ドコモ山田氏「スマートフォンもドコモ品質で」
日本の携帯市場は大きな変化の時期を迎えている。――5月18日に開催されたNTTドコモの2010年夏モデルの商品発表会において、同社の代表取締役社長、山田隆持氏はそう切り出した。
■Xperia
山田氏は、モバイルインターネットが拡大しつつある中で顧客ニーズが多様化していると説明し、そうしたニーズの中心に存在するのがスマートフォンであるとした。なおドコモでは、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のAndroid端末「Xperia」を4月1日より投入、スマートフォンにおける主力製品として展開している。
Xperiaについて山田氏は、好調なセールスを記録していると話した。4月28日に行われた決算会見では、Xperiaが10万台突破(4月20日時点)したことが語られた。今回のプレゼンテーションで同氏は、「スマートフォン購入者層の広がりを実感しているところ」とその感想を述べた。
なお山田氏は、Xperiaが9月にもiモードメールに対応し、Android OS 2.1へのバージョンアップについても10月に予定していると語った。
■ドコモ スマートフォン
今回の発表会において、ドコモの端末シリーズ展開にも変化が見られた。STYLE、PRIME、SMART、PRO、らくらくホンの現行5シリーズに加わった6つめのシリーズは「ドコモ スマートフォン」。ドコモは、スマートフォンを1つのカテゴリとして商品展開していく。
ドコモスマートフォンについては、端末型番「X-01A」「X-01B」ではなく、「Xperia」「LYNX」「dynapocket」「BlackBerry」といったように、個別のブランド名で提供していく方針だ。
アプリ配信プラットフォーム「ドコモマーケット」も拡充され、現在の100コンテンツから2010年度内に700コンテンツを用意するという。さらにWindows Phone版「ドコモマーケット」も提供される。コンテンツ決済にも対応し、有料アプリが毎月の携帯電話料金とともに支払えるようになる。
山田氏はこうしたスマートフォン向けの施策について、「スマートフォンを高品質のネットワークで、充実したサービスをドコモ品質で提供していく」と品質の高さをアピールした。
さらに、東京・丸の内にスマートフォン向けのラウンジを設置し、専門スタッフによるコンサルティングを受けながらスマートフォン選び、スマートフォンに関する相談を受け付けることなども明かされた。
■iPadに言及
このほか山田氏は、今後発表されるモデルについても言及した。ドコモは今秋、Android OS 2.1を搭載したサムスン電子製スマートフォン「GALAXY S」を投入する。
また、6月下旬には、バッファロー製のモバイルWi-Fiルーターを投入すると話した。今回ドコモは、無線LANのアクセスポイントモード対応モデルを3端末(F-06B/N-04B/N-08B)をラインナップしている。
山田氏は、アップルのiPadについて言及し、「アップルからSIMフリーで提供されると発表され、miniSIMの準備を開始したが、結果的にSIMロックがかかることになってしまった。現時点ではminiSIMは使えないが、ドコモの3G回線でiPadを使いたい方は、(アクセスポイントモードに対応した)今回の3機種やモバイルWi-Fiルーターを使っていただきたい。iPadを含め、今後登場するタブレット型端末に対応していきたい」と語った。
ドコモでは、2010年度のスマートフォン全体の販売数を300万台と試算しており、このうち100万台を獲得していく方針だ。
■夏のドコモは20モデル
2010年夏モデルは、「ドコモ スマートフォン」3モデルのほかに、STYLE、PRIME、SMART、PROから合計17モデルがラインナップされた。
バリエーションに富んだ商品展開が大きな特徴となっており、EMILIO PUCCI、kate spade、Francfranc、Studio Conran、marimekko、amadanaとブランドコラボモデルが6機種用意される。また、5色のボディカラーを用意したカラーバリエーションモデルが4機種ラインナップし、こちらはベーシックな機能を値頃感のある価格帯で提供するという。
さらに、折りたたみや回転2軸、スライドだけでなく、今回はストレート端末やQWERTYキー搭載モデルなど形状のバリエーションも多彩な顔ぶれが用意される。QWERTYキー搭載モデルだけでもストレート、スライド、折りたたみと3タイプ用意され、フルタッチタイプ端末も提供される。
機能面のバリエーションは、ハイビジョン動画撮影モデルだ。今回、PRIMEシリーズでは4モデル中3機種がフルハイビジョン/ハイビジョンの動画撮影に対応する。また、無線LANのアクセスポイントモード対応機種も3モデル提供される。
各シリーズが拡充され、新設の「ドコモ スマートフォン」の登場によって、端末の位置付けが曖昧になってきたのがPROシリーズだ。ドコモのプロダクト部長である永田清人氏は、PROシリーズについて、技術的に進化を感じられるスペックの高い先進的なモデルがラインナップされるとした。
■その他
このほか、使い勝手の向上策として、操作キーやメニュー周りの標準化も図られる。ドコモでは徐々に標準化を進めており、夏モデルでは一部モデルでの標準化に留まった。展示会場の担当者によれば、2010年秋の端末で多くの端末で統合された操作体系が導入されるという。
こうした施策により、端末を機種変更した場合でもデザインや形状は異なれど、基本的な操作方法の共通化を図っていくという。
また、夏モデルでは「5」キーを長押しすると「ecoモード」が用意される。これまでメーカー毎に対応してきた省電力機能が共通名称の「ecoモード」と命名され、「5」キー長押しで省電力モードとなるよう操作の統一が図れる。ecoモードの表示方法や詳細な機能については、各メーカーによって異なる。
ドコモでは、エコ対策としてソーラー充電器「FOMA ecoソーラーパネル01」も今夏投入する。ソーラー充電で携帯電話が充電できるというもので、価格は4000円前後になる見込み。エコ商品としての需要のほか、災害時の緊急用として地方自治体などへの供給も想定されているという。
このほか、アクセスポイントモードでは最大4機種の接続に対応する。携帯ゲーム機などのネット対戦や、パソコンやタブレット端末などの同時利用など複数機器接続で楽しめるようになる。
発表会には、ドコモのCMキャラクターである堀北真希、岡田将生が登場した。新サービスの「iBodymo」などを活用していることなどを語った。
2010/5/18 22:51