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USEN、570チャンネル以上でスマホ向けに音楽聴き放題サービス

 USENは、スマートフォン向けに音楽やエンターテイメントコンテンツを定額の聴き放題で提供するサービス「スマホでUSEN」を開始した。これまで基本的に法人向けに提供されてきた“有線”をスマートフォン向けに提供するという、ラジオ型の音楽配信サービスで、90万曲以上、575チャンネルを用意。今後は100万曲以上に楽曲数を増やし、チャンネル数も2014年には1000チャンネルを目指す。iOSとAndroidのアプリが用意され、利用料は月額490円。利用にはUSENのIDが必要になる。

 USENはまた、ローソンHMVエンタテイメント(LHE)と協業し、配信される楽曲やコンテンツは共通で、楽曲購入などのサービスを加えた別のアプリ「USEN 550ch×HMV」も提供する。利用料は月額490円(登録初月は無料)で、利用にはローソンWEB会員のIDが必要になる。「USEN 550ch×HMV」は、マーケティングやPRをLHEが担当するもので、配信された楽曲情報からリンクされる「HMV ONLINE」では、同じローソンWEB会員のIDでCDなどを購入できるようになっているほか、ローソンやHMVの店頭、PONTA会員向けに実施されるキャンペーンなどとの連携も検討されている。

 どちらのアプリも、USENが楽曲やコンテンツを調達・編成し、配信する「スマホでUSEN」が基になり、「USEN 550ch×HMV」はマーケティング施策を加えたものという位置付け。なお、USENが提供するアプリ「スマホでUSEN」でも、「HMV ONLINE」のCD購入ページにアクセスできるが、購入には別途ローソンWEB会員のIDが必要になる。

 どちらのアプリも、利用料の支払いはクレジットカードで、今後はキャリア決済にも対応する予定。

 両アプリの基本となる「スマホでUSEN」は、USENが持つ楽曲やコンテンツを活用した音楽配信サービス。最新楽曲やメジャーな楽曲をはじめ、波の音だけ、カエルの泣き声だけ、羊の数を数えるだけなど、USENならではのユニークなチャンネルも用意する。また、各チャンネルで配信される楽曲は、チャンネルディレクターが厳選。音圧補正などでも、USENが過去50年の音楽放送で培ったノウハウが投入されているという。配信ビットレートなどの仕様は非公開。

 「スマホでUSEN」ではまた、トークバラエティもラインナップ。テレビやラジオなどの放送ではない、会員向けの独自のトーク番組として制作され、国生さゆり、谷村新司、アリス十番などの人気タレントやアーティストがそれぞれ番組を担当する。このほか、ECC外語学院などから提供を受ける語学学習の専門チャンネルや、スポーツ・フィットネス向けにテンポをそろえたチャンネルなど、さまざまなジャンルを取り揃える。

USENの「歴史的な1日」

 12月3日には都内で記者向けに発表会が開催され、概要が発表された。ゲストとして、新たにトーク番組を制作する国生さゆりが登場、JiLL-Decoy associationからchihiRoも登壇し、サービス開始をアピールした。

USENグループ会長の宇野康秀氏

 登壇したUSENグループ会長の宇野康秀氏は、「このサービスの登場で、歴史的な1日なる」と挨拶。宇野氏は、業務用として圧倒的なシェアと加入者数を獲得する一方で、個人で利用したいという一定の要望があったことを説明し、セットトップボックスの導入が、個人向けには利用が広がらなかった理由だったと振り返る。

 宇野氏はまた、日本の音楽市場でCDの売上が減少し、音楽配信市場もフィーチャーフォンの減少に伴う着うた配信の減少などで縮小している実態を示すものの、定額制の音楽配信サービスが拡大し「これからも伸びていく」と指摘。アメリカのネット上で提供されている定額制サービスも、現在は2500万人という規模になっているとし、「日本でも伸びる裏付けになるだろう」とした。また、日本で6200万台といわれるスマートフォンの3%のユーザーが利用しても100万人以上になるとし、3年後まに100万人のユーザー獲得を目指すとした。

 宇野氏からは、実際にスマートフォン上で「スマホでUSEN」を操作してデモンストレーションが行われたほか、575チャンネルでスタートするという豊富なチャンネルのラインナップや、「人でもって編成する」というこだわり、ノウハウの投入が解説され、J-POPのジャズ・カバーチャンネルについては宇野氏自身がリクエストして追加されたチャンネルであるといったエピソードも明かされた。

 宇野氏は、スマートフォンに対応することで、音楽に接する機会が増えるとし、「テストで使っていたが、私も本当に音楽を聴く時間が増えた。Bluetoothスピーカーなど、さまざまな機器が出ており、気軽に聞けるようになっている。自分で用意した楽曲に飽きたという場合にも使ってもらえる」とアピールした。

 発表会では、ローソンHMVエンタテイメント 代表取締役社長の坂本健氏も登壇し、「USEN 550ch×HMV」の概要が説明された。坂本氏は、HMVの店舗やWebサイト、ローソンチケットやローソンの店舗といった場所で多くのユーザーとの接点があるとし、こうした場所で積極的にPRしていく方針を説明した。

 坂本氏は、「音楽を聴く機会が減っている。CDのマーケットは縮小しているが、これには音楽に出会うきっかけが減っていることが背景にあるのではないか。家にはオーディオやパソコンもなく、リッピングもしないというケースもある。しかしスマホは持っている。本サービスで、音楽の流れる生活になる。フィジカルなCDやDVDの販売機会も増やし、市場の活性化の一翼を担いたい」と意気込みを述べた。

ローソンHMVエンタテイメント 代表取締役社長の坂本健氏

国生さゆりは子供っぽい!? トーク番組で「新たな私を発見してください」

国生さゆり(左)、JiLL-Decoy associationのchihiRo(右)

 発表会ではこの後、国生さゆり、JiLL-Decoy associationのchihiRoが登場。国生さゆりは、「デビュー当時に『走れメロン』(1986年~)という番組をやっていたことはありますが、トークバラエティのような、自分発信で番組をやりたいと思っていたので、新しい所で参加できるのはうれしいです」と、意気込みを語る。

 司会者から、普段はサバサバしているイメージですが? と問われると、「もうね、ほとほと、疲れてます(笑)。私、“小3男子”と言われるぐらい、子供っぽいんです(笑)。その中に、乙女心も持っている? 強がっているので、打たれる前に守ってしまうんです。なので、どうしても男前に演じてしまいます」と、本人のキャラクターも「メレンゲのように、癒し系のように」女性的な内容で、番組を作っていくとのこと。その番組内容は、「旅行、料理、ファッション、恋トーク、ちょっとだけ悪口・不満?」と多岐にわたるようで、「新たな私を発見してください」とアピールしていた。

 chihiRoは、アーティストとして、音楽を普段聴かない人に届けることの難しさを語り、USENの新しいサービスに歓迎のコメント。気になるチャンネルを問われると、「個人的には、もうちょっとジャズを勉強したい。カフェの音楽なんていうのもあって、家で聴くだけで雰囲気が変わりそう」と、すでにいくつかのチャンネルをチェックしている様子。「人が選んだ楽曲に出会えて、世界が広がる」とUSENの配信スタイルにも期待を寄せていた。

実機でのデモンストレーション

太田 亮三