レビュー
「Xiaomi 15 Ultra」レビュー 望遠も強化されてさらにデジカメライクに進化したLeicaカメラの実力は?
2025年3月27日 00:00
3月13日、シャオミが最新スマートフォンを含む新製品発表会を開催した。注目のフラッグシップスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」は、これまでのコンセプトを踏襲し、ライカカメラ共同開発のアウトカメラを搭載する。
1インチセンサーを備えるメインカメラに加え、今回は1/1.4インチ、2億画素の望遠カメラが注目ポイントだ。遠所の撮影にも強くなったことで、よりデジカメライクに使えるように進化した。
また、最新チップセットを活用したAI機能、優秀なディスプレイ性能など、フラッグシップモデルの名に恥じない、てんこ盛りの構成も魅力のスマートフォンとなる。では、実際にカメラ機能を含む、Xiaomi 15 Ultraの使い勝手を試していこう。
2億画素望遠カメラで撮影パターンが多様化
前モデルとなるXiaomi 14 Ultraは、F値1.63~F値4.0の可変式絞りに対応した約5000万画素、1インチセンサー搭載のメインカメラに、75mmの望遠、120mmのペリスコープ、12mmの超広角カメラを搭載。装着することで、見た目もほぼデジカメのようになる「Photography Kit」も展開し、カメラスマートフォンとして多くの支持を集めた。
Xiaomi 15 Ultraも、前モデルと同様に、ライカカメラ社と共同開発したカメラを搭載。残念ながらメインカメラの可変絞りは非搭載となったが、新たに2億画素、焦点距離100mm相当のウルトラ望遠カメラを搭載する。70mmフローティング望遠カメラも合わせ、光学3倍、光学4.3倍の望遠撮影ができるようになり、長距離撮影にかなり強くなった。
また、今回も装着することで、よりデジカメライクにXiaomi 15 Ultraを利用できる、専用のPhotography Kitが用意される。シャオミのオンラインストアでは1万9980円だが、4月15日までにXiaomi 15 Ultraを購入すると、無料でもらえるキャンペーンも開催されている。
Photography Kitを装着すれば、カメラアプリの即時起動やズームレバー、ダイヤルでの露出調整といった機能が利用できる。グリップ感もよく、片手での写真撮影も手軽に行えるため、よりデジカメらしく使えるというわけだ。
Photography Kitを装着すると、スマートフォンというよりもデジカメに近くなるため、ポケットにしまって持ち運ぶのは難しくなるが、ストラップなどを付け、首や肩からぶら下げることもできる。必要に応じて、Photography Kitを取り外してもいいだろう。
メインカメラでの撮影は、これまでライカカメラと共同開発してきたコンセプトをしっかりと踏襲し、パキっとした質感と、エモーショナルなボケ感を演出する。昨今はカメラ機能に注力したスマートフォンが多く、各メーカーからそうしたモデル登場しているが、1インチセンサーとライカのチューニングは、やはり独特かつユニークで、他製品とは違う味を演出できるのが魅力だ。また、本モデルより、新たに「13チャンネルマルチスペクトルセンサー」を搭載しており、色表現のリアリティも追及されている。
ポートレートモードでの強いボケ表現や、ライカのフィルターを適用する楽しさも健在。カメラをコンセプトとしたスマートフォンらしく、扱いやすく、簡単にライカ風の写真が撮影できるのが魅力だろう。
強化された望遠カメラの性能を試すと、焦点距離70mmはもちろん、100mmの光学ズームという、ほかのスマートフォンにはあまりない望遠性能は、純粋に使っていて楽しいと感じる。加えて、意外と「遠くを撮りたいシーンが多いな」という気づきもある。
また、焦点距離100mm(4.3倍)の利用時に、「100mm」のアイコンをタップすると、「200mm」「400mm」とさらにズームできる。倍率が上がるほど、画質の劣化は見られるが、AIの補正もしっかりと入り、比較的きれいな撮影ができている。
超広角カメラや70mm望遠カメラでのテレマクロ撮影も満足度の高い仕上がり。AF速度も速く、Proモードでの細かな設定も可能など、隙のないカメラ構成になっている。装着するとどうしても厚みがでるため、スマートフォンらしさを失うという意味で、Photography Kitの使い勝手が、好みを分けるポイントだとは感じるが、よりデジカメに近い形で使いたいというニーズには、しっかりと応えられている印象だ。
面白いのが、設定からシャッター音を変更できる点。無音には設定できないが、スマートフォンらしいデジタル調の音から、デジカメのようなクラシカルな音にまで変更できるので、自分らしさを音でも演出できるのが楽しい。
緩い湾曲のある大画面ディスプレイも魅力
