、それは今後に期待したい。
同時に「料金プランによって速くなる」といった通信事業者として新たな軸を打ち出したKDDIにソフトバンクが追いつき、まだ同様のサービスには着手していない(できていない)ドコモと楽天がどう動くかという局面でもある。これだけで通信回線を乗り換える人は少ないかもしれないが、料金の安さだけではなく、つながりやすさ・使いやすさといった面でも、各社の競争が進むことは歓迎したい。







