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「東京駅でつながりにくい」、それでも楽天モバイルを辞めない理由――ユーザー座談会で見えた“納得の割り切り”
2026年9月29日 00:00
「東京駅でつながりづらかった」「LINEの通知は来るのに読めない」――。28日、MMD研究所が都内で開催した”楽天モバイルユーザーの座談会”で発せられた、リアルな声だ。それでも彼らは楽天モバイルを解約しないという。
今年6月には、ローミングの切り替えによって、ユーザーの一部から不満の声がSNS上に寄せられた。まもなくauのローミングが多くのエリアで終了する見込みで、さらなる節目を迎えることになるが、はたしてユーザーはどう感じているのか。
今回の座談会に参加したのは、首都圏在住の4人。1人暮らしの人もいれば、家族で暮らす人もおり、初期から楽天モバイルを契約している人も含まれる。
アンケートのような統計的結果とみなすには偏りがある。しかし、ユーザーの生の声からは、個々の意見が削ぎ落とされた数字のデータ以上に、楽天モバイルや楽天経済圏が「1人1人の生活にどう寄り添っているか」が垣間見える。約1時間半の座談会で話を聴いていると、通信品質に対する「つながりにくさ」を自覚しつつも、それを上回る「安さ」と「楽天経済圏」の存在によって他社へ乗り換えようとは思っていない、というユーザーの心理構造などが浮き彫りとなった。
| 名前(年代・性別) | 居住エリア | 家族構成 | 楽天モバイル歴 | 主な利用傾向 |
| 佐藤さん(50代女性) | 東京都内 | 単身(1人暮らし) | 3年以上 | PCテザリング主体で月180〜240GB利用(固定回線代わり) |
| 高橋さん(30代男性) | 千葉県 | 単身(1人暮らし) | 3年以上(中断歴あり) | 移動中の動画・ナビ等で月50GB超利用(副回線併用) |
| 山本さん(50代男性) | 首都圏 | 4人暮らし(妻・中高生2人) | 3年以上 | 世帯全体で大容量利用(子どもが月100〜200GB超消費) |
| 鈴木さん(30代女性) | 埼玉県 | 4人暮らし(夫・息子) | 1年6カ月〜2年未満 | 月10GB程度(節約志向・楽天経済圏を強力活用) |
「電波は悪いが生活に支障ない」――安さと無制限で“納得の割り切り”
座談会で印象的だったのは、ユーザーたちが通信品質の課題を理解した上で、「安さのためなら多少の不便は我慢する」と割り切っている点だ。
多くの人がきになるであろう楽天モバイルの通信品質が話題になると、参加者からは「昨年、東京駅ですごくつながりづらかった」「LINEの通知は来るのに開けないことがあった」といった声が挙がる。SNS上なら、かなり手厳しい言葉とともに投稿されそうな事象ではあるが、それでも今回の参加者は一様に「他社へ乗り換えるつもりはない」と口を揃える。最大の理由は「料金の安さ」と「楽天経済圏」だ。
一人暮らしで自宅に固定回線を引かず、PCテザリングを中心に月200GB近く使う佐藤さん(50代・女性)は、「とにかくすぐ契約できて安くて無制限でいい」と話し、自宅近くの基地局アンテナ撤去を危惧するほど生活に欠かせない通信手段として頼り切っている。また、山本さん(50代・男性)も、「中高生になる子供2人が動画視聴やゲームで月100~200GB超を消費している。他社でこの大容量を使ったら引くくらいの金額になるのでは」と、家族のデータ消費を支える無制限プランが、世帯丸ごと楽天モバイルを使い続けるための「強い動機」になっていることがうかがえる。
高橋さん(30代・男性)は「昔の楽天モバイルのエリアの狭さを知っているからこそ、つながるようになった感動がある。安さも含めて満足度は8点」と評価する。埼玉県在住の鈴木さん(30代・女性)も、「大前提として格安なのだから電波が悪いのは仕方ないと納得している。生活に支障がなければ、そこでストレスは溜めたくない」と語る。多少、通信品質が不安定でも「この価格で無制限なら許容範囲」とユーザー側で「安さゆえ」と割り切る意識が定着しているようだ。
他社へ移れない「理由」の正体――ポイント還元と世帯単位のデータ消費
