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南極の水中ロボを東京からリモート制御に成功、ソフトバンク
2024年12月22日 11:00
ソフトバンクは、ソフトバンク本社(東京都港区)から南極(昭和基地の南方約55kmに位置するスカルブスネス・鳥の巣湾)の海氷下を移動する水中ロボットをリアルタイムで遠隔制御する実証実験に、世界で初めて成功したと発表した。
この実証実験は、国立極地研究所の協力の下、第65次南極地域観測隊による観測事業の一般研究観測課題「マルチスケールのペンギン行動・環境観測で探る南極沿岸の海洋生態系動態」の一環として実施された。
ソフトバンクは、光の明滅を信号に変換する技術であるOCC(Optical Camera Communication)とNTN(Non-Terrestrial Network、非地上系ネットワーク)を組み合わせたシステムを開発した。このシステムでは、LEDの光の明滅をカメラで撮影し、画像処理を用いたトラッキング技術で光を検出・追従することで、光の輝度変化をデジタル信号に変換する。
これにより、2台の水中ロボット間での水中光無線通信が可能になった。また、海洋で動作している水中ロボットとNTNで接続することで、離れた場所にいるオペレーターが指示を出すことができるほか、水中ロボットが動作状況や収集したデータを遠隔地のオペレーターに送信することもできるようになった。
そして今回、南極の海中を移動する水中ロボットを約1万4000km離れた日本からリアルタイムで遠隔制御し、水中ロボットに搭載した水温や水圧などのセンサー情報をモニタリングすることに、世界で初めて成功した。これにより、水温が約-2℃まで低下し、海氷に閉ざされていて音響通信の活用が難しい南極の海中においても、水中ロボットからのデータの収集や観測などを遠隔で実行できることが確認された。
今回の実験で、日本の技術者や研究者などが南極まで出向くことなく遠隔で海中の調査を行うシステムを、将来的に構築できることが証明された。
ソフトバンクは今後、この技術を自律型水面航行ロボット(ASV:Autonomous Surface Vehicle)と組み合わせ、より実用的な研究を進めていくという。また、日本近海における水中での測位や水中無線コミュニケーションが可能な水中ロボットおよび産業ダイバー向けソリューションを開発し、2026年度に商用化することを目指している。