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ドコモが狙う“縦読みコミック”からのマルチメディア展開、MUGENUP完全子会社化

ドコモ コンシューマサービスカンパニー コンテンツサービス部 部長の宮原さおり氏

 NTTドコモは15日、電子コミックなどを展開するMUGENUPの全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。ドコモは、IP(知的財産、ここではオリジナル作品といった意味)コンテンツの拡充に取り組んでおり、配信プラットフォームの見直しやバンドルプランによる追加還元施策「爆アゲセレクション」など、コンテンツを配信するプラットフォームの取り組みを実施してきた。

 一方で、音楽ライブの主催など、コンテンツを制作する取り組みも始めており、今回のMUGENUPの完全子会社化により、さらにコンテンツ制作を加速させ、制作から配信までを一気通貫で行う。

プラットフォームと会員基盤を持つドコモ

 豊富な配信プラットフォームを展開するドコモ。映像やアニメのプラットフォームを持つだけでなく、コミックやアニメ、映像などのオリジナルIPの創出にも取り組んでいる。ドコモ コンシューマサービスカンパニー コンテンツサービス部 部長の宮原さおり氏は、同社の会員基盤を活かしてユーザーのニーズを汲み取りコンテンツの魅力向上に取り組んでいると説明する。

 コンテンツの中でもコミックは、近年電子コミックからヒット作が生まれ、ドラマ化やアニメ化、書籍化などマルチメディア展開が進んでいる。加えて、海外展開の可能性にも宮原氏は言及し、スマートフォンで閲覧しやすい「縦読みコミック」に注目し、今回縦読みコミックの制作スタジオとしてのノウハウを持つMUGENUPの完全子会社化が進められた。

コンテンツ制作スタジオMUGENUP

 MUGENUPとドコモは、これまでもドコモと協業して作品を創出してきており、協業作品のなかではdブックで総合1位を獲得するものもある。

 一方、MUGENUP 代表取締役 伊藤勝悟氏は、コミック作品を制作する上で“連載維持”に課題があると語る。フルカラーで週刊連載することが求められる縦読みコミックでは、連載を維持するためにリソースを確保することに課題がある。同社では、縦読みコミック参入以前からも、ゲームアセットやテレビCMなどの制作スタジオとして1つのコンテンツを複数人で分業して作業する体制をとっており、この体制が縦読みコミックの制作にも活かされている。

MUGENUP 代表取締役 伊藤勝悟氏

 MUGENUPから見たドコモの強みとして伊藤氏は「会員基盤にメリットを感じる。縦読みコミックの制作から、映像化やグッズ化の展開で、ドコモが持つ幅広いネットワークとリソースは魅力的」とコメント。プラットフォームが持つさまざまなデータも今後コンテンツ作りに活かしていくとした。

 今後展開するコンテンツの一例として伊藤氏は、映像化のしやすさを挙げる。古い時代のファンタジーより現代をテーマにした作品の方が映像化しやすくなっていると話す。