レビュー
PayPay「海外支払いモード」を韓国・明洞で使ってみた。本当に「日本と同じ」感覚で使えるのか?
2025年10月1日 06:00
PayPayは、9月30日より韓国における「海外支払いモード」の利用を開始しました。
今回、実際に韓国に渡航してPayPayの海外支払いモードがどのように利用できるのか試してきたので、詳しく紹介します。
あらかじめ日本で「本人確認」を済ませておく必要あり
まずはじめに、PayPayの海外支払いモードを利用するための条件を紹介します。
大前提として、PayPayが利用できるようになっていることは当然必要ですが、今回韓国で始まったPayPayの海外支払いモードを利用するには、韓国渡航前に「本人確認」を行っておく必要があります。本人確認は、PayPayを利用する上で必須の条件ではありませんので、行わずに利用している人も少なくないようですが、海外支払いモードの利用に不可欠となっていますので、必ず行っておくようにしましょう。
本人確認のやり方は、PayPayのWebサイトで詳しく紹介されていますので、参考にしてください。
ただし、本人確認は日本でしか行えません。韓国渡航後は本人確認が行えませんので、必ず韓国渡航前に行っておくようにしましょう。
また、PayPayの海外支払いモードを利用するには、利用時に必ずスマートフォンがインターネットに接続されている必要があります。
インターネットへの接続手段は、日本の通信事業者が提供するデータローミングや旅行者向けWi-Fiモバイルルーターの利用、店舗などのフリーWi-Fi、韓国の通信事業者が提供する旅行者向けデータ通信SIMの利用などがあります。今回は日本の通信事業者のデータローミングを利用して試しましたが、問題なく利用可能でした。
ただ、今回は確認できませんでしたが、日本と韓国以外の通信事業者が提供するデータ通信SIMでは正しく利用できない場合もあるそうなので、可能な限り日本の通信事業者のデータローミングか韓国の通信事業者の旅行者向けデータ通信SIMの利用がお勧めです。
本人確認とネット接続という2点さえクリアしていれば、韓国でのPayPayの海外支払いモードを誰でも利用できます。
韓国内ではPayPayが海外支払いモードで起動する
では、実際の使い方を見ていきましょう。
韓国内でインターネットに接続した状態でPayPayアプリを起動すると、韓国に滞在していることをアプリが自動的に認識して、海外支払いモードで起動します。
初めて海外支払いモードを利用する場合には、「韓国でPayPayを使う」という画面が表示されますので、利用規約に同意すれば海外支払いモードが利用可能となります。
海外支払いモードは、見た目は日本でPayPayを起動した場合と余り変わらないように見えますが、支払いをはじめとして海外で利用できる機能のみが表示されます。
スキャンや送るなどのボタンの下には、その時点で支払った場合の韓国ウォンと日本円のレートが表示されます。同時に、その下部のPayPay残高やポイント残高、利用できる金額は、その時点でのレートに合わせてウォンで表示されます。今、自分がPayPayで何ウォン支払えるのか一目でわかるので便利です。
利用できる支払い方法は、PayPay残高支払いとPayPayクレジット支払いの2種類となります。このあたりも日本での支払い方法と同じです。
PayPayの海外支払いモードで支払いが可能な店舗は、「Alipay+」と「Zero Pay」という決済手段に対応している店舗で、現時点で約200万店舗を超えています。お店の入り口やレジまわりに、Alipay+やZero Payのロゴが張り出されていれば、PayPayの海外支払いモードで支払いが可能と考えて問題ありません。
なお、今回はソウルの明洞(ミョンドン)周辺で試したのですが、Zero Payのロゴは見つけられず、Alipay+対応の店舗のみで試しました。そのため、まずはAlipay+のロゴを探すといいでしょう。
実際の決済方法も、日本での利用と大きく変わりません。お店が掲示しているQRコードを読み取って支払金額をスマートフォンで入力して決済する方法と、お店側がスマートフォンに表示されているコードを読み取って決済を行う方法の2種類です。
前者のQRコードを読み取って決済を行う方法は、現時点ではそれほど多くないようで、そのほとんどが、明洞にある屋台で利用されているとのことです。
