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「ゲオモバイル」の安心・高品質を支える背景とは 資格認定制度や成長する“中古スマホ市場”の最新トレンドを公開
2025年9月29日 19:01
物価高騰が叫ばれる昨今、スマートフォンの価格もまた上昇傾向にある。電気代の高騰などにより通信料金の価格改定も続いており、読者の中にも「最新スマートフォンに手が出しづらくなった」と考える方も少なくないだろう。
そんな中、「中古スマートフォン」市場が拡大傾向にある。MM総研が7月に公開した「2024年度 中古スマートフォン市場規模の推移・予測」を見ると、2024年度の中古スマートフォン販売台数は前年度比+17.7%の321.4万台となっており、今後も成長トレンドが続くと予測している。
中古スマートフォンを取り扱う企業の1つであるゲオストアでは、全国で中古スマートフォンを総合的に扱う「ゲオモバイル」事業を展開している。同社では、どのようにして中古スマートフォンが流通しているのか? 最新のトレンドもあわせてご紹介する。
参入のきっかけは北海道から
ゲオグループは1986年に愛知県豊田市でビデオレンタル業として創業し、現在は愛知県名古屋市に本社を置き、全国に2000以上の店舗を展開している。祖業のレンタル事業のほか、ゲームや家電の買取や販売を手がける「ゲオ」のほか、衣料品や家具なども手がける総合リユースショップの「セカンドストリート」、高級腕時計などのリユース事業「OKURA」、余剰在庫などのアパレル品を割引価格で販売するオフプライスストア「ラックラック」などを展開する。
その中で、スマートフォンの買取、販売や回線契約などを担う「ゲオモバイル」は、「ゲオ」など主要ブランドの店舗に併設する形や、単独でショッピングセンターや駅前などにも展開している。
ゲオストア代表取締役社長の濵野敏郎氏によると、ゲオモバイルの始まりは2002年の「そうご電器の子会社化」から始まったという。
そうご電器は、北海道を中心に展開していた家電量販店で、2002年にゲオグループがM&Aで子会社化した。その当時、そうご電器では携帯電話の契約代理業務を請け負っており、ここから携帯電話への取り組みがスタートした。当時、北海道にゲオブランドの店舗は2店舗しかなかったといい、そうご電器の店舗を順次ゲオブランドに転換し、ブランドを浸透させるところからスタートしたと濵野氏は語る。
その後、2005年にゲオの旗艦店だった春日井インター店に携帯電話ショップとしてのサービスを導入。当時は、まだ携帯電話のROMを直接書き換えて機種変更するかたちだった。携帯電話市場では、その後2008年のiPhone 3G発売など徐々に「端末と契約の分離」が進み「不要になった端末が“中古端末”として世の中で循環される機会が生まれてきた」(濵野氏)という。とはいえ、ゲオのなかではまだレンタル事業が主流だった時代。セルフサービスの積極展開を進めているなかで、説明事項が多く人手が必要な携帯ショップとしての事業は、なかなか社内でも認められなかったと話す。
その後、中古スマートフォン市場の拡大に合わせて、面積あたりの売上も向上していき、次第に取り扱い店舗が増えてきた。そして、2014年に日本三大電気街の1つである愛知県名古屋市大須に総合モバイル専門店「Smart&Collecition」を開店。開店前の売り上げ目標は月500万円だったが、開店後3日間でこの目標を達成。同店の好調をきっかけに、ゲオのブランドを冠した「ゲオモバイル」としての展開を2015年からスタートさせている。
ゲオモバイルの特徴
ゲオモバイルでは、中古スマートフォンと回線契約をセットで提供できるなど、実店舗がある強みを活かしたサービスを実施している。同社の強みをゲオモバイル販売促進部ゼネラルマネジャーの藤巻亮氏は「スタッフ」と「ワンストップサポート」、「商品ラインアップを支える供給力」、「セキュリティ・クリーニング」の4点を挙げる。
スタッフの資格認定制度
スタッフ面について藤巻氏は「ゲオモバイル最大の強みは人」とコメントするほど、実店舗でのスタッフ育成に力を入れているという。専門知識と接客スキルを備えたスタッフを「スマホ相談員」とし、ユーザーが何を求めているのか、どこが不安なのかを解明し、徹底的に寄り添うという。
社内では、スマートフォンの知識や接客スキルを認定する2段階の資格制度を用意している。第1段階の「モバイルアドバイザー」では、基礎的な知識や接客スキルを習得。その後、より複雑な専門的スキルや知識を習得すると、上位の「モバイルスペシャリスト」の資格が与えられるという。知識習得に使用する資料や試験内容は定期的にアップデートされ、最新の情報を習得できるように工夫されている。
試験では、機種ごとの性能の違いや料金プランの比較、データ移行の方法など幅広い知識が求められる。過去問では、iPhoneの特定機能が利用できるモデルや通信プランの内容に関する問題が出題されている。加えて、実際の接客場面を想定した模擬ロールプレイングを実施。知識だけでなく実践的な部分も評価され資格認定される。
制度が発足した2024年3月には1200人だった資格保有者は、2025年7月時点で2087人まで増加してきている。2026年3月には2300人の資格保有者を目指して取り組みを進めている。
機種選定からデータ移行までワンストップサポート
同社では、中古スマートフォンの買取から販売、UQ mobileやワイモバイルの通信契約まで手がけており、ユーザーは端末の選定から購入、通信契約までワンストップで進められる。
加えて、初期設定やデータ移行まで先述のスマホ相談員が対応する。機種変更の最後までをサポートし、購入後すぐに使える状態で提供されるといい、ユーザーからの支持も高いという。
