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“悲願”のFeliCa搭載。「OPPO Find X9」が目指した“日本の当たり前”と“安心”
2025年12月17日 00:00
OPPOは、同社のハイエンドスマートフォンとして初めて「FeliCa」を搭載するスマートフォン「Find X9」を発表した。23日以降、順次発売される。16日、都内で開催された発表会では、FeliCaを搭載できた理由が語られた。
背面デザイン一新、ハッセルブラッド協業は継続
前モデル「Find X8」から1年ぶりのハイエンドモデルを日本市場へ投入する。背面デザインは、円形のカメラ部だったFind X8から大きく変更されており、背面左上に集約された。
オウガ・ジャパン プロダクトマネージャーの中川裕也氏は「カメラを左上に置くことで、本体を握ったときにレンズに触れにくくした」とデザイン変更の意図を説明。カメラは各5000万画素の広角レンズ、超広角レンズ、望遠レンズというの追及の追及3眼カメラに加えて、約200万画素の「マルチスペクトルカメラ」を備える。広角カメラには、ソニー製のイメージセンサー「LYT-808」を搭載した。
ハッセルブラッドのカメラ「XPAN」を再現した「XPANモード」では、クラシックカメラのシャッターサウンドと65:24のアスペクト比を再現。ハッセルブラッドの中判カメラ「Hasselblad X2D」を再現する「マスターモード」では、手軽に撮影できるオートモードとISO感度やシャッタースピードを調整できるプロモードの2つの方法で撮影できる。
さらに、「Hasselblad XCDレンズ」(30mm、65mm、90mm)を再現するポートレートモードも備えている。動きの速い被写体に適した「4Kモーションフォト」や1秒間に最大10連写できる「ライトニングスナップ」を備える。動画撮影機能としては4K/120FPSでの撮影に対応する。
マルチスペクトルカメラは、写真の色味が上手く出にくい、複雑な光源下でも人間の目で見たイメージに近い自然なホワイトバランスを再現できる。画像を48分割し、各エリアの色温度を検知して正確な色彩を再現するという。また、ズームはAI処理により最大で120倍に対応する。5000万画素をフルに使用して、自然な色彩をそのまま、超高解像度で撮影できる「ハッセルブラッド高解像度モード」を備える。
新たに「Lumo(ルモ)イメージエンジン」を搭載した。搭載されるメディアテック製のチップセット「Dimensity 9500」のNPU(Neural Processing Unit)を用いた機能。光学技術や色彩科学、センサー、演算処理を統合しており「目で見たそのまま」を記録することを目指した。ハッセルブラッドの色基準を実現することに寄与しているという。
並列処理を取り入れて、画像処理プロセスを効率化。CPUとGPU、NPUが1枚の写真を同時に処理することでCPU使用率は最大で50%削減、メモリー使用率は最大60%削減、消費電力は最大で50%カットした。OPPOの「トリニティエンジン」も引き続き搭載する。
FeliCaは安心の材料
Find X9は、OPPOのハイエンドスマートフォンとしては初となる「FeliCa」搭載を果たした。オウガ・ジャパン 専務取締役の河野謙三氏は、このタイミングでの搭載に至った理由について、前モデル「Find X8」が想定以上の売上を記録したことを挙げる。
日本市場参入時から、OPPOの中国本社は、日本独自仕様の採用に懐疑的だったものの、オウガ・ジャパンの説得により、搭載に至った経緯がある。「日本市場を知っているのは我々(オウガ・ジャパン)。日本の代表として本社に声を届けて製品に反映するのが責務」と語る。
ミドルレンジ製品まではFeliCaを搭載していたが、販売数が限られる高価なハイエンド製品への搭載は今回が初。河野氏は、日本のユーザーがOPPOのハイエンドスマートフォンを求めていることをFind X8の売れ行きで認識。「Find X9では、悲願だったFeliCaの搭載に踏み切った。コスト面は企業努力で乗り越えた」とFeliCa搭載の経緯を話した。
一方で、公的なデータから見てもFeliCaの利用者は必ずしも多数派ではない。しかし河野氏は「安心して使えることがキーポイント。『フラッグシップ』という言葉の再定義の良い機会だった。機能が複雑化するなか、スマホとしての原点に立ち返った」と説明。「FeliCaがあることで、普段は使わない人でも『何かあった時に使える』という安心感や長く使えるための要素として搭載した」とその意図を語った。
情報をまとめる「AIマインドスペース」などAI機能充実
AI関連機能としては「AIマインドスペース」とグーグルの「Gemini」を組み合わせた。ポスターにカメラを向けるだけで日時を読み取り、カレンダーへの登録を提案したり、家族旅行の候補地を保存して、Geminiに聞いてスケジュールを組み立てたりといったことができる。
本体左上側面に搭載された「Snap Key」にAIマインドスペースを割り当てて起動することもできる。ほかに「Google AI Pro」の3カ月無料トライアルが付帯する。
このほか、AI関連機能では、写真上の不要なものを消す「AI消しゴム」、被写体のブレ補正、ガラスの反射の除去ができる「AI編集」を搭載。また、逆光で暗くなったポートレート写真の顔を明るく補正する「AIポートレートグロー」も利用できる。
大容量バッテリーと薄いボディを実現
バッテリー容量は7025mAh。シリコンカーボン素材を採用し、エネルギー密度を高めたことで大容量バッテリーながら本体の厚さは8mm、重さも約203gにおさえた。充電出力は有線の場合、SUPERVOOC対応充電器を使用すれば最大80W、ワイヤレス充電でも50W(AIRVOOC)に対応する。Find X9にも80W充電器が付属する。
また、高性能なグラファイトと大型のベイパーチャンバーによる冷却機構を備える。対応アプリ起動時に利用できる「ゲームモード」では、バッテリーを充電せずに給電する「バイパス充電」に対応しており、ほかにも通知のブロックなどができる。
搭載する「ColorOS 16」では「ルミナスレンダリングエンジン」により、なめらかなアニメーションを実演。タップに対する応答速度やスクロールの安定性を向上させた。独自アプリの「O+ Connect」でiPhoneやMacとの連携がスムーズになる。
3本の柱でユーザーと向き合う
過酷な試験による品質や使い心地の良いAI機能、ハッセルブラッドとの協業による写真のクオリティの追求という3本の柱を基準としているOPPO。河野氏は「何かひとつの機能を尖らせればいいとは考えていない。撮影体験と日常の心地よさの両方を妥協なく届けたい」とFind Xシリーズにかける思いを明かす。
前モデル「Find X8」は、日本市場では3年ぶりに投入されたOPPOのハイエンドモデル。河野氏は、その好評ぶりに安堵したことを語り「私たちが大切にしてきたものがちゃんと(ユーザーに)届いている」と実感したという。
今回のFeliCa対応は「日本の当たり前」をFind Xユーザーにも届けたいとして実現した。「技術ではなく、OPPOが日本のユーザーとどう向き合うか、姿勢の問題」と河野氏は語った。























































