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楽天市場、2025年冬の消費トレンド予測を発表 物価高騰下で高まる「メリハリ消費」

 楽天グループは23日、「楽天市場」の購買データや一般消費者へのアンケート調査をもとに、「楽天市場 2025年冬のトレンド予測」を発表した。

 今年の冬は、物価高や光熱費高騰など経済的な不安を背景に節約志向が例年以上に高まる一方で、日々の満足度を保つための“自分へのご褒美需要”も広がっており、「メリハリのある効率的な消費行動」がトレンドになると分析している。

迫りくる寒さと光熱費高騰への「パーソナル寒さ対策」

 調査では、回答者の約9割が物価高を実感しており、約8割がこの冬に節約を検討している。特に、電気・ガス料金の補助金終了により、例年冬は電気代が平均より2~3割高くなることから、光熱費の高騰が物価高に次ぐ不安要因の上位に挙がった。

 こうした中で、光熱費を抑える効果が期待できる省エネ防寒グッズが注目を集めており、流通総額は年々増加している。たとえば、窓や壁からの冷気を防ぐ断熱フィルムや冷気ガードなどは、2024年に前年比約1.3倍の伸びを記録した。

 節約を意識した防寒対策としては、「電気を使わない・消費電力が少ない商品」が最も重視され、次いで「特定の場所をピンポイントで温められること」「長時間繰り返し使えること」が続いた。

 これを受け、電気ストーブ(前年比1.4倍)やホットマット(前年比1.3倍)など定番のパーソナル暖房商品の需要が高まっており、着る毛布やパネルヒーター、暖かいシートクッションなど、個々の使い方に合わせた商品も増えている。

 さらに、夏冬どちらにも使える“二刀流”商品への関心も高まり、空気を循環させて効率よく冷暖房効果を高めるサーキュレーターの売上は2023年から2024年にかけて約1.5倍に拡大。充電式カイロや、背中から保温できるランドセル用メッシュパッドなど、多機能アイテムも広がっている。

 外から温める対策に加え、体の内側から温める“温活”への関心も高く、約7割が「温活をしたい」と回答した。楽天市場では温活関連商品の年間売上が約1.2倍、冬場には約1.8倍と大幅に伸びている。

 注目すべき点として、温活商品の購入意向者のうち、半数以上が男性であり、温活ニーズが男女問わず広がっている。さらに“ながら温活”も注目され、人気アイテムには、マウスパッドヒーター、デスクマットヒーター、キッチンマット、着圧ソックスなどが挙げられる。

効率的な「家チャージ」と満足のための「自分チャージ」

 物価高を背景に、約6割の消費者が大容量パックやまとめ買いを利用する機会が増えたと回答。まとめ買いの理由としては、価格面のメリットに加え、「買い物の手間を減らしたい」「在庫切れが不安」「品切れを避けたい」といった効率志向が見られる。

 楽天市場におけるまとめ買いは約4年間で1.6倍に拡大。トイレットペーパー(約2倍)、ティッシュペーパー(1.5倍)、歯ブラシ(1.4倍)など、生活必需品で特に伸びが大きい。ブラックフライデーや年末商戦など、セールやポイントアップの機会が多い冬には、この「家チャージ」への関心がさらに高まるとみられる。

 一方で、節約しながらも自分へのご褒美を楽しみたいという「自分チャージ」の傾向も見られる。約4割がこの冬、自分へのご褒美を購入したいと答えており、節約と満足のバランスを取る姿勢がうかがえる。ご褒美としては、旅行や外食といった定番に加え、スイーツやファッションも人気ジャンルとなっている。

節約しつつ食を楽しむ「おうち行列飯」

 物価高の影響で、最も節約意識が高いのは食費。外食を控えて自炊する人が増える一方で、「自宅での食事をもっと楽しみたい」という回答は7割を超えた。

 なかでも、「行列に並ばず人気グルメを自宅で味わいたい」と答えた人が約4割にのぼり、「おうち行列飯」が注目されている。

 具体的には、生ドーナツの売上が好調なほか、麻辣湯関連商品の流通総額は2025年1月~8月で前年同期比約1.3倍に拡大。韓国パンは約3倍、韓国・釜山の郷土料理「ナッコプセ(海鮮鍋)」なども人気を集めており、年末年始の集まりや寒い季節に温かい食事を楽しみたいというニーズから、さらなる拡大が見込まれる。

 総じて、2025年冬の消費行動は、節約できる部分は賢く抑えつつ、自分にとって価値を感じるものにはしっかり投資するという、“メリハリの効いた効率的なスタイル”が主流になりそうだとする。