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富士通、らくらくスマートフォン2/プレミアムを披露
コミュニティも刷新しハード・ソフトの両輪で展開
(2013/7/31 18:11)
富士通は、NTTドコモから発売される2つのらくらくスマートフォン、「らくらくスマートフォン2 F-08E」と「らくらくスマートフォン プレミアム F-09E」の製品発表会を開催した。すでに端末の内容はドコモから発表されているが、開発元である富士通が開催したこの発表会では、製品のコンセプトや富士通が提供するコミュニティサービスの刷新、事業戦略なども解説された。
「らくらくスマートフォン2」は8月中旬に、「らくらくスマートフォン プレミアム」は9月下旬~10月上旬にドコモから発売される予定。「らくらくスマートフォン2」はすでに提供しているスマートフォン版らくらくホンの第1弾から正当進化させた内容で、タッチパネルの操作性の向上や薄型化など、技術的な面でも進化している。フィーチャーフォンとスマートフォンの中間に位置付けられるコンセプトは、従来のらくらくスマートフォンから継承する。
「らくらくスマートフォン プレミアム」は、より一般的なスマートフォンに近づけた製品で、Google Playへの対応とアプリの自由なダウンロードに対応。合わせてマルチタスクに対応するなど、ユーザー次第では普通のスマートフォンのように使うことも可能になっている。
富士通はまた、2012年8月より提供している、らくらくスマートフォンシリーズ向けのコミュニティサービス「らくらくコミュニティ」を、「らくらくスマートフォン2」の発売に合わせてリニューアルする。ユーザーからの要望に応じて掲示板機能の拡張やサークル機能の追加などを行う。また、家族と一緒に利用できるよう、フィーチャーフォンのほかに、パソコンなどからもサービスにアクセスできる形にシステムを拡張する予定になっている。
スマートフォン事業は「富士通の先兵」
7月31日に開催された富士通の発表会では、最初に富士通 代表取締役副社長の佐相秀幸氏が登壇し、らくらくスマートフォンやスマートフォン事業の概要を語った。
佐相氏は冒頭、発表会でこの後に登場する大竹しのぶがらくらくホンシリーズのイメージキャラとして10年目になることに触れ、シリーズ累計で2250万台の出荷になっていることを紹介した。
同氏は富士通の第1四半期の決算に言及し「増収増益になっている」と前向きな姿勢をみせる一方、富士通のモバイルフォン事業は「2012年度は国内シェア2位となったが、海外メーカーの攻勢で非常に厳しい戦いになっているのは言わずもがな」と厳しい競争環境であることを確認。「最新のARROWS NXはハイスペックで、非常に健闘しており、一矢報いたという数字。メイドインジャパンの力が評価されたと自負している」と最新モデルへの自信も見せた。
らくらくホンシリーズについては、ドコモと共同で提供しており、マーケティングの徹底や技術改善を続けてきたことを紹介。「弊社独自の音声技術など、携帯電話の技術を牽引している。自動車にも関連技術は展開している」と、さまざまな技術革新で成り立っている様子を紹介。また、富士通の技術を一般ユーザーに展開する面でも、モバイル端末は「フロントの商品」と位置付け、基盤商品を強化しながら「事業として安定した方向に持っていきたい。富士通の掲げるビジョンの先兵としてしっかりと取り組みたい」と語った。
「最先端のスマートフォンの技術が入っている」
富士通 執行役員常務の大谷信雄氏からは、「らくらくスマートフォン2」と「らくらくスマートフォン プレミアム」について、コンセプトや内容が解説された。
大谷氏は、らくらくスマートフォンとして発売したシリーズは、フィーチャーフォン版のらくらくホンのユーザーに対し「新しい世界を提供するもの」と紹介。また、「モノだけでなく、社会とのつながりも」というコンセプトから、富士通が手がける形で「らくらくコミュニティ」という掲示板を中心としたサービスもらくらくスマートフォンのユーザー向けに提供し、ハードとサービスの両面でシニア層の利用をサポートする方針。
今回発売される「らくらくスマートフォン2」と「らくらくスマートフォン プレミアム」は共通している部分もあり、物理的なボタンの“押し込み感”を再現し、振動によるフィードバックのレスポンスも改善して「よりキーボードに近づいた」というタッチパネルや、高輝度でも消費電力の上昇を抑え、晴天下の屋外でもみやすさを確保した液晶パネルなどが代表的な共通点になっている。
第1弾として提供した「らくらくスマートフォン」のユーザーからの意見や要望を踏まえて、文字入力やタッチパネル、軽量化といった両機種共通の進化に加えて、「らくらくスマートフォン プレミアム」においてはGoogle Playへの対応も図られた。
基本的に両機種とも使い勝手は共通だが、大谷氏は、「らくらくスマートフォン2」は「従来の安心感のあるデザインで、買ってすぐに使える」と紹介。「らくらくスマートフォン プレミアム」については「より大人のデザインにシェイプアップし、Googleのサービスをフルサポートする」と位置付けている。
大谷氏は、「外観はおとなしいように見えるかもしれないが、中には最先端のスマートフォンの技術が入っている」と語り、高度な技術に支えられていることを紹介した。
質疑応答の時間では、今回紹介されたモデルの出荷台数を聞かれると、大谷氏は「我々から言うのは難しいが、これまで年間100万台ということで続けてきたので、そのあたりがターゲットになる」とした。また、ドコモのツートップ戦略の影響を聞かれると、「ARROWS NXなどはテクノロジーを牽引する機種。採用してもらう方向で頑張るとしか」と、引き続き高性能な機種で働きかけていく方針を示した。
仏Orangeに「らくらくスマートフォン」の前モデルを海外版として供給している件については、「限定的なテスト版という位置付けで九十数店舗で販売しているが、ある意味順調に伸びている。我々としては順調な立ち上がりと考えている。本格展開は、Orangeとの協議次第」と回答。「各国のキャリアに提案しており、らくらくスマートフォンのような明確な特徴のある商品は展開していきたい」と引き続き取り組んでいく姿勢を示した。
大竹しのぶが進化した液晶に感心
発表会ではこのほか、らくらくホンシリーズにおいて、富士通がイメージキャラクターとして起用している女優の大竹しのぶがステージに登場した。
新しいCMの撮影をすでに済ませた大竹しのぶは、「すごく暑く、眩しかった」と当日を振り返る。これは、晴天下でも高輝度で見やすく、なおかつ低消費電力を実現した液晶パネルをアピールする内容のためで、できあがったCMを見た感想も「本当に眩しそう」。ただ、謳い文句通りに「明るくても見やすいのが特徴」と感想も語った。
大竹しのぶは「薄くなって片手で持てて、画面が大きいのも嬉しい」とハードウェアの進化に感心している様子で、特に、晴天下でも見やすかったという画面については「ここにくるまでにどれだけの人が研究してきたのだろうと考えると、進化に対して敬意を表したい」としみじみと語っていた。
刷新される予定のサービス「らくらくコミュニティ」については、自宅で飼っている2頭の犬(コーギー)の写真を投稿したことを明かし、「バーン! って言うと、死んだフリをするんです」と秘密の特技も紹介。悪意のあるユーザーや書き込みに対しては24時間体制の監視体制が用意されていることも、安心感として挙げていた。
大竹しのぶは最後に、「らくらくホンシリーズのいいところは、必要なものを、必要なときに手にすることができる点。スマートフォンはすごく便利だが、らくらくスマートフォンなら機能を使い切れないこともなく、本当に楽しめる」とアピール、シニアだけでなく「50代、40代でも、楽しんでいただけたら」と締めくくった。