レビュー

工事不要で使えるドコモの「home 5G」、どんな人にオススメ?

「home 5G HR01」外観

 春は新生活の季節。新たなスタートにあわせて、自宅用のインターネット回線を検討される方も多いかと思います。

 最近では、携帯各社が宅内向けルーターと通信サービスを充実させており、本誌では各社のサービスをご紹介します。まずはNTTドコモの「home 5G」について、実際の通信速度なども含めてお伝えします。

「home 5G」サービスの概要

 NTTドコモは、2021年8月に固定通信サービス「home 5G」の提供を開始しました。「home 5G」は、ドコモの4G/5G回線を用いた通信サービスで、ドコモのモバイルネットワークが原則として使い放題です。

 「home 5G」の通信速度制限について、ドコモのWebサイトでは「当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多い場合は、それ以外のユーザーと比べて通信が遅くなる場合がある」としています。

 この内容の通り、直近の3日間または月間のデータ通信量に基づいた一律の通信速度制限は行われません。通信量が特に大きくなる使い方をしない限り、原則としてドコモのモバイルネットワークが容量制限なしに使えるサービスです。

 「home 5G」専用の料金プラン「home 5G プラン」は月額4950円で、定期契約による割引や解約に伴う違約金は設定されていません。

 「home 5G プラン」には定期契約による割引はありませんが、月額料金から通信料を割り引く「月々サポート」による割引が毎月1100円、最大で36カ月適用されます。

 「home 5G HR01」のドコモオンラインショップでの直販価格は3万9600円のため、本体価格を36回の分割で支払うと、「月々サポート」による割引額と本体代金が同額となる、いわゆる実質0円の価格設定です。

セット割でドコモのスマホ料金が毎月最大1100円割引、離れて暮らす家族も対象

 同一のファミリー割引グループ内で、ドコモの「ギガホ」などスマートフォン向け料金プランを契約している回線があれば、「home 5G」とのセット割が適用されます。なお、オンライン専用料金プラン「ahamo」はセット割の対象外です。

「home 5G セット割」対象プランと割引額
対象プランセット割
5Gギガホ プレミア▲1,100円/月
5Gギガホ
ギガホ プレミア
ギガホ2
5Gギガライトステップ3(3GB~5GB)以上は▲1,100円/月
ステップ2(1〜3GB)は▲550円/月
ステップ1(1GB未満)は割引対象外
ギガライト2

 ドコモのファミリー割引グループは、主回線者からみて三親等以内の家族が対象です。ファミリー割引グループの対象回線には、同居する家族やパートナーに限らず、離れて暮らす家族や親族も含まれるため、かなり広い範囲でファミリー割引グループを組むことも可能です。

 「home 5Gセット割」による割引額は1回線あたり最大1100円ですから、「ドコモ光セット割」などの固定回線とのセット割が適用されていないファミリー割引グループであれば、「home 5G」を新規契約してセット割を適用することで、ファミリー割引グループ全体の通信料金が下がるケースもありえます。

ドコモの定める「三親等」(画像出典:NTTドコモの公式サイト

宅内の工事不要、契約してすぐに使える

 光回線などの固定回線サービスでは、住宅内におけるファイバーケーブルの配線工事が必要となるケースがあり、申込みから開通まで数週間が必要となることもあります。特に春の新生活シーズンは、固定回線の申込み数が増えることで、申込みから工事までの期間が長くなる傾向にあります。

 また、配線工事は立ち会いが必要なため、スケジュールの都合がなかなか合わないケースや、コロナ禍もあり宅内で工事業者と接触するのを避けたい……というケースもあるでしょう。

 「home 5G」などのホームルーターは、宅内での配線工事は不要で、コンセントに挿すだけですぐにインターネット接続が利用できるため、工事スケジュールや宅内配線の都合に左右されることがありません。

 インターネット接続に必要な接続先に関する設定なども完了した状態でルーターが引き渡されますので、ユーザー側ではルーターとスマートフォンやパソコンなどをWi-Fi(または有線LAN)接続するだけで通信環境が整います。

「home 5G HR01」のスペック

 「home 5G HR01」が対応するドコモ回線の通信速度は、5Gで下り最大4.2Gbps / 上り最大218Mbps、4Gではドコモのネットワークのフルスペックである、下り最大1.7Gbps / 上り最大131.3Mbpsに対応しています。なお、5Gのミリ波帯には非対応です。

