ニュース
タフネススマホ「TORQUE G02」の耐久試験を公開
海中でも雪山でもアクティブに使える堅牢さ
(2015/7/9 16:52)
KDDIと京セラは9日に、報道関係者向けに、7月上旬発売予定のAndroidスマートフォン「TORQUE G02」の製品説明会を実施した(関連記事)。説明会後、同製品の耐久試験の一部を公開した。
「TORQUE G02」は、auで定期的に登場しているタフネススマホの最新機種。今回は世界初の耐海水対応モデルとなった。
ハードウェア性能では、米国国防総省が定める耐久試験「MIL-STD-810D」(いわゆるMILスペック)に準拠した、19項目の試験と、京セラ独自の2項目の耐久試験を実施している。
そのうち、今回公開されたのは落下耐久試験、低温動作試験と、防水性能試験。このほか、端末の性能を示すデモンストレーションが披露された。
落下耐久性能
落下耐久性能では、26方向で高さ1.5mからラワン材の上に落下させる試験を実施。落下後も動作に問題がないことを確認している。製品化までに実施された落下試験の総実施回数は、1万回を超えるという。参考として、同じ京セラ製の「URBANO V03」の落下耐久試験では、1.22mの高さから実施されている。
このほか、耐衝撃試験では40Gの衝撃を6方向から3回与える試験、耐振動では一回3時間の振動試験を実施している。
耐荷重性能
耐荷重性能については、京セラ独自の試験で、端末全体に100㎏重の面荷重をかける試験を実施している。
説明会の場では、端末上にアクリル板を置き、上から踏みつけても正常に動作するというデモンストレーションを実施し、耐荷重性能をアピールしていた。
低温環境での動作
低温動作試験のデモンストレーションでは、冷凍庫のような試験機に端末を入れて、摂氏-21度まで冷却した状態で動作させていた。温度耐久試験では、-21度の環境下での3時間の低温動作試験、50度での3時間の高温動作試験を実施。-21度から50度までを急激に変化させての耐久試験を実施している。
また、低温・高温での保管については、-30度・60度で4時間の耐久試験を実施している。
耐氷結性能では、-10度の結露を発生させて1時間維持した状態での動作を確認しているという。
防水・耐海水性能
防水性能では、1.5mの水中を想定した試験機に30分間沈める試験を実施している。これは、端末を水中に沈めた上で、任意の水圧をかけることができる試験機。京セラ独自の試験となる耐海水試験では、この試験機内の水を日本沿岸部を想定した海水に置き換えて試験を行っている。
このほか防水性能では、風雨試験と雨滴での試験を実施している。
同端末では、耐海水への対応のために、本体構造を工夫している。海水では真水とは異なり、塩分による通気性の悪化や、本体の金属部品の腐食などの問題が発生する。
塩分による通気性の悪化の対策では、スピーカー部やカメラフラッシュ部を保護する通気膜を直接洗える構造とした。背面カバーを外すと、通気膜構造が見えるようになっており、水道水で塩分を洗い流しして通気性を回復できるようになっている。
金属部品の腐食については、筐体でカバーする措置を実施している。海水と直接触れる部分のネジについては、焼き付け塗装を行うことでサビを防いでいる。本体側面のショートカットボタン「ダイレクトボタン」についてはアルミ素材を使用し、表面にアルマイト処理を行うことによって耐腐食性能を高めている。
マリンアクティビティでの使用を意識して、浜辺での砂の混入への対策も行われている。ボタン部に防水シートを設置することで、ボタンに砂が詰まりにくい構造としている。砂が詰まってしまった場合も、ボタンを押しながら流水で洗うことで、洗い流すことができるという。
水中撮影モード
「TORQUE G02」では、水中でのカメラ撮影機能を搭載している。水中でカメラ機能を起動すると、端末が水中に入っていることを自動で検知し、水中撮影モードが起動する。
水中ではタッチパネルと前面ボタンが動作しないため、側面のボタン(音量上下キー、シャッターキー、ダイレクトボタン)を用いて操作する。
水中撮影モードでは、写真だけでなく動画の撮影も可能。フラッシュライトを点灯させての撮影もできる。水中では赤色の光が減衰したり、屈折によって歪んで写ってしまうという問題があるが、それをソフトウェア的に補正して、撮影することができる。
さらに、背面カメラだけでなくインカメラでの撮影にも対応しているため、水中での自分撮りができるのも特徴。
水中で側面ボタンを使用できるようにするために、ボタン荷重が工夫されている。一般的なスマートフォンでは、水中では水圧によってボタンが押されてしまうために、使用できなくなるが、「TORQUE G02」の側面ボタンは、1.5mの水中でも使用できるように、ボタンにかかるスイッチ荷重を大きめに設定している。通常使用時(大気中)での使用時にも支障がないように、バランスのとれたスイッチ荷重で設定しているという。なお、前面のボタンについては、通常時の頻繁に使用するため、スイッチ荷重を大気中での使用に最適化されるよう設定しているため、水中では使用できない。
水滴が付いた状態や手袋着用時の操作
水滴が付いた状態での操作にも対応している。タッチパネルに人間が触った場合と、水滴が付着した場合とでは、微妙に異なる電気の変化が検知されるという。「TORQUE G02」では、この変化を検知して、水滴が付着した場合でも問題なく操作できるようになっている。
また、軍手やグローブといった、手袋を利用した操作にも対応している。手袋モードは、手袋で触った状態で画面ロックを解除すると、自動的に有効になる。その後、素手で触った場合、手袋モードは終了し、素手のみの操作になるという。
風雨 | 降雨量1.7mm/分、6方向各30分間の降雨試験 |
浸漬 | 約1.5mの水中に30分間浸漬する試験 |
雨滴 | 高さ1m雨滴(15分)の防水試験 |
粉塵 | 連続6時間(風速8.9m/秒、濃度10.6g/m3)の粉塵試験 |
落下 | 高さ約1.5mから26方向で合板(ラワン材)に落下させる試験 |
衝撃 | 衝撃試験機に端末を取り付け、40Gの衝撃を6方向から3回与える試験 |
振動 | 3時間(3方向各1時間/20~2,000Hz)の振動試験 |
太陽光照射 | 連続20時間1,120W/m2の日射後、4時間offを10日間繰り返す試験 |
湿度 | 連続10日間(湿度95%)の高湿度試験 |
高温動作 | 動作環境:50度で連続3時間、保管環境:60度で連続4時間の高温耐久試験 |
高温保管 | |
低温動作 | 動作環境:-21度で連続3時間、保管環境:-30度で連続4時間の低温耐久試験 |
低温保管 | |
温度衝撃 | -21~50度の急激な温度変化で連続3時間の温度耐久試験 |
低圧動作 | 連続2時間(57.2kPa/高度約4572m相当)の低圧動作/保管試験 |
低圧保管 | |
塩水噴霧 | 連続24時間の5%塩水噴霧後、24時間乾燥させる塩水耐久試験 |
凍結・融解 | -10度環境で結露や霧を発生させ1時間維持し、25度、95%RH環境で動作を確認する試験 |
氷・低温雨 | -10度の冷却水で6mm厚の氷が張るまで氷結させる試験 |
耐海水 | 常温・静水状態の海水(日本沿岸部の組成を模した人工海水)の水深1.5mに約30分沈めても本製品内部に浸水せず、電話機の性能を保つ |
耐荷重 | ボディ全体に100kg重の面荷重が均等にかかっても電話機の性能を保つ |