革新的なネットサービスの育成目指す「KDDI∞Labo」がスタート


 KDDIは、新たなインターネットサービスの育成を目指して、新興企業や個人エンジニアを対象にした支援プログラム「KDDI∞Labo(ムゲンラボ)」を開始し、オフィスとなる「KDDI∞Laboスペース」を公開した。第1回目のミーティングとして、第1期の参加チームから簡単なプレゼンテーションが行われた。

 「KDDI∞Labo」は、日本初の新たなインターネットサービスの開発を促進するため、KDDIが新興企業や個人エンジニアを支援する取り組み。国内外のサービス展開を目指し、事業化や経営ノウハウのアドバイスが行われるほか、出資や提携なども検討される。8月5日には、第一期の参加チーム5組が選出され、今回、第1回のミーティングが行われ、「KDDI∞Labo」がスタートした。

 あわせて公開された「KDDI∞Laboスペース」は、参加チームに用意されたオフィスとも言える場所。「KDDI∞Labo」の“ラボ長”を務める、KDDI 新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の塚田俊文氏は、「こうした空間を設けることで、参加チーム同士を刺激したい。競争関係かもしれないが、新たなコラボも生まれるのではないか」と期待感を示した。

 

100社近くの応募から選出された5組

KDDIの塚田氏

 第一期として、これから3カ月間、5組のチームがそれぞれのサービス改善、あるいはアプリ開発などに取り組む。この5組は100社近くの応募から選出されたとのことで、その選考基準は「独創性・市場性・技術力・実現性・チームワークの5項目で審査した結果。そしてKDDI社内の若手が『一緒にやりたい』と考えた方々」(塚田氏)という。

 「giftee」(ギフティ)はソーシャルメディア、あるいはメールを介してギフトを贈るサービス。プレゼンを行った太田睦氏(株式会社giftee)は、Twitterなどのソーシャルメディア上で、誕生日を祝福したり、仕事を終えてねぎらったりするメッセージが多く交わされる一方、「ギフトを贈る」ことが難しいと指摘。同サービスでは、店舗と提携してギフトを用意することで、より手軽にプレゼントできる環境を提供する。既にパソコン向けサービスは提供されているとのことだが、今回のプロジェクトを通じて、Androidアプリを開発し、より手軽な利用環境の提供を目指す。

太田氏gifteeの概要

 株式会社ガラパゴスの中平健太氏が紹介した「Rearge」(リアージュ)は、“誰でも簡単にAndroidゲームアプリが作れるサービス”になるという。複数のソーシャルメディアでの人間関係(ソーシャルグラフ)を利用し、内々の友人同士で楽しめるゲームアプリを簡単に作れる仕組みを提供する。このアプリは、自動的に進化する仕組みも備えるとのこと。同氏は「ソーシャルゲームを再定義し、新たなソーシャルゲームを作りたい」と語り、新たなユーザー体験の創出を意気込む。

中平氏Reargeのキーワード

 株式会社REAL SAMURAI(リアルサムライ)の京保雄一氏は、位置情報を利用して店舗が発行したクーポンを現地で入手したり、見知らぬ人とすれ違った時にアイテムを交換したりできるサービスを開発する。グルメサイト、クーポンサイトと提携して、収益を共有する形態を目指すとのことで、au one Marketでの提供、auかんたん決済の利用が想定されている。

京保氏ビジネスモデル

 8月中旬に起業したばかりで、元グーグルという福山誠氏(シンクランチ株式会社)、上村康太氏(同)が開発するのは「Synclunch(シンクランチ)」というサービス。ビジネスランチセッティングサービスと銘打たれた同サービスは、ランチミーティングを促進する仕組みを提供する。いったん「ソーシャルランチ」というサービス名で提供し、渋谷限定で100組のランチミーティングを成立させたとのことで、今回のプロジェクトでモバイルを軸に据えて、ブランドを一新する。「Synclunchがあればランチタイムを価値ある時間にできる」「Webを通じた出会いをタブーにしない」(上村氏)ことを目指す。

福山氏(左)と上村氏(右)サービスコンセプト

 読書体験を共有するサービス「Qlippy」(クリッピー)は、株式会社Spinning Works(スピニングワークス)の白形洋一氏からプレゼンテーションが行われた。電子書籍の普及拡大にあわせて産み出されたサービスとのことで、読者同士のコメントを共有するだけではなく、映像作品のコメンタリーのように、著者や編集者からのコメントを閲覧できる機能が用意される。また関連情報へもスムーズにアクセスできるようにする。LISMOの書籍サービスなどを手がけるKDDIの力添えで、出版社との協力関係構築をはかる。

白形氏Qlippyの概要

 このほか、KDDI若手社員が開発したスマートフォンアプリ「itemloupe(アイテムルーペ)」「ソージャ!ソージャ!」の紹介も行われた。

 




(関口 聖)

2011/8/24 20:46