人中心のコミュニケーションを加速させる「Windows Phone 7.5」


横井氏

 日本マイクロソフトは、Windows Phone 7.5の説明会を開催した。Windows Phoneが目指す人を中心としたコミュニケーション、クラウドをクラウドと意識させないプラットフォームなどが改めて紹介された。

 日本マイクロソフトの業務執行役員 コミュニケーションズ パートナー統括本部長の横井伸好氏は、Windows MobileとWindows Phone 7以降のシリーズが全く別のプラットフォームであるとし、KDDIが発表した国内初のWindows Phone 7.5搭載スマートフォン「IS12T」(富士通東芝製)について、「非常に大きな反響で、Windows 7の発表と同等。ブログやTwitterでもポジティブな意見で、力強い感触を得ている」などと話した。

 横井氏は、Windows Phoneの特徴について「人を中心におき、コミュニケーションを円滑に進めるためのツール」と説明。ソーシャルメディアなどの活用もあくまで人を中心とした発想で、OSの中にソーシャルをビルトインしたことを紹介した。このほか、クラウドと密接に連携しつつもクラウドを利用していることを感じさせない点や、今後、Windows 8でも採用されるメトロデザイン、開発環境なども特徴という。



石川氏

 端末のデモンストレーションを披露した石川大路氏(日本マイクロソフト コミュニケーションズ パートナー統括本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー)は、通話やメール、SNS、Twitter、Facebookなどの数多くのコミュニケーション手段がある中で、Windows Phoneは「手段からではなく、人から入る。人が人と話したい、コミュニケーションしたいという欲求を簡単に実現できる」と話した。

 たとえばPeopleタブでは、アドレス帳の機能が拡張され、プロフィールだけでなく写真やSNSなども人にリンクしている。頻繁にやりとりするユーザーをグルーピングする機能も用意され、チャットやインスタントメッセンジャーもツールを意識することなく使えるという。



新開発の日本語入力機能

吉田氏

 また、Windows Phone 7.5は多言語対応となり、日本語もサポートされる。マイクロソフトの開発部隊は、これに合わせて多彩な入力システムを用意した。その最大の特徴とも言えるのが「カーブフリック」だ。

 「カーブフリック」入力は、いわゆるフリック入力のアクションの中で濁音と半濁音、促音などが選択できる入力方法となる。通常のフリック入力では、「は」にタッチすると「ふ」「へ」「ほ」「ひ」が4方向に表示される。「ぶ」を入力したい場合は、指を上にずらして「ふ」を入力したのちに別のキーをタップして濁音を選択することになる。

 「カーブフリック」では、「ふ」の方向に指をずらし、そのまま時計回り方向に指をすべらせるだけで「ぶ」が入力でき、「ぷ」の場合は半時計回りの方向に指をすべらせる。濁音は時計回り、半濁音と促音(っ)は反時計回りに滑らせる。なお、トグル入力など、カーブフリック以外の入力方法にも対応している。

 マイクロソフトディベロップメントのオフィス開発統括部 リードプログラムマネージャーの吉田剛厳氏は、カーブフリックを開発するまでに社内でテストを実施し、左右の手の違いやタッチする指のよる誤り頻度を調査したという。また、入力練習用アプリ「Text Text Revolution!」も用意されており、ユーザーが練習したデータを個人情報を伴わない形で収集し、将来的な入力精度の向上に役立てているとした。



Marketplace

中島氏

 アプリ配信市場である「Marketplace」については、日本マイクロソフトのコミュニケーションズ パートナー統括本部のエグゼクティブプロダクトマネージャーである中島憲彦氏が説明した。

 「Marketplace」に公開されるアプリは、マイクロソフトの審査を経て公開される。バイナリ情報が変われば、バージョンアップでも再度審査が必要になる。審査制となるため、現時点では審査から公開までに5営業日ほどかかるが、セキュリティ面では信頼性が増す方法といえるだろう。審査は米国で行われており、現在、1日に約150のアプリがMarketplaceに新たに並ぶ。同時にこの公開数は、審査に必要な人的なリソースの限界値でもあり、アプリの申請数はもっと多いという。米本社では、徐々にリソースをかけている状況という。

 中島氏は、「Marketplace」では有料アプリの購入率が高いという。多くのアプリ配信マーケットでは、製品版と試用版のアプリを用意する必要があるが、「Marketplace」で公開するアプリは、API側で有料版を試用版として公開できる。ユーザーはアプリを改めてダウンロードする必要がないため、高い購入率につながっているという。このほか、審査前のアプリを特定の人に公開できるベータ版配布機能や、審査後のアプリを特定のコミュニティに提供する機能なども用意されている。

 なお、「Marketplace」はクレジット決済に対応しているものの、現時点でキャリア課金は用意されていない。ただし、技術的にはサポートされているという。



 




(津田 啓夢)

2011/8/12 15:51