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アップル、M5チップの新型「iPad Pro」発表

 アップル(Apple)は、M5チップを搭載した新しいiPad Proを発表した。発表と同時に予約受付が開始されており、22日に発売される。

11インチと13インチをラインアップ

 M5搭載のiPad Proは、シルバーとスペースブラックという2色のカラーバリエーションが用意される。

 大きくディスプレイサイズが異なる、11インチモデルと13インチモデルで構成され、ストレージサイズは256GB、512GB、1TB、2TBのいずれかを選べる。また、Wi-Fi版とWi-Fi + Cellular版がラインアップされる。

 11インチ版のうち、Wi-Fiモデルは16万8800円~、Wi-Fi + Cellularモデルは20万4800円~

11インチモデルの価格
Wi-FiWi-Fi + Cellular
256GB168,800円204,800円
512GB204,800円240,800円
1TB標準ガラス:272,800円
Nano-textureガラス:288,800円
標準ガラス:308,800円
Nano-textureガラス:324,800円
2TB標準ガラス:340,800円
Nano-textureガラス:356,800円
標準ガラス:376,800円
Nano-textureガラス:392,800円

 一方、13インチiPad Proは、Wi-Fiモデルが21万8800円~、Wi-Fi + Cellularモデルが25万4800円~。1TBか2TBであればNano-textureガラスのオプションを選択できる。

13インチモデルの価格
Wi-FiWi-Fi + Cellular
256GB218,800円254,800円
512GB254,800円290,800円
1TB標準ガラス:322,800円
Nano-textureガラス:338,800円
標準ガラス:358,800円
Nano-textureガラス:374,800円
2TB標準ガラス:390,800円
Nano-textureガラス:406,800円
標準ガラス:426,800円
Nano-textureガラス:442,800円

M5チップによる高い処理能力

 新しいiPad Proに搭載されるM5チップは、グラフィックス性能の大幅な向上と、より高速なCPUを搭載。高い処理能力とAI性能をもたらすという。

 CPUは、1TBと2TBの場合10コア(4つの高性能コアと6つの高効率コア)となり、たとえばiPad Proを使うイラストレーターにとってはAdobe Illustratorなどのアプリで複雑なベクターグラフィックスを扱う場面、あるいはビジネスユースでは複数のアプリで大きなファイルを素早く開く必要がある場面でその力を発揮する。なお、256GBと512GBでは、高性能コアが3つの9コアとなる。

 M5のGPUは10コアとなり、ビジュアル処理の負荷が高いアプリやゲームに最適な第3世代のレイトレーシングエンジンが搭載されている。レイトレーシングを使用する3Dレンダリング性能は、前世代のM4搭載iPad Proと比較して最大1.5倍高速となった。また、M1搭載iPad Proと比較すると最大6.7倍高速という。

 iPad向け「Final Cut Pro」でのビデオトランスコードは、M4搭載iPad Proと比べ、最大1.2倍高速化される。こちらはM1搭載iPad Proと比較すると最大6倍高速になる。

M5のAI処理

 M5チップでは、さらに進化したNeural Engineが用意され、GPUにはAI処理のための専門ユニットであるNeural Acceleratorを装備するという、新しいアーキテクチャーが採用されている。

 新しいiPad ProのAI処理性能は、M4搭載モデルと比較して、最大3.5倍高速となり、M1搭載モデルと比較すると最大5.6倍高速となる。

 より高速な16コアNeural Engineにより、デバイス上のAIにおいて高いエネルギー効率のパフォーマンスを実現し、Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)の機能にも最適化される。

メモリとストレージ、高速充電への対応

 進化したCPU・GPU・Neural Engineに加えて、ユニファイドメモリの帯域幅の増加、ストレージの読み書き速度の高速化、標準ユニファイドメモリの増加により、iPad Proの全体的な速度と反応の向上が図られている。

 メモリ容量は、256GB/512GBで12GBとなり、1TB/2TBでは16GB。

「アークナイツ:エンドフィールド」のような負荷の高いゲームも帯域幅が向上したメモリによって快適に操作できるという

 ユニファイドメモリ帯域幅は150GB/s以上。これは、前世代と比較して約30%増加した。多くのアプリを使うマルチタスクの処理、あるいはAIモデルの処理、負荷の高いゲームのプレイといった場面を快適にする。

 ストレージの読み書き速度は最大2倍高速になった。また、256GBモデルと512GBモデルでは、以前より50%大きい12GBの標準ユニファイドメモリを搭載する。

 このほか新しいiPad Proでは高速充電をサポート。アップルの新型「40Wダイナミック電源アダプタ」(最大60W対応)、あるいはそれ以外の60W以上のUSB-C対応充電器を使うことで、約30分で最大50%まで充電できる。バッテリー稼働時間はWi-Fiでのネット利用・ビデオ再生は最大10時間。Wi-Fi + Cellularモデルでモバイル通信でのネット利用で最大9時間。

