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ソフトバンクが描く次世代ネットワーク、「進化」と「信頼性」の両輪で支える社会インフラ
2026年5月29日 00:00
音声通話のみならず、AIや産業などさまざまな用途でインフラとして欠かせなくなった携帯電話ネットワーク。東京都・東京ビッグサイトで29日まで開催されている「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2026」で、ソフトバンクがその進化と信頼の両面からその取り組みの現在地を示した。
ソフトバンクのネットワークの進化
ボーダフォンを買収し、携帯電話事業に参入した当初、基地局数は約2万局で、帯域幅は60MHzだった。現在では帯域幅については850MHz、周波数は11~12種類ほどを運用する大容量ネットワークに成長した。
5G端末比率は82%、接続率で見ると40%で5G通信のデータ量は2年間で約2倍に増大したという。同社では5G SAの導入を急いでおり、平均スループットもLTEや5G NSAを凌ぐ状態を維持している。千葉県の舞浜駅周辺では、5G基地局の増設と共にSAを活用したスポット対策を実施。ソフトバンク 常務執行役員兼CNOの大矢晃之氏によると、テーマパークのアプリも問題なく使えることを確認しているという。
31万人以上が来場した鈴鹿サーキットでのF1グランプリにおいて、5G SAと用途ごとに通信を最適化する「ネットワークスライシング」技術を活用し、次世代通信の実用的なユースケースを実証した。会場では、最大2Gbps超の高速通信を実現する「高品質なSA通信」をはじめ、「XRコンテンツ」、速度よりもエラーのない安定した接続が不可欠な「キャッシュレス決済」、ミリ波を活用した「メディア向け映像伝送(テレビの生中継)」や「Wi-Fi提供」など、要件の異なる5つの通信スライスを同時に遅延なく提供することに成功した。
また、外部から基地局を制御するシステムを用いて、通常15分間隔で取得するデータを1分間隔で取得してネットワークの負荷状況を監視。パラメーターをリアルタイムに自動チューニングすることで、来場者が密集する過酷な環境でも通信品質を保ち、イベントのスムーズな運営と来場者の体験向上に大きく貢献したという。
次世代の通信インフラを見据え、AIとネットワークを深く融合させた取り組みを多角的に推進している。基地局の基盤にGPUなどの計算リソースを搭載し、ネットワークの負荷状況に応じて通信とAI処理へのリソースを動的に割り当てる「AI-RAN」の構築を進め、インフラの最適化と新たなビジネスモデルの創出を目指している。
また、非常に複雑で専門性の高い通信領域に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)を開発しており、GSMAの評価で世界3位というトップクラスの精度を獲得したこのモデルを用いて、実際の商用ネットワーク運用における設計や最適化業務の効率化を図ろうとしている。
さらに、自社開発のGPU向けOSを用いたクラウドサービスの提供や最先端のGPUを大規模に稼働させる140MW規模の次世代データセンターの建設を進めており、これらを通じて海外のハイパースケーラーに依存しない国内産業向けの強力なAIプラットフォームを確立し、最終的な「自律型のAIネットワーク」の実現へとつなげる狙い。
ネットワークの信頼性、HAPSも商用化に向け取り組み
先進的なネットワークにも、信頼性は欠かせない。地震や台風・水害に加えて、大規模な火災も頻発している。直近では岩手県での山林火災で4月に提供が始まったばかりの「JAPANローミング」が発動したケースがある。
ソフトバンクでは、移動基地局車や可搬型発電機、可搬型衛星アンテナなどの災害用対策ソリューションのほかに有線で給電し、長時間滞空できるドローンなども備える。加えて全国4000以上の基地局に72時間駆動するバッテリーを搭載、一度切断されると復旧に時間を要する伝送路の二重化を実施した。前出のJAPANローミングに加えて、NTN(非地上系ネットワーク)の実用化にも力を入れている。
2017年から研究を進めており、この分野では世界をリードしている。衛星よりも地上に近い上空6万5000フィートほどを飛行する航空機から電波を発射し、エリア化する。衛星のように頻繁なハンドオーバーがないなどのメリットがあり、2026年度内には飛行船型HAPSのプレ商用化を見込んでいる。
災害への対策のほかにも、地上で携帯電話を利用することを前提とした携帯電話ネットワークでは、ドローンなどへの対応が十分ではないが、HAPSが解決の糸口になる。また、途上国などにおけるデジタルデバイドの解消も目指すとされており、海外での展開も視野に入れる。
大矢氏は「通信インフラとAIデータセンター、インフラプラットフォームをアメリカや中国などとも対抗できるようなレベルに仕上げることは非常に重要。あらゆる産業のための必須条件になると思う」と語る。加えて「テクノロジーは幸せを作れるか」というメッセージを背に「技術をうまく使って、社会に貢献していく。ソフトバンクの技術陣としては、こだわりを持って取り組みたい」とした。
IoT向けプリペイドSIMも展示
会場ではドイツの1NCE(ワンス)とソフトバンクがブースを出展している。同社は法人向けに低容量IoT回線サービスを提供しており、ソフトバンクがアジアでの独占販売パートナーを務める。
1回線につき2200円/10年間という、IoTサービスとしては稀なプリペイド式であることが特徴。IoTデバイスの容量は500MB/10年間。一般的にIoT機器の月間データ使用量は3~4MB程度であることが多く、順当に同じペースで使い続ければ10年ほど持つ計算になる。
ブース内では、1NCEのSIMを搭載するTTSの自動車向け位置情報管理ソリューションやカウベルエンジニアリングのエッジデバイスも実物を見ることができる。



