さらに、楽天経済圏の強固なサービス連携が流出を引き留めている。「楽天カードや楽天市場、楽天銀行、楽天証券まで全部ひも付いている」という状況、そしてポイント還元のお得感だ。参加者からは「なんだかんだ言ってポイントがもらえる。毎月1000ポイントほどもらえていて実質2000円程度で済む」と手放せない理由が語られた。
さらに、将来的な値上げの可能性についても「1000円程度の値上げなら耐えられる。(楽天経済圏のサービスの影響として)他社に移ろうにも、PayPayは、たとえばYahoo!トラベルが不便で、オンラインが弱いと感じている。実質的に他社へ乗り換える選択肢がない」と分析する。
長年、楽天カードや楽天市場を利用している鈴木さんも、「他社だと5000円以上かかるし、毎月ポイントも(楽天モバイルでは)1000ポイントほどもらえている。経済圏に依存しているので、仮に6000円くらいまで上がっても他社への代替手段がない」と明かす。
いわゆる経済圏をしっかり活用するユーザーの姿だが、料金については「シンプル」ととらえられている点もある。他社が打ち出す「実質〇〇円」といった複雑な割引施策に、高橋さんは「実質いくらと言われてもピンとこないし知りたくもない。シンプルで分かりやすい無制限が一番」と、やや強い調子で話しており、ポイント還元に加えて、明朗な価格体系も楽天モバイル、ひいては楽天経済圏からの離脱を防ぐ要因となっているようだ。
コード決済はPayPay、エンタメ施策にも冷ややかな本音
楽天経済圏に深く組み込まれているユーザーたちだが、すべての楽天サービスを無条件に受け入れているわけではない。
コード決済の利用実態について尋ねると、楽天市場や楽天カードを日常的に愛用している鈴木さんや山本さんからも「コード決済はPayPayを使うことが多い」という声が上がった。フリマアプリなどで貯まったポイントの使い道としてPayPayが選ばれるケースもあり、決済手段まで100%楽天に統一しているわけではない実態が伺える。
また、楽天モバイルと動画配信の「U-NEXT」がセットになった「Rakuten最強U-NEXT」に対して、ユーザーからは冷ややかな声もある。高橋さんは「正直センスがないと感じる。U-NEXTがセットになるくらいなら、広告付きのNetflixなどのほうが嬉しい」と本音を漏らした。キャリア側が用意する付加価値サービスと、ユーザーが実際に求める還元や特典との間には、一定のギャップが存在しているようだ。
auローミング終了への「無関心」――求めるのは日常の通信体験
通信業界で話題となる「auローミングの終了」といったトピックについても、ユーザー側の関心は決して高くない。
auローミングの終了について問われた高橋さんは、「サービス開始時に楽天モバイルを利用していた。当時の楽天エリアの狭さを知っている身からすると、ローミングが終わると言われてもそこまで影響があるのかピンとこない」と回答。
山本さんも「そもそも、利用中のエリアがローミング回線なのか分かっていない」と語るなど、通信の裏側にある仕組みに対してユーザーは無関心、あるいは気づきにくいようだ。ユーザーとして、重視しているのはあくまで「普段使う場所で普通につながるかどうか」という現実的な体感と言えるだろう。
「衛星と直接スマホがつながるサービス」といった先進技術についても、言葉としては知っていても、まだ身近なものとしてはとらえていない様子だ。複雑な先進技術のアピールよりも、日々の安定した通信とシンプルで明確な価格体系が、ユーザーを納得させる一番の要素となっている。
不満解消と「お得額の見える化」で評価が一転したRakuten Link
無料通話を提供する専用アプリ「Rakuten Link」については、利用者の心理的な変化が明かされた。高橋さんは、「最初はアプリを開くたびに消せないポップアップが出たり、フリーズしたりしてイライラした。普通にお金を払って標準の通話アプリでかけようかと思った」と過去の不満を振り返る。
しかし、不満だったポップアップの表示頻度が改善されたことに加え、「通話後に『〇〇円お得になりました』と表示されるようになってから、安さを実感できて『これなら使っていいよね』と頭が切り替わった」という。不満の種だったアプリの使い勝手も、「いくら得をしたか」が目に見えるようになったことで、ユーザー側の納得感へと変わっていったようだ。