なお、ユーザーの中には、今持っているスマートフォンを売却し、その売却金を次のスマートフォンの購入資金に充てるユーザーもいる。濵野氏は、「買い替え時に直近のスマートフォンは手元に置いておき、2つ前のスマートフォンを売却するユーザーもいる」と話す。ゲーム用途など、メイン端末以外にもう1台持っておきたいというユーザーも徐々に増えてきており、ユーザーにより異なるニーズをうまく吸収できていることがうかがえる。
圧倒的な品揃え
同社の店舗では、中古スマートフォンの買取も実施しており、一部店舗では店舗内でデータの消去やクリーニングが実施され、店頭に並べられる。
これ以外にも、ゲオグループは物流拠点を設けており、全国の店舗で買い取られた端末が、独自の流通網で回収、整備が実施され、全国の店舗へ配送される。同社では、どの店舗にどの端末があるのか個品管理を実施しているため、1つの店舗にさまざまな機種やカラーをラインアップできているという。
藤巻氏は、幅広い製品ラインアップを維持するため、常時販売より買取の端末数が上回るような取り組みを実施していると説明。同社では、画面が割れてしまったなど破損や故障している端末も積極的に買い取っている。これらのいわゆる“訳あり端末”は、実際に同社店頭に並ぶことはないが、修理しリファービッシュ品として販売する企業などへ売却するなどで、端末の循環をサポートしている。
また、店頭では端末以外にも充電器やケーブル、画面保護フィルムなどのアクセサリーも展開している。同社オリジナルの商品も展開しており、機能的でありながら購入しやすい価格の商品を開発するなど、ユーザーのスマートフォンライフをサポートしている。
実際の検品工程
具体的にどのようにして検品されているのだろうか。
端末をBlanccoのデータ消去ツールと接続すると、端末が自動的に専用アプリをダウンロードし、端末内で起動される。カメラなどの検査が自動で進められた後、物理ボタンやディスプレイの表示、タッチパネルなどの検査を手動で実施する。検査は、ウィザード形式で進められ、スタッフはウィザードに従って操作するだけで、検査を完了できる。
検査後は、そのままツールによる初期化が行われる。
端末のクリーニングでは、マイクロファイバークロスや不織布などで実施される、スピーカーや端子周りの細かな部分では、先が細くなったツールを使用するなど、同社のノウハウが活かされている。
物流センターでクリーニング、検品された端末は、機種やカラー、状態などによって分けられ、順次全国の店舗へ配送される。低価格の端末が多く流通しやすいといい、取材日も「iPhone SE(第3世代)」の在庫量が多く見えた。
今回は、実際の現場で従事ゲオモバイル錦糸町マルイ店店長の氷見木綿子氏
中古スマートフォンのトレンド
操作性や経済性重視
先述のように、中古スマートフォンの販売台数は拡大傾向にあり、2024年度まで6年連続で過去最高を記録、2029年度には400万台を超えることも予測されている。加えて、法人需要や海外旅行者の購入が増加しており、市場拡大を後押ししているという。
藤巻氏は、ゲオモバイルの独自調査としてユーザーの2025年最新トレンドを紹介する。
新品端末の価格について調査したところ、7割以上のユーザーが「高すぎると感じる端末価格」を8万円以上と回答。加えて、スマートフォンを購入する上で重要なポイントに「最新機種」と挙げたユーザーは4.8%で、多くは価格や機能性など、価格や機種の機能を重要視していることが読み取れる。藤巻氏は、高価な最新機種を追いかけるのではなく、自身の予算や機能、操作性などにこだわりを持ってスマートフォンを選ぶユーザーが多いと分析する。
また、「最新機種ではない端末をあえて購入したことはあるか?」の問いには46.7%が経験があると回答。このほかの質問からも最新機種に対し「オーバースペック」と感じているユーザーも一定数存在しており、「必ずしも最新、最高性能が求められているわけではなく、自分の使い方にあった必要十分スペックや手になじむデザインが重視される傾向にある」と話す。
ゲオモバイルの販売、買取ランキングでも、その傾向が垣間見られる。たとえば、販売数量ランキングを見ると、iPhoneが上位にランクインしている一方、iPhone SE(第3世代)やiPhone 13といった旧モデルがランクインしている。買取ランキングでも同様の傾向が見られ、“ホームボタンの存在”や“コスパがよく長く使える5G端末”など、ユーザーの操作性へのこだわりや経済性を重視した傾向が確認できる。
地方で高まるニーズ
次に、ゲオモバイルの都道府県別の傾向を取り上げる。全国の販売台数を見ると、1位が東京都、次点で愛知県、北海道と続く。人口の多い都心部で安定した需要があるほか、本社がある愛知県、認知が高い北海道などでも販売台数が多い。
一方、2022年9月~2023年8月と直近1年を比較した契約上昇率をみると、1位が岩手県、次点に佐賀県と徳島県がランクインした。地方での店舗出店数など単純に比較はできないものの、地方でも通信費の見直し需要が向上しており、“格安スマホ”、“格安SIM”の需要が広がってきていることがわかる。
藤巻氏は、これらの調査を踏まえ「中古スマートフォン市場で、消費者の意識に大きな変動が起きている」と分析。最新機種を追う流れから、自分のニーズに合った端末を購入する「自分軸の選択」をする流れに変化しているとした。
同社では今後も実店舗がある強みを活かし、都市部では駅前やショッピングモールなどでの単独店を、地方ではゲオなど主要ブランドの店舗に出店する併設店の両軸をメインに、出店を加速させていく。

















































