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リアルミーとリコーイメージング、戦略的パートナーシップを締結 「realme GT 8 Pro」にRICOH GRの技術

 リアルミー(realme)とリコーイメージングは9日、スマートフォン分野におけるイメージング技術での戦略的パートナーシップを発表した。協業の第1弾となる製品は「realme GT 8 Pro」で、中国などで発売予定。日本での発売は未定としている。

 今回の協業は、約4年にわたる準備と共同エンジニアリングを経て実現したもの。戦略的パートナーシップは、10月14日に中国・北京で開催されるイメージング戦略協力発表会で正式に始動する。

 リコーイメージングは、リアルミーが製造・販売するスマートフォンのカメラ機能における技術開発や、ユーザーとのコミュニケーション分野で協力。特に「RICOH GR」シリーズの開発メンバーを中心に検討とアドバイスが行われてきたという。

協業の背景と目的

 リアルミーの副社長兼CMO、チェイス・シュー氏(Chase Xu)は、モバイル写真の課題として、ハードウェアの同質化や過度なアルゴリズム処理によって写真の信頼性が損なわれている点を指摘。「人々は同じ“完璧なスタイル”の写真に飽きており、他人と同じ見た目をコピーするのではなく、自分自身のスタイルを表現したいと考えている」と語る。

 一方、RICOH GRシリーズは、鮮明な画質と高い携帯性、俊敏なレスポンスによって「ストリートフォトグラフィーのヒーロー」と称されてきた。リコーイメージングのカメラ事業部長の濟木一伸氏は、両ブランドが若くクリエイティブなユーザー層を共有している点を強調。今回の協業は、製品の革新にとどまらず、ストリートフォトグラフィーの文化を通じて新世代にインスピレーションを与え、日常に潜む美しさを発見してもらうことを目的としていると述べた。

 この共通する理念のもと、両社はカメラの伝統的な価値をモバイル写真に取り入れ、本物の撮影体験と個人の表現を可能にするツールを若者へ提供することを目指す。

技術的な詳細と製品への反映

 「realme GT 8 Pro」では、リアルミーとRICOH GRの研究開発チームによる徹底したカスタマイズが行われる。光学性能やカラーアルゴリズム、イメージトーンなどを一新し、さらにRICOH GRカメラの操作感を再現した専用UI(ユーザーインターフェイス)も搭載する。

 このスマートフォンは、約30年にわたるRICOH GRの伝統や象徴的なフィルムのような美学、5種類のクラシックなイメージトーンをリアルミーの技術と融合。単なるスペック競争や一律のフィルター処理にとどまらず、写真にムードや感情の温かみをもたらし、若者が日常をありのままに記録できる体験を目指している。

文化的な展望

 このパートナーシップは、ストリートフォトグラフィー文化をモバイル時代に広げる取り組みでもある。シュー氏はその方向性を「Snap By No Rules(ルールのないスナップ)」と表現し、「完璧な構図を待つのではなく、ボタンを押して瞬間を捉えることの楽しさを伝えたい」と語る。

 濟木氏は、専用カメラを普段使わない人々にも「realme GT 8 Pro」でスナップ撮影の魅力を体験してほしいと期待を寄せている。