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ノキアとソフトバンク、「6G技術カンファレンス」を開催 有識者が7GHz帯実証やAI活用を語る
2025年11月20日 00:00
ノキアとソフトバンクは19日、「6Gの開発に関する技術カンファレンス」を開催した。同日に公表された6G(第6世代移動通信システム)向け7GHz帯の実証実験について、専門家の講演を通じて概要を紹介する内容となっている。
東大が主導するAIネイティブ通信インフラ研究
東京大学の中尾彰宏教授は、通信とAIが描く未来社会について講演した。AIと通信の融合は、消費電力の削減や新たなサービス価値の創出を支える次世代6Gインフラには欠かせないと語る。
東京大学は、ソフトバンク、ノキア、エリクソン、NVIDIAなどが参加するAI-RANアライアンスに創立メンバーとして関わり、産学連携と国際連携の重要性を強く意識している。この枠組みを通じ、AIを信号処理など通信インフラの様々な要素に組み込む「AIネイティブ」なアプローチを追求している。
また総務省とNICTの賛同を得て、日欧連携プロジェクト「6G MIRAI-HARMONY」を立ち上げ、ネットワーク全体に分散配置されたAIを調和させてエンドツーエンドの最適化を目指す取り組みを進めている。
研究成果としては、AIを用いて効率的な通信を実現し、消費電力を抑える可能性を示した点を挙げた。固定設定では難しい、同じスループットを維持しながら電力を下げる無線設定をAIが動的に実現するもので、11月のAI-RANアライアンス会議で発表され、ワーキングアイテムとして採択されている。利用者が意識しないところで電力消費が下がる効果が期待されるという。
今後の課題としては、AI活用によって増えるトラフィックへの対応や、新たな周波数帯域の確保を挙げた。特に6Gでは7GHz帯~8GHz帯などの広帯域が候補として検討されているが、日本国内では防災通信、気象衛星、放送、宇宙探索などに利用されているため、既存業務への影響を抑えつつ国際調和と国内整備を進める必要があり、AFCなどの共用方策が鍵になると指摘した。
こうした成果をAI-RANやO-RANアライアンスを通じて、国際的な合意形成と標準化につなげていくことが重要だと締めくくった。
6Gにおける7GHz帯の可能性とAI活用
ノキアのアリ・キナスラティ氏は、増大し続けるモバイルトラフィックに対応する上で、6Gに向けた新たな周波数帯が求められている状況を説明した。同氏は、現在の増加ペースでは2030年代末に向けて容量が不足する見通しで、6G向けの「ゴールデンバンド」(6.4GHz~8.4GHz)に大きな期待を寄せている。6.4GHz~7.1GHzはWRC-23で既に決定し、WRC-27では7.1GHz~8.4GHzが検討される。
ノキアは7GHz帯に向けて、3.5GHz帯の商用製品と同等サイズでより多くのアンテナ素子を搭載できる製品を開発し、東京での実証実験でその動作を確認している。
AIについては、トラフィック増大と低遅延ニーズの高まりを背景に、AIによる推論処理を中央集権的な場所からネットワークのインターフェース付近へ近づける重要性が増していると説明した。ノキアはAI-RANアライアンスで中心的な役割を担っており、同アライアンスは発足以来急拡大し、現在は140社以上が参加している。
またノキアはAIをRANに統合する取り組みとして、NVIDIAとの協力を発表済み。5億ドル規模の投資を含む戦略的な提携で、NVIDIAのGPUをRANネットワークに取り込むソリューションを展開している。
AI時代を支えるネットワークへの変革
ソフトバンクの湧川隆次氏は、同社が「AI前提社会」に向けて、ネットワークそのものをAIを運ぶ基盤へと転換しようとしている状況を説明した。長らく議論されてきたエッジコンピューティングが、AI(ロボット、遠隔手術など)の登場により、ようやく具体的なビジネスケースを持ちはじめたという見方を示す。
ソフトバンクはNVIDIAと連携し、GPUサーバーを活用することでハードウェア依存度を抑えたソフトウェアスタック「AITRAS」を開発。専用ハードウェアに頼らずに、ソフトウェアの開発だけで新機能や性能向上を可能にする基盤を整えている。
AI-RANの目的は、世代(5Gや6Gなど)に左右されず、AIを組み込むことでMIMOやビームフォーミング、アップリンク信号処理といった要素の性能向上を図るところにある。湧川氏は、仕様を変えず相互接続性を保ったまま性能を高められる点を強調した。
さらに、将来トラフィックが一段と増え、AIが要求するバースト性とリアルタイム性の高い通信に応えていく上で、ソフトバンクは6Gのセンチメートル波帯、特に7GHz帯への期待を示した。
今回の7GHz帯の実証では、銀座のような都市部で、シミュレーションよりも電波が遠くまで届く“キャニオン効果”が確認された。また、見通し外のエリアでも、ビームがシャープなことで干渉が抑えられ、受信品質(SINR)が高くなるという予想外の結果が得られた。7GHz帯が従来の想定より扱いやすい電波特性を持つ可能性が感じられる内容となっている。
最後に湧川氏は、限られた周波数リソースをより有効に使うためには、AIを活用した共用技術が重要になると述べた。AIが空間的な利用状況を把握し、未使用チャネルを動的に活用したり干渉を抑えたりすることで、既存ユーザーとの共存が可能になるとした。




