 Wi-Fi接続は、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)をサポートし、通信速度は最大1201Mbps。5GHzと2.4GHz帯で別々のSSIDを設定できます。パソコンやスマートフォンを5GHz帯のWi-Fiに接続し、5GHz帯に非対応なスマートホーム関連デバイスを2.4GHz帯のWi-Fiに接続することも可能です。

 Wi-Fiの接続可能台数は64台で、モバイルタイプのWi-Fiルーターと比べて接続台数が多く、セキュリティカメラやスマートリモコンなど、スマートホーム関連製品を多数接続しても余裕のある設計です。

 「home 5G HR01」とスマートフォンなどのデバイスを接続する方法には、パスワードを入力して接続するほかに、本体底部にあるシールに印字されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み込む方法や、本体ボタンを操作してWPSで接続する方法など、複数の方法でルーターに接続できます。

気になる通信速度は?

 実際の通信速度については、利用する場所の通信環境によって大きく左右されるため、一概に良い・悪いを評価するのは困難です。

 ただし、ホームルーターはルーターそのものを操作したり持ち運んだりして使う必要がなく、電波が良い場所に設置しやすいため、宅内で窓から離れた場所でスマートフォンやタブレットをモバイル通信で使うよりも、快適な通信環境が期待できます。

 参考に、筆者宅に設置場所を変更して通信速度を測定した結果は、以下の通りです。宅内の窓付近に「home 5G HR01」を設置した場合は下り239Mbps / 上り19.9Mbps、窓から離れた場所に設置した場合は下り51.7Mbps / 上り4.48Mbpsとなりました。

宅内の窓付近に「home 5G HR01」を設置→下り239Mbps / 上り19.9Mbps
宅内の窓から離れた場所に「home 5G HR01」を設置→下り51.7Mbps / 上り4.48Mbps

固定回線よりも速いケースも

 集合住宅などで利用する光回線がVDSL方式などの場合、利用者が多い時間帯は、固定回線よりもモバイル回線のほうが快適に使えることもありえます。

 特に、コロナ禍によってリモートワークやテレワークを実施する企業が増えて、従来と比べて固定回線の通信速度が遅くなった……とお悩みの方は、固定回線からモバイル回線に“のりかえ”を検討しても良いかもしれません。

 一方で、モバイル回線を使ったインターネット接続サービスの通信速度は、ダウンロード(下り)と比べてアップロード(上り)の通信速度が低くなっています。このため、写真や動画など容量の大きなファイルをアップロードする用途では力不足を感じることがあるでしょう。

 容量の大きなファイルをアップロードしながら、高品質な動画配信サービスの視聴などを同時に行うと、ダウンロードにかかる時間が長くなったり、動画の再生が止まってしまったりします。このように、上りの速度不足が原因のトラブルには注意しましょう。

 なお、5G基地局に近い場所に「home 5G HR01」を設置し、パソコンとLANケーブルで有線接続した状態では、下り通信速度が800Mbpsを超える結果となりました。5G基地局がすぐ近くにあるなど、通信環境が良好な場合にも、固定回線より快適な通信環境となる可能性があります。

5G基地局のすぐ近くで通信速度を測定→下り854.11Mbps / 上り 111.35Mbps

ドコモショップやオンラインで申込み可能

 「home 5G」に対応する「home 5G HR01」は、ドコモの公式オンラインストア「ドコモオンラインショップ」のほか、ドコモショップや家電量販店の店頭で申し込めます。

 オンラインでの申込みは、申込みから端末の受取まで最短ケースでも2~3日を要しますが、事務手数料が無料になるほか、好きなタイミングで申込み手続きが行えるメリットがあります。

 また、ドコモショップや家電量販店などの店頭では、契約したその日から使えるメリットがあり、急いでインターネット環境を整えたい場合にも活用できます。

 なお、「home 5G」は契約住所としてドコモに届け出る住所以外では利用が禁止されており、実際に移動したことが検知されると、通信が停止する仕様となっています。

 宅内で設置する部屋を変える程度であれば制限を心配する必要はありませんが、物理的に離れている自宅と事務所間を移動させて使うことはできません。

 引っ越しなどで使う場所を変更する場合は、My docomoやドコモインフォメーションセンターなどで、利用する住所を変更するための手続きを行うと、住所を変更できます。