アップルの“発明”、新型「iPad」を国内で初披露
The new iPad |
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米アップルは、iOS搭載タブレット「iPad」の新モデルを発表した。発表会では、「iPad(アイパッド)」と呼称され、表記上は「The new iPad」と紹介された。8日、都内で報道関係者を限定する形で発表会を開催、新しいiPadがお披露目された。
新型「iPad」は、端末の外観こそ大きな変化はないものの、iPhone 4/4Sでも採用されているRetinaディスプレイがiPadにも採用された。9.7インチのディスプレイは、解像度が一気に向上し、2048×1536ピクセル(解像度264ppi)となる。彩度も44%向上する。
また、この高解像度のディスプレイを処理するプロセッサも変更され、新たにクアッドコアの「A5X」が搭載される。発表会では、「A5X」のグラフィック性能について、NVIDIA製の「Tegra 3」の4倍、iPad 2の「A5」よりも2倍の処理性能と表現していた。
カメラ機能はオートフォーカス付き、オートホワイトバランス機能付きの500万画素裏面照射型となる。1920×1080ドットの1080P動画撮影にも対応し、手ぶれ補正機能も用意される。
端末のOSは、iOS 5.1となる。同バージョンは、音声コンシェルジュ機能となる「Siri」に対応し、日本語もサポートされるが、「Siri」はiPhone向けの機能となる。新型「iPad」では、日本語の音声入力機能が用意され、メールなどの入力時に音声で本文入力が行える。これに伴い、ソフトウェアキーボードには、音声入力用のマイクキーが用意される。
通信関連では、3.9Gに位置づけられるLTE方式のサポートも明らかにされた。HSPAなど3G網も利用できる。利用時間は10時間で、LTE網を利用する場合は9時間となる。
大きさは241.2×185.7×9.4mmで、iPad 2と比較すると厚さが8.8mmから9.4mmと少し厚みが増している。重さはWi-Fi版が652g(601g)、Wi-Fi+4G版が662g(613g)。()内はiPad 2の重さとなる。
国内発売は3月16日。8日から予約を受け付ける。Wi-Fi版とWi-Fi+4G版にそれぞれ、容量のことなる3タイプの製品(16GB、32GB、64GB)がラインナップされる。Wi-Fi版の価格は、16GB版が4万2800円、32GB版が5万800円、64GB版が5万8800円。Wi-Fi+4G版の価格は、16GB版が5万3800円、32GB版が6万1800円、64GB版が6万9800円となる。
ボディカラーはブラックとホワイトの2種類が用意される。iPad 2同様、Wi-Fi+4G版は背面のデザインはWi-Fi版と異なっている。
■高精細な9.7インチRetinaディスプレイ
なお、発表会終了後に実機がお披露目された。手にした第1印象は「iPad 2よりも少し重いかな」といったところ。外観上は現行iPadとほぼ変わらないため、新鮮さは薄い。
ただし、ディスプレイは一目で高解像度であることがわかるほど、精細な印象だ。Webサイトなどを閲覧した際にも、明朝体でもゴシック体でも輪郭がギザギザすることなく、拡大したフォントが非常に美しい。店頭などで、実機を確認していただきたいところだ。
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■iPadはポータブルコンピューティングを再発明した
ティム・クック氏 |
発表会では、日本時間午前3時に米国で行われた発表会の映像が流された。現地で登壇したアップルの最高経営責任者(CEO)であるティム・クック氏は、パソコンに替わる次のデバイスを“ポストPC”と表現し、「もっともよく使うものはもっとポータブルで劇的に使いやすくなければならない。iPadは、ポータブルコンピューティングを再発明している」と話した。
クック氏は、この“ポストPC”の分野でアップルは、2011年第4四半期の売上げの76%を得たと説明した。それを支える端末プラットフォーム「iOS」はこれまでに3億1500万台が投入され、2011年第4四半期だけでも6200万台が販売されたという。
また、8日に発表された最新版「iOS 5.1」に言及し、音声コンシェルジュサービス「Siri」を紹介。日本など多言語化が進んだことを印象づけた。
アプリ配信マーケットである「App Store」には現在、58万5000アプリが配信されており、ダウンロード件数は250億件を突破している。クラウドサービス「iCloud」については1億会員を超えたという。
■クック氏、iPad 2よりすばらしいものは「我々こそが出せる」
クック氏は「iPad」について、「ポストPCの申し子」と語った。現在、主要なパソコンメーカーの販売台数以上に販売されているという。また、「iPadは新しい商品ではなく、新しいカテゴリだ」などと述べた。
アプリは現在までに、20万件以上が提供されているとのこと。クック氏は「このようなアプリはほかのタブレットには存在しない」としたほか、2011年に100種類以上のタブレット端末が登場する中で、「iPadほどの体験はほかでは提供されていない」と話す。スマートフォン向けのアプリを単に拡大するのではなく、iPadという、より大きなキャンバスを活用したレイアウトでアプリが提供されているとした。
さらに、「iPad 2よりもすばらしいものをどこの会社が出すのか。考えるのは今日でやめた方がいい。我々こそが出せる」と強い自信をのぞかせる。アップルが“新たな高見に昇った”とするのが「The new iPad」こと、新型「iPad」である。
クック氏は、新型「iPad」について、「全ての想像を上回る」と語り、「すばらしい体験」「すばらしい画像」などと紹介していった。3月16日には第1陣として、国内を含む各国で発売され、23日には第2陣の国々で発売される予定。
クック氏は、発表会の最後、iPadについて「アップルが2年前に作り上げた新しいカテゴリを、再定義した。そのすばらしいポテンシャルを感じていただければと思う」と話した。
■アプリやゲームのデモ
発表会ではアプリやゲームのデモが行われた。アップルが提供するものとしては、新たに「iPhoto」が提供されるほか、「iWork」や「iMovie」、「GarageBand」などのバージョンアップも紹介された。
■Apple TVも登場
また、今回、新「Apple TV」も発表され、16日より国内でも提供される。価格は8800円。
「Apple TV」は、iTunesなどでダウンロードした映画などの映像コンテンツが、テレビに出力できるサービスだ。これまでの720pから新たに1080pのHD画質の出力に対応し、より大画面で高精細な映像が楽しみやすくなる。既存の720pのコンテンツは順次1080pに置き換えられ、新規のコンテンツについては1080pで提供される。映画も追加コンテンツなしで楽しめ、コンテンツのレコメンド機能となるジーニアスなども提供される。
2012/3/8 16:01