実際に明洞の屋台を見て回ったのですが、そのほとんどのお店にAlipay+の支払い用QRコードやクーポン用QRコードが掲示されていました。そして、そのQRコード下には利用できる様々な決済ブランドのロゴが並んでいるのですが、左上にPayPayロゴが印刷されています。PayPayで支払えることが容易に判断できるようになっているのは嬉しいところです。
実際の決済も、日本でQRコードを読み取って決済する場合とほとんど変わらない手順となります。掲示されている支払い用のQRコードをPayPayで読み取って、支払いの料金を入力、その画面を店員に見せながら決済する、という流れで無事決済できました。
韓国だと言語が不安という場合もあるかもしれませんが、明洞周辺は日本の観光客が多く訪れることもあって、日本語が通じるお店も少なくありません。ただ、もし日本語が通じなかったとしても、PayPayの支払い画面で「Alipay+で支払いをお願いします」という内容の韓国語を表示できるようになっていますので、最悪その画面を見せれば理解してもらえるでしょう。
また、中にはAlipay+のロゴが掲示されていなくても対応している場合もあるようですので、そういった場合も、その画面を見せるといいかもしれません。
次に、店舗がスマートフォンのコードを読み取って決済を行う場合です。これは、スーパーやコンビニエンスストア、お土産店などで広く対応しています。今回は、お土産屋やコンビニエンスストア、スーパーなどで試しましたが、そのほとんどでAlipay+で支払いたいことを伝えることなく、決済用のバーコードを見せるだけで店員が理解し、コードを読み取って決済できました。
この他、スーパーのセルフレジでも試してみましたが、そちらもリーダーにPayPayのコードをかざすだけで問題なく決済できました。
このように、PayPayの海外支払いモードは、日本にいる間に事前に本人確認を完了させておく必要はありますが、韓国での支払時に特に面倒な作業や独特な操作は一切不要で、日本でPayPayを利用するのとほぼ同じ感覚で決済が可能で、とにかく便利だと強く感じました。
韓国滞在中でもチャージや送金が可能
PayPayの海外支払いモードでは、支払い以外の機能も用意されています。
そのひとつがチャージ機能です。支払い手段にPayPayカードが利用できる場合はチャージ残高を気にする必要はありませんが、チャージのみで利用している人にとっては、韓国滞在中も残高チャージができるかどうかは非常に重要なはずです。
結論から言うと、韓国からも通常通りのチャージが可能です。
今回、実際にチャージも試してみましたが、何の問題もなくチャージ可能でした。筆者はPayPay銀行を紐付けているのですが、それ以外の金融機関も全く問題ありません。ですので、いろいろと買い物をして残高がなくなった、という場合でも安心です。
決済履歴の確認も、もちろん可能です。支払い用コードの下にある「取引履歴」を押すと、新しい順に決済履歴が表示されます。決済履歴では、決済したお店の名称と、韓国ウォンでの決済金額、引き落とされた日本円の金額などを確認できます。
そして、送金機能も利用可能です。ユーザーを指定した送金はもちろん、わりかん(グループ支払い)機能も利用可能です。決済履歴をスクロールさせると、下の方に「この支払いをわりかんする」という表示がありますので、そこをタップして他のユーザーとのわりかんが可能です。これも日本でグループ支払いを行う場合と同じ操作で可能ですので、普段から利用している人にとっては、こちらもありがたい機能となるはすです。
店舗や利用者もPayPay対応を歓迎
今回のPayPayの海外支払いモード対応に合わせて、韓国内ではPayPayの露出が増えているようです。
まず、仁川国際空港の第1ターミナルに隣接する仁川国際空港鉄道駅の改札付近には、韓国でPayPayでの支払いが可能なことをアピールする広告が掲示されています。その仁川国際空港鉄道の車両にも、PayPayの広告のみを掲示する、いわゆるトレインジャック広告車両が10月1日から登場します。
韓国でAlipay+の店舗開拓を行っているNAMANEは、先にも紹介したPayPayロゴを加えた決済用QRコードの店舗用掲示パネルを各店舗に配布していますし、明洞の街角には韓国の秋の大型連休「Golden October」の幟にAlipay+に加えてPayPayロゴも印刷されています。
そして、今回訪れた店舗側も、概ねPayPayの海外支払いモードを歓迎しているようでした。