ディスプレイは6.73インチで、解像度WQHD+の有機EL、リフレッシュレートは1Hz~最大120Hzとなる。「オールアラウンドリキッドディスプレイ」というものを採用しており、エッジディスプレイというほどではないものの、四辺が緩やかに湾曲したデザインになっている。
近年はフラッグシップモデルにおいても、フラットなディスプレイが主流になりつつあるが、画面の臨場感を演出するという意味では、湾曲したデザインが非常に有用だと感じる。誤操作が多いとされる湾曲デザインだが、Xiaomi 15 Ultraの場合は、使いにくさを感じるシーンはなかった。
特徴的なのが3200ニトというピーク輝度で、直射日光下でも、画面の視認性が高い。夏場、屋外での視認性にも、期待ができるほど画面を明るくできる。
背面デザインは前モデルを踏襲した形で、カメラユニットは真ん中に配置。本体カラーはホワイト、ブラック、シルバークロームの3色展開となる。今回試したシルバークロームは、横持ちした際にデジカメ風に見えるツートンカラーで、所有欲を満たすクールなデザインが特徴。黒い部分はレザー調の素材になっており、指紋の付着も見られない。デザイン面で見れば、Photography Kitがあるのがかえって惜しいと思ってしまうほどおしゃれで、時にはケースを付けずに使いたいと感じる。
文句なしのハイエンド構成で最新AI機能も利用可能
搭載するチップセットは、クアルコムの「Snapdragon 8 Elite」で、メモリーは16GB、ストレージは512GBか1TBとなる。2025年のフラッグシップモデルとして、文句のないハイスペックだろう。ストレージは256GBモデルがあってもよかったと思うが、カメラ機能が特徴で、多数の写真、動画を本体に保存して使うデバイスだと考えれば512GBからのスタートでも納得感はある。
高い処理能力があるのは疑いようがなく、重いゲームアプリなどでも快適に動作する。ディスプレイ性能の高さも相まって、コンテンツビューアーとしても非常に優れた端末という印象だ。「Xiaomi 3Dデュアルチャネルアイスループシステム」という冷却システムも採用されており、本体の温度上昇は、ほのかに感じられる程度に収まっている。
近年のフラッグシップモデルにおけるひとつの競争軸となっているAI機能としては、文書作成やボイスレコーダーでの文字起こし、通訳機能などが利用できる。電源ボタンを長押しするとGeminiが起動し、Gemini Liveや画像生成機能なども利用可能。処理性能の高さも相まって、AI機能もスムーズに動作する。特に文字起こし機能は、日本語の精度が徐々に向上していることが感じられ、実用的になってきた印象だ。
バッテリーは5410mAhで、最長25時間の動画再生が可能とのこと。カメラやゲームアプリを多用していれば、その分バッテリーの消耗は激しくなるが、実際に使っている感触としては、1日の外出であれば、モバイルバッテリーがなくても、あまり焦るシーンはない。Photography Kitに2000mAhのバッテリーが搭載されているので、本体のバッテリーを極端に消耗しないのも特徴だろう。急速充電は90Wに対応し、ワイヤレス充電も利用できる。
防塵防水性能はIP68、生体認証は超音波式の画面内指紋認証と顔認証に対応。そのほか、Wi-Fi 7やBluetooth 6.0にも対応している。Wi-Fi 7、Bluetooth 6.0は、現時点では使用できる環境が少ないが、先を見据えた機能に対応している点も、フラッグシップモデルらしい魅力と言えるだろう。
ひとつだけ気になるポイントをあげるとすれば、FeliCa非搭載で、おサイフケータイ機能が利用できない点だろう。カメラ機能に特化したフラッグシップモデルで、グローバル発表からあまり間をあけずに日本市場での展開を開始したことを踏まえれば、妥協するべきポイントとも言えるが「スマートフォンにはおサイフケータイ機能が必須」という人には向かない。一方で、「おサイフケータイ機能はいいから、少しでも安くなると嬉しい」という人にこそ、おあつらえ向きの端末と言えるだろう。
なお、Xiaomi 15 Ultraの販売価格は、512GBモデルが17万9800円、1TBモデルが19万9800円となる。円安などの影響が考えられる中、昨年モデルから2万円安くなったのは、素直に驚きだ。その分、Photography Kitが無料になるのは期間限定のキャンペーンとなったが、カメラ機能にこだわりぬいたフラッグシップモデルと考えれば、安いと言っていいのではないだろうか。
望遠カメラが強化され、撮影パターンも豊富なので、スマートフォンで手軽にきれいな写真が撮りたい人、こだわった写真が撮りたい人、デジカメを普段から持ち歩いている人など、幅広い“カメラ愛好家”に試してほしい一台だ。
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