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ドコモ、「菊花賞」の京都競馬場でエリア対策 4G/5Gともに強化で快適さを維持

 NTTドコモは、本日20日に京都府京都市の京都競馬場で開催されるレース「菊花賞」で、携帯電話サービスを快適に使えるようエリア対策を行う。本誌では今回、本番直前の京都競馬場で、その様子を取材した。

Massive MIMOとマルチビームアンテナでエリア対策

 エリア対策が行われるのは、京都競馬場の敷地内。すでに基地局は設置されており、ドコモの通信サービスを利用できるが、人気のレースでは来場者が突発的に増加するため、通信速度が低下したり、通信がつながらなったりする可能性が出てくる。

京都競馬場のパドック

 今回の対策では、セルの一つひとつをさらに細分化して、通信負荷の分散をはかる「マルチビームアンテナ」を導入。5G(Sub6)のみならず4Gでも大容量化を図っている。大多数のユーザーが利用する「NSA」(Non-Stand Alone)方式の5Gの場合、4Gバンドも必要とすることから、4Gの強化も不可欠という。MMU(Maasive MIMO Unit)との併用で、快適な通信を維持する。

写真提供:NTTドコモ
20mの高さまで上げて見通しを確保
中心にマルチビームアンテナ。両脇の小さいアンテナが5G(MMU)

 特に、写真撮影する人などが増加するパドックは、マルチビームアンテナとMassive MIMOを用いて5G/4Gの両面で対策する。パドック周辺は、レース前の馬を見物したり写真を撮ったりする来場者でかなりの混雑が予想される。MMUとマルチビームアンテナを組み合わせるエリア対策は関西では初という。

入場口などをカバーする5Gの移動基地局車

 またゴールの付近、表彰台のような場所であるウィナーズサークルも写真を撮る来場者が多い。既存の基地局でもカバーする範囲というものの、移動基地局車により既存設備の負担を軽減する。このほか競馬場の入口などでも5G対応の移動基地局車で対策を行っている。

競馬場でもスマホ需要

 NTTドコモ 関西支社 ネットワーク部 ネットワーク計画 移動無線計画担当の片岡広 担当課長によれば、5Gの強化のみというイベント対策のケースも多い。今回の対応はそれだけでは足りないということを見込んでの措置だと説明する。

 競馬場でのエリア対策に、移動基地局車を持ち込むのは今回が初という。片岡氏は、春開催の「天皇賞」のネットワークの状況を「正直言うとつながりづらかった。それが大きな問題だったという認識で今回の対策に当たっている」と話す。人出はレースのグレードなどで左右されることもあるため、今後も試行錯誤を重ねていく。

パドック周辺
ウィナーズサークル周辺

 競馬場でのスマートフォン利用の機会は少なくない。入口での入場処理をスマートフォンで行うほか、「ネット投票」として、馬券もスマートフォン上で購入するという人も増えているという。撮影した写真をSNSにアップするという需要もある。競馬新聞もWeb版の利用が増えるなど、通信の利用機会は増えている。

 NTTドコモ 関西支社では、このほかにも大規模な21のイベントで臨時基地局によるエリア対策、全5G化のほかMMU、マルチビームアンテナの活用でイベント会場でドコモユーザーの通信環境の維持を行う。ほかにも狭いスペースにも設置できる「可搬型コンテナ基地局」での5Gエリア対策も検討している。