先に紹介した明洞のトッポギ屋台をはじめとした明洞周辺の屋台は、いずれもNAMANEが開拓したAlipay+対応店舗ですが、店主によると、明洞付近は日本人観光客が多く、お店にも多くの日本人客が訪れているそうで、PayPay対応は歓迎とコメントしてくれました。しかも、韓国では税金の支払い上でも現金よりキャッシュレスのほうがありがたいそうで、日本人観光客にはぜひ積極的にPayPayを使ってほしいとのことでした。
また、明洞の人気コスメ店「OliveYoung MyeongDong town店」でも、PayPayでの支払いに対応しています。実際に店内のレジ付近には、PayPayのロゴが印刷されたAlipay+のパネルが掲示されていますので、PayPayで支払えることがすぐわかります。
店員によると、日本人の利用は海外観光客の中で3割ほどを占めているそうですが、日本で広く利用されているPayPayで決済でき、気楽に買い物ができるようになることは、お店にとってもお客様にとっても嬉しいことだと考えているそうです。
また、日本の修学旅行生や学生など、クレジットカードが持てない若年層では、買いたいものがたくさんあるのに現金が足りずに購入をあきらめる場面も結構見られるそうで、PayPayが使えるようになるとそういったことも解消するので、その点でもお客様によりお買い物を楽しんでもらえるので嬉しいとコメントしてくれました。
そして、実際にPayPayで決済を行った日本人観光客の声も聞けました。1組目は日本人の親子でしたが、どちらも日本では買い物のほとんどをPayPayで支払うヘビーユーザーで、韓国でもPayPayが使えるのはとてもありがたいとのことでした。また、これまでは両替した韓国ウォンを使い切れず余ることも多かったそうで、PayPayが使えればそういったことが減るのも嬉しい、とのことでした。
もう1人は日本の学生さんでしたが、今回は本人確認を行っていなかったためPayPayの海外支払いモードを利用できなかったそうです。
クレジットカードも持っているので今回はそちらを使ったそうですが、日本ではクレジットカードをほとんど使わずにPayPayでの支払いが多いそうで、韓国でもできればクレジットカードを使いたくないので、PayPayが使えるのはありがたいし、次来る時には本人確認を行ってPayPayで支払いたい、とのことでした。
この他にも、数人に話を聞きましたが、全ての人が韓国でPayPayで支払えることに好意的な回答でした。
使えない店舗も少なくない、今後のさらなる店舗拡充が求められる
今回は、PayPayの海外支払いモードが利用できるAlipay+対応店舗を選んで試しました。日本人観光客が多く訪れる人気店やコンビニエンスストア、スーパーなどで問題なく利用できますので、その点ではかなり便利に感じます。
実際、今回の取材では、あえて韓国ウォンを一切両替せず、可能な限りPayPayの海外支払いモードの利用で過ごすようにしましたが、Alipay+対応店舗を探して利用することを前提としていたこともあって、大半をPayPayの海外支払いモードで決済し過ごせました。
とはいえ、飲食店などを中心に、Alipay+に対応していない店舗もまだまだ多い印象で、実際にPayPayでは支払えずクレジットカードで支払った店がありました。また、中には店舗入り口にAlipay+のロゴが貼られているにも関わらず、キヨスク端末にAlipay+の選択肢がなく支払いできなかった店舗もありました。
さらに、韓国の様々な都市に存在している屋台も、現時点でAlipay+対応の屋台は明洞周辺にしかないそうで、その他の街にある屋台はまだAlipay+に対応していないそうです。今後、順次対応店舗を増やしていく計画とのことではありますが、今回明洞周辺を見て回った限りでは、PayPayがあれば韓国でも支払いは安心、と言うにはまだ時間がかかりそうという印象でした。
そもそも韓国はキャッシュレス比率が95%を超えるキャッシュレス先進国で、クレジットカードで決済できるお店が非常に多いですし、そこにPayPayが入ってきたとしても、まだまだクレジットカードのほうが利便性に優れるのは事実でしょう。それでも、先ほど紹介したように、クレジットカードが持てない若年層や、そもそもクレジットカードを使いたくないと考えている人にとっては、日本と同じようにPayPayで決済できるというのは大きな魅力となるはずです。
そして、現在は韓国だけですが、今後は韓国以外での海外支払いモードの対応も進めていきたいとのことですので、韓国内での決済店舗の拡充と合わせて、韓国以外の国への対応も順次進めてもらいたいと思います。



