高性能なワイヤレス向けチップ「N1」とモデム「C1X」

 新しいiPad Proには、Appleが設計したワイヤレスネットワークチップであるN1が搭載され、2×2 MIMO対応のWi-Fi 7・Bluetooth 6・Thread(スマートホーム向けワイヤレス通信規格)をサポート。

 Wi-Fi + Cellularモデルには、アップル独自のモバイル通信モデムである「C1X」が採用されている。モバイルデータ通信のパフォーマンスはM4搭載iPad Proよりも最大50%高速化し、消費電力は30%少なくなるという。

 5G対応(Sub6のみ)で、SIMはeSIMのみとなり、物理的なSIMカードは非対応。

通信方式対応バンド
5Gn1、n2、n3、n5、n7、n8、n12、n14、n20、n25、n26、n28、n29、n30、n38、n40、n41、n48、n66、n70、n71、n75、n77、n78、n79
FDD-LTE(4G)1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、14、17、18、19、20、21、25、26、28、29、30、32、66、71)
TD-LTE(4G)34、38、39、40、41、42、48)

薄いデザインと高画質なディスプレイ

 新しいiPad Proのうち11インチモデルは5.3mm、13インチモデルは5.1mmの薄さに仕上げられた。Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)に対応する。

 Ultra Retina XDRディスプレイが搭載されており、新たにタンデムOLEDテクノロジーを採用することで、高い輝度、高精度のコントラスト、ProMotionやTrue Toneなどの技術を実現するとうたう。

 SDRおよびHDRコンテンツで1000ニトのフルスクリーン輝度に対応し、HDRでは最大1600ニトのピーク輝度に対応する。

 色を扱うワークフローや難しい光の条件下で作業するユーザー向けに、映り込みを低減するためのNano-textureディスプレイガラスのオプションが提供される。Nano-textureディスプレイガラスは、ナノメートル単位の精度でエッチングが施されており、画質とコントラストを保ちながら周囲の光を拡散させる機能を持つ。

 解像度は、11インチで2420×1668ピクセル、13インチで2752×2064ピクセル。耐指紋性撥油コーティングや反射防止コーティングが施される。

 外部ディスプレイは最大120Hzで使用でき、同社ではビデオ編集などのクリエイティブな作業やゲームに適しているとアピール。また、外部ディスプレイ使用時にレイテンシー(遅延)を低く抑えるAdaptive Syncにも新たに対応する。

iPadOS 26

 今週登場したiPadOS 26は、新デザインのLiquid Glass(リキッドグラス)が導入され、半透明の素材をモチーフにしている。

 アプリのコントロール、整理、切り替えを直感的に支援する新しいウインドウシステムが導入されているほか、新しいメニューバーにより、ディスプレイの上部から下への簡単なスワイプ操作やカーソル移動で、アプリ内のコマンドにアクセスできるようになる。

 ファイル管理機能も強化され、ファイルアプリにはアップデートされたリスト表示や新しいフォルダのカスタマイズオプションが導入される。Dockのフォルダにより、ダウンロードしたファイルや書類にどこからでも便利にアクセスできる。特定のファイルやファイルの種類を開く際のデフォルトアプリも設定可能となる。

 Apple Pencilのマークアップや自動入力などの機能を備えたプレビューアプリが、PDFの閲覧や編集用アプリとしてiPadに搭載される。

 プロのクリエイター向けには、Appleシリコンを活用したバックグラウンドタスク、オーディオ入力の細かいコントロール、ローカル収録での高品質な録音や録画ができる機能などが提供される。

 Apple Intelligenceは、iPadOS 26での新機能として、電話、FaceTime、メッセージのライブ翻訳や、ショートカットでの新しいインテリジェントアクション、リマインダーで関連するアクションを自動的に特定して分類する機能が含まれる。

カメラ

 背面には12MP広角カメラを備え、4K動画(Pro Res対応)を撮影できる。レンズ5枚構成で、最大5倍のデジタルズームをサポートする。

 縦長の状態で持つと、インカメラはボディの右側中央に配置されており、横長にして使うことが想定される。

環境への配慮

 新しいiPad Proでの環境関連の取り組みのひとつは、重量ベースで30%の再生素材が用いられていること。筐体は100%再生アルミニウム、すべてのマグネットには100%再生希土類元素、バッテリーには100%再生コバルトが用いられる。

 製造過程全体で、風力や太陽光などの再生可能電力が55%活用されている。紙のパッケージは100%ファイバー素材で簡単にリサイクルできる。

そのほかの仕様

 大きさは、11インチ版の場合で249.7×177.5×5.3mm、13インチ版の場合で281.6×215.5×5.1mm。

 重さは、11インチのWi-Fiモデルで444g、Wi-Fi + Cellularモデルで446g。一方、13インチのWi-Fiモデルで579g、Wi-Fi + Cellularモデルで582g。

 上部と底面にスピーカーが2つずつ、計4つ用意されるほか4マイクアレイも装備する。上部にトップボタン、右側面に音量調節ボタンと磁気コネクタ、底面にThunderbolt/USB4対応のUSB-C端子を備える。

 FaceID対応で、TouchIDは使えない。