レビュー

「HUAWEI P30」クイックインプレッション

「Mate」を買うか、「P」を買うか

 ファーウェイのハイエンド機を選ぶユーザーにとって、春~夏に登場する「P」シリーズと秋~冬の「Mate」シリーズ、どちらのタイミングで機種変更するべきかは悩ましい問題ではないだろうか。

HUAWEI P30

 単純にスペックだけを考えれば、Mateシリーズがモデルチェンジするタイミングでチップセットの「Kirin」シリーズが刷新される流れが恒例となっているので、1年後まで最先端の高性能端末でいられるMateを選んだ方が良いようにも思える。実際、半年前に登場した「Mate 20 Pro」と夏モデルの「P30 Pro」のスペックはそう変わらない。

 しかし、1年前の「P20 Pro」ではトリプルカメラが初搭載され、今回の「P30 Pro」や「P30」ではズーム機能の進化が話題となっているように、機能面に目を向けるとPシリーズもまた物欲を掻き立てる製品だ。

約4000万画素のメインカメラに、広角・望遠カメラを加えた豪華なトリプルカメラ

 P30をお借りして、真っ先に使ってみた機能はやはりカメラ。仕様の違いからP30 Proのような50倍ズームはできないが、同様の技術が採用されており、光学3倍、デジタル30倍、一定以上の画質を保った「ハイブリッドズーム」で5倍までズームできる。

 30倍ズームという響きは確かにインパクトがあるものの、使ってみるとむしろ、5倍までのハイブリッドズームのクオリティーに感心した。劣化を抑えて拡大できるデジタルズームの一種なのだが、自然に十分な解像感のある写真が撮れる。日常的な撮影であれば大抵はハイブリッドズームが使える範囲で収まってしまうであろうことを考えると、この機能はとても心強い。

広角カメラの作例
メインカメラの作例
望遠カメラの作例
ハイブリッドズーム(5倍)の作例

 また、一般的なコンパクトデジタルカメラなどのスペック表記では、「○倍ズーム」と言えば望遠端の焦点距離が広角端の焦点距離の○倍であることを指すが、実は、P30のカメラは「1倍」の基準が広角カメラではなく、最も高性能な約4000万画素のメインカメラに置かれていて、広角カメラは「0.6倍」として扱われている。

 つまり、「一番広い画角」と「(デジタルズームの)最も望遠寄りの画角」を比べると、実際は30倍どころではないのだ。「30倍で足りるだろうか、やはり50倍ズームのP30 Proに惹かれる」という人も、十分満足できる可能性が高い。

馴染みのある位置に移動した画面内指紋センサー

 初搭載の機能というわけではないが、画面内指紋認証も気に入った。筆者は、画面内指紋認証を早く体験してみたかったという理由で昨年の「Mate 20 Pro」をすでに購入しているのだが、使い比べてみると指紋センサーの位置がだいぶ下寄りに移動しているのが分かる。ホームボタンに指紋センサーが組み込まれていた頃の機種に近い位置となっており、小さな変更点だが操作しやすくなったと感じる。

グラデーションが美しい「ブリージングクリスタル」

 もう1つ気に入った点がボディカラーで、今回は2種類のグラデーションカラーのうち、「ブリージングクリスタル」を試用した。白から青、青から紫へのグラデーションが美しく、ほかのものに例えるなら貝殻の真珠層のような不思議な魅力のある色合いだ。