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キャリア決済でアプリ売上14倍、パズドラはiOS/Androidが同数に
(2013/7/31 12:56)
キャリア決済の導入以降、日韓ではアプリの売上が14倍になった。人気ゲーム「パズル&ドラゴンズ」は遅れて登場したAndroid版ユーザー数がiOS版ユーザー数に追いついた――31日、コンテンツ配信プラットフォーム「Google Play」で活躍する開発者を紹介する説明会で明らかにされたトピックだ。
説明を行ったのは、4カ月前に日本へ赴任したばかりというグーグル エンジニアリングディレクターのクリス・ヤーガ(Chris Yerga)氏。今年の「Google I/O」の基調講演では楽曲配信サービスを紹介した同氏は、今回、Google Playを通じたエコシステムの構築を図るため、グーグルが開発者を支援していることなどについて触れた。またガンホー・オンライン・エンターテイメントで人気ゲーム「パズル&ドラゴンズ」のプロデューサーでもある山本大介氏も登場した。
グーグルの取り組みとは
5月の段階で、世界中でアクティベートされたAndroid端末の台数は9億台。そして有償・無償を含めたアプリは100万を超え、ダウンロード数は500億件に達している。Google Playは日々、190の国と地域で利用されている。
Google Playを通じた収益のうち67%は米国以外で発生している。グーグルからデベロッパーへ支払った金額は、2013年7月現在、2012年を通じて支払った額を既に超えている。グローバルでユーザー1人あたりの売上も2.5倍に増えた。
これが現在のGoogle Playのグローバルでの規模だ。「開発者にとって経済的なチャンスになる」とヤーガ氏が胸を張る通り、成功すれば莫大なリターンが期待できる市場となっているが、成功までの道のりは平坦なものではない。
グーグルとしても開発者を支援する仕組みを整えているとのことで、ヤーガ氏は、素材を揃えたSDK(開発キット)、API、Android Studioなどの存在に触れたほか、先週から多人数で楽しめるゲームに向けた仕組み「Google Play ゲームス」の提供を開始したことを紹介。また日本ならではの取り組みとして、携帯電話の料金と一緒にコンテンツ代金を支払える、キャリア決済へのサポートを挙げる。これは韓国でも導入されており、日本と韓国では、キャリア決済導入後、アプリの売上が14倍に伸びた。ちなみに日本市場そのものは、Google Playの売上規模でも世界トップ5に入るという。
アプリ内課金の仕組みも整えられ、Google Playのトップ24のアプリのうち、23はアプリ内課金で収益化に結びつけている。
成功した企業は老舗ゲーム企業、そして新興のコロプラ、ガンホー
ヤーガ氏は、日本で成功したアプリの代表例として「なまず速報」を挙げる。いわゆる緊急地震速報ではなく、パケット通信経由での配信となるアプリだが、東日本大震災以降、大きな支持を得て1カ月で100万ダウンロードを記録したという。
その他のアプリでは、スクウェア・エニックス、セガ、バンダイナムコゲームスといった老舗ゲームメーカーが人気としたヤーガ氏は、新興企業でもコロプラ、ガンホーのような企業が台頭していることを紹介した。
ヤーガ氏は、日韓に限定した場合、モバイルゲームの人気が他の市場と比べて大きな特徴と指摘。また開発途上国では、日米韓での数年前の状況がまさに今、展開されているとして、スマートフォンの移行期に入ってGoogle Playにとって成長が見込める環境になってきたと語る。
一方、KDDIが提供する定額制サービス「auスマートパス」についてヤーガ氏は「今日初めて知った」とコメント。定額制のアプリ使い放題で、開発者と通信事業者が収益を分配するという形は興味深いと述べるに留まった。
アプリの安全性は?
審査が行われるアップルの「App Store」と比べて、Google Playはそうした面で自由度が高い。その反面、個人情報を盗み出すようなアプリが存在している。
基本的にグーグルでは、「バウンサー」と呼ばれる仕組みを導入して、全てのアプリをスキャンしている。グーグルが掲げるポリシーとして、秘密裏に情報を集めたり、ユーザーへ情報を収集すると説明しなかったりするようなアプリは、「バウンサー」によって排除される。違反事例が重なると、その開発者のアカウントはGoogle Playから追放される。
一方、ヤーガ氏は「連絡先へのアクセスなど、Androidアプリでは、どのような権限を用いるのか示すようにしている。最善な形は、ユーザーへ十分情報を提供し、開示された情報に基づいてユーザー自身が1人1人、判断を下す、ということ。またコミュニティの活用も十分考えられることで、レビューや評価を通じてリスクのあるアプリへの『危ないよ』などと否定的なレビューがあれば、ユーザーも避けられる」と語る。囲み取材に応えたヤーガ氏は、パーミッションの説明の仕方については、課題と認識しているものの、当面はユーザー同士の口コミなどでの解決が良いのでは、とコメント。コミュニティの役割を期待するヤーガ氏に対して、グーグルの技術での解決法を探らないのか、という問いにはコメントを避けており、今後何らかの取り組みが実施される可能性をうかがわせた。
iOS版をしのぐ勢いのAndroid版「パズドラ」
続いて登壇したガンホーの山本氏は、2012年9月にリリースしたAndroid版「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」の現状を紹介する。iOS版は昨年2月にリリースされ、半年以上遅れて登場したAndroid版だが、徐々にユーザー数(MAU)の差は縮まり、6月の段階ではほぼ並ぶ格好となった。
なお、山本氏が示したグラフを見ると、iOS版のユーザーは5月から6月にかけて減少したようにも見えるが、質疑応答には答えず退出したため、7月に入ってどういった状況になったかは明らかにされていない。
金額は明らかにされていないが、売上の差もどんどん縮まり、今年4月の段階でiOSとAndroidの売上が同等となり、5月、6月はAndroidの売上が上回っている。
海外での状況について山本氏は「韓国でもうまくいっている」とコメント。グラフでは5月と比べて6月の売上は落ちているように見えるが、「7月はこれ以上で順調に伸びている」とした。北米ではあまりプロモーションをしていない状況ながら伸びているとのことで、まもなく本格的なプロモーションを実施することで、さらなる成長を見込めるとした。