レビュー

ソフトバンクの「福岡PayPayドーム×メタバース」、現地で実際に見てきた

 ソフトバンクと福岡ソフトバンクホークスは25日、福岡PayPayドームのメタバース化の取り組みにおいて協業することを発表した。27日~29日には、PayPayドームへの来場者を対象としたAR体験や、「バーチャルPayPayドーム」のサービスを提供。両者は今後も、サービスの充実などを図っていく。

 今回は、実際に福岡PayPayドームまで足を運び、各種サービスを体験する機会を得た。そのようすを、関係者によるプレゼンテーション資料などとあわせてご紹介する。

「練習見学コース」での投球解析AR体験

 筆者を含む記者一行が最初に体験したのは、「『練習見学コース』での投球解析AR」。練習中の選手にスマートフォンをかざすことで、選手のデータや、実際の投球(練習)に関するデータを確認できるというものだ。

グラウンドでは選手たちが練習中

 この体験はアプリではなく、ブラウザ上で提供された。スマートフォンのカメラを所定の方向に向けると、カメラの情報からユーザーの場所を特定し、その位置にあわせてAR上で情報を表示する。

体験までの流れ
ホームベースの方向にカメラをかざす
現在地の確認に失敗する場合もある
実際の画面
投球にあわせて球速が表示される
選手のバナーをタップすると……
データも確認できる
画像を保存できる機能も

 なお、この日の福岡は快晴で、雲ひとつない青空が広がっていた。最初は内野の3塁側付近で撮影をしていたが、「(まぶしくて)これではスマホの画面が写真にうつらない」ということで、筆者を含む一行はバックネットに近い場所へ移動。

 スマートフォンの画面は無事に撮影できるようになったが、今度は位置情報の特定がうまくいかない……という声が周囲でちらほら。本稿の冒頭に掲載した写真はこのときに撮影したものだが、よく見ると球速表示がややずれている。ソフトバンクと福岡ソフトバンクホークスの両者は、今後もサービスの拡充や改善を図っていくとのことで、さらなるブラッシュアップに期待したい。

雲ひとつない青空。気温もかなり高く、体験中のスマートフォンは熱くなった

VTuberとのリアルタイムAR体験

 続いて、我々はドームの外周デッキへ移動し、「VTuberとのリアルタイムAR」を体験した。この体験は、ホークス公式のVTuberである鷹観音海(たかみね・うみ)と有鷹ひな(ありたか・ひな)の「うみひな」コンビが、ARで登場するというもの。

 地面には目印があり、その付近でスマートフォンを矢印の方向に向けると、AR上でキャラクターが登場するしくみとなっている。

地面にこのような目印があり、このあたりからスマホをドーム方向へかざす
今回筆者がスマホをかざした方向

 今回の体験では、コンビのうち、有鷹ひなが登場。マイクを通じてキャラクターと会話できるほか、モーションキャプチャーの活用によって、キャラがリアルタイムに動く。これにより、「柳田選手のポーズをしてみて」と話しかけるとキャラが実際にそのポーズをとるなど、双方向のコミュニケーションが実現する。

今回の体験では、有鷹ひなが登場 (C)Fukuoka SoftBank HAWKS
体験までの流れは、先ほどの「投球解析AR」とほぼ同じ
(C)Fukuoka SoftBank HAWKS

「バーチャルPayPayドーム」

 最後の体験となった「バーチャルPayPayドーム」は、文字どおりPayPayドームがバーチャル空間に登場するというものだ。先に紹介した2つの体験とは異なり、こちらは自宅から体験できるサービスとして提供された。

 ユーザーはブラウザからアクセスし、3Dアバターとなってバーチャル空間を散策できる。ほかのユーザーとコミュニケーションをとれる機能として、チャット機能なども用意されている。

 また、関連機能が特許出願済みだという「準リアルタイム投球体験」では、試合中の投球データ(球速や軌跡)が解析され、ボールの軌跡がバーチャル空間に再現される。

 「VRモード」も用意されており、スマートフォンを設置したVRゴーグルをつけると、さらに迫力のある映像が楽しめるしくみとなっている。

「準リアルタイム投球体験」は、試合中の実際の投球が反映される
VRモードの映像
スマホを設置したVRゴーグルをつけることで、VRモードで臨場感のある体験を楽しめる
スマートフォンでの体験のようす

担当者のプレゼンテーション

 報道陣向けに説明会も実施され、ソフトバンクのサービス企画本部 本部長を務める原田 賢悟氏と、福岡ソフトバンクホークス ブランド推進本部 副本部⻑ 兼 マーケティング・コミュニケーション部 部⻑の福島 真氏が登壇した。

 原田氏は、筆者たちが体験した一連のサービスについて、概要をあらためて紹介。今後については、「ユーザーがバーチャル空間でユニフォームを作れるサービスなど、ファン視点でのコンテンツを拡充していきたい」と語った。

原田氏

 福島氏は、「新型コロナウイルスによって使えなくなった応援グッズ『ジェット風船』も、バーチャルなら使える」などと語り、野球ファンに向けた「バーチャルPayPayドーム」の魅力を紹介した。

 さらに、将来的なコンテンツのアイデアとして、ホームラン打球の視点を体感する「あの日あの時あの球で」などを紹介した同氏は、「2023年はドーム開業30周年の年。『バーチャルPayPayドーム』を本格展開し、日本全国へ新しい体験を届けたい」と意気込んだ。

福島氏