シャープ、携帯機器向けのタッチパネル式3D液晶開発


長谷川氏

 シャープは、携帯電話やデジタルカメラといったモバイル機器向けに、タッチパネル式の3D液晶を開発した。2日、都内で発表会が開催された。

 今回開発された液晶は、3.4型、480×854ドットのタッチパネル液晶。従来品よりも輝度・精細度が向上し、縦画面・横画面の切替が可能となっている。

 シャープは2002年11月、3D対応液晶を搭載した「SH251iS」を発表、翌年6月の「SH505i」でも3D対応液晶を投入した。このほかアミューズメント機器やノートパソコンなどに3D表示を導入してきた。

 SH505iに搭載されたディスプレイは2.4型、240×320ドットサイズ、今回開発された3D液晶は、480×854ドットで縦横2倍、輝度(2D時)も500cd/m2と従来の約2倍、解像度は2D時128~166ppi、3D時64~83ppiから、2D時240~330ppi、3D時120~165ppiにこちらも倍になっている。コントラスト比は従来の100:1から、1000:1と約10倍になった。2D表示の表示品質を落とさないよう最適化されている。

 さらに、静電容量式、マルチタッチに対応したタッチパネルに対応する。3Dの表示は、専用メガネが不要な視差バリア方式によるもの。視差バリア方式は、スイッチパネルで左右の目に異なる光を届け、その視差を応用して立体表示する技術。


静止画では伝わりにくいが、肉眼では3D表示されているイメージ写真

 シャープの常務執行役員で、液晶事業統轄 兼 液晶事業本部長の長谷川祥典氏は、これまで携帯電話やアミューズメント機器、パソコンなどに搭載してきた3D対応液晶について、「決して成功しなかった」と語った。

 長谷川氏はその理由として、輝度や精細度の面で表示品位が低かった点、モジュールに厚みが出てしまい、デザインなどに制約が出る点、3Dの表示が一方向のみだった点などをあげた。

 今回の3D対応液晶は、液晶技術の向上や視差バリアの最適化によって、輝度や解像度が向上したほか、画像の二重写りが低減されている。さらに、視差バリアを作る3D液晶スイッチパネルがタッチパネルと一体型となったため、モジュールの厚みが同等のままタッチパネル式に変更できるようになる。

 スマートフォンや携帯電話、デジタルカメラ、デジタルフォトフレーム、ゲーム、パソコン、アーケードゲームなどでの採用を見込む。

 シャープでは、2010年度上期よりタッチパネル機能を除いた液晶の量産に入る。2010年内にはタッチパネル式の液晶も量産される予定。中小型液晶の生産拠点となるシャープの三重工場において生産される。

 同工場における3D液晶の比率は、今年度10%~20%になる見込み。来年度以降は5割まで増強される見込み。長谷川氏は、「今回の液晶で、モバイル機器の“3D Ready”と実現していきたい」と語ってた。3D液晶はまず、3~5型サイズが投入される予定。

 このほか、小型液晶パネルの価格下落について長谷川氏は、2009年度は買い手市場だったが、2010年度以降は需要と供給が逼迫すると見られ、価格の下落率が下がるとの見方を示した。また、任天堂のポータブルゲーム機への採用については、「個別の顧客についてはコメントしない」と語るに留まった。

 なお発表会では、3D対応液晶のデモンストレーションが実施された。動画や静止画の表示のほか、静止画の縦画面、横画面表示、タッチパネルによる静止画の画面切替などが披露された。

 デモでは、3.4型のほか、3.8型のパネルも展示されていた。また、2つのカメラを使って3D表示を再現するデジタルカメラを模したデモなども披露された。立体的な表示がよく見えるのは30cm程度の距離だった。また、動画の方がより違和感なく立体表示が見られる印象。



 

(津田 啓夢)

2010/4/2 17:31