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ソフトバンクの「LINEMO」、ユーザーの声から見る新プランの手応えと課題

ソフトバンク LINE&Y!mobile事業推進本部 部長の東邦彦氏

 ソフトバンクは22日、オンライン専用ブランド「LINEMO」について、LINEMOユーザーの声を元にした調査結果を発表した。7月に発表した新料金プラン「LINEMOベストプラン/ベストプランV」のユーザーからの評価や、実際にLINEMOを利用しているユーザーからの“生の声”が紹介された。

「LINEMOベストプラン/ベストプランV」

 「LINEMOベストプラン/ベストプランV」は、7月に発表、提供開始された料金プラン。

 ベストプランは、データ容量10GB、料金は月額2090円。月間利用データ量が3GBまでの場合は、その月の月額料金が990円になる。

 ベストプランVは、データ容量30GB、料金は月額3960円で、月の利用データ量が20GBまでの場合、その月の月額料金は2970円になる。また、1回あたり5分以内の通話定額が含まれている。

 LINE&Y!mobile事業推進本部 部長の東邦彦氏によると、新プランの発表からLINEMOの申し込みは増加傾向であり、既存のLINEMOユーザーのプラン移行も進んでいるという。

 また、SNSの声も新プラン発表会前後で2.4倍に増加しているとしている。

LINEMOユーザーの傾向や使い方

 では、実際にLINEMOユーザーはどこに魅力を感じているのか? 同社は、8月にLINEMOユーザーに調査を実施すると、ユーザーの傾向やどこに魅力を感じているか? などがわかってきた。

 MMD研究所代表の吉本浩司氏は、携帯電話業界全体の市場調査結果を元に、LINEMOを契約するのはどのようなユーザーかを説明する。

MMD研究所代表の吉本浩司氏

 月間利用データ容量別にユーザーを分類したところ。LINEMO全体の55.5%のユーザーが“3GB以下”のユーザーで、低容量帯のユーザーが多いことがわかる。

 続いて、現在のブランド/プランを契約する前にどこを契約していたか、いわゆる乗り換え元を調査したところ、他MNOのオンライン専用プランと傾向がやや異なるところが見えた。

 たとえば、NTTドコモのahamoは、68.8%のユーザーがドコモから、KDDIのpovoは約58.3%のユーザーがauからと、同じ会社のメインブランドからの乗り換えが多い。一方、LINEMOはソフトバンクからの乗り換えは33.5%と低く、楽天モバイルなど他社からの乗り換えがやや多い。吉本氏は「LINEMO開始当初はソフトバンクやワイモバイルからの流入が多かったが、現在では他社ユーザーがLINEMOに注目していることが多い」と説明する。

 ブランド/プラン別に“選んだ理由”を調査すると、LINEMOでは料金と通信速度で選ばれており、ユーザーの満足度も高評価が得られている。

 続いて、LINEMOが8月2日~6日に1072ユーザーに行った調査結果をご紹介する。スマートフォンの利用目的を聞くと、96.0%のユーザーがLINEを利用しており、LINEMOを契約した理由でも「LINEギガフリー」を理由に挙げているユーザーが多く、LINEを意識して利用しているユーザーが多いことがわかる。

 契約した理由では、1位に「料金プランが自分に合っているから」、2位に「コストパフォーマンスが良いから」を挙げており、金額とコスパを重視しているユーザーも多い。

 サービス満足度を調査すると、91.6%がLINEMOに満足していると回答。中でも、利用料金や料金プラン、コストパフォーマンス、通信の繋がりやすさや通信速度が満足度上位になっており、「料金」と「コストパフォーマンス」、そしてコストパフォーマンスを左右する「通信品質」を気にしているユーザーが契約し、実際にその要素に満足していることがわかる。

 一方、7月に登場した「LINEMOベストプラン/ベストプランV」については、LINEMOユーザー内の認知度が39.2%で、認知しているユーザーのうち59.4%のユーザーが「ベストプランは魅力的」と回答した。魅力的な点では、「10GB以下最安」や「利用データ量で料金が決まる」、「データ容量がちょうどいい」が上位となった。

LINEMOユーザー座談会

 後半には、実際にLINEMOを利用しているユーザー4人が登壇し、日頃の使い方などが語られた。

 座談会の中では、新料金プランの「3GB」「10GB」「20GB」「30GB」の区切りを“ちょうどいい”と感じているユーザーが多かった。

 たとえば、産休中であまりデータ通信を利用しないユーザーは、利用データ量が3GB/月以下で月額990円で利用している。平均の利用データ量が10GB強のユーザーは、「少し我慢すればいけるかな」とベストプランにプランに変更し、月額2090円で利用している。

 データ容量30GBの「ベストプランV」を契約したユーザーは、「これまでの20GBのプランでは足りない月があった」とコメント。

 LINEMOを契約したきっかけを聞くと、「PayPayの特典がもらえるキャンペーン」や「LINEギガフリー」が決め手になったユーザーがいた一方、過去にLINEモバイルを契約しておりその際の利用体験が良かったために契約したユーザーがいた。また、LINEMOのロゴや家族割引などがないシンプルさなど、ブランド自体の魅力が高いと評価しているユーザーもいた。

機能を知ってもらう努力が必要

東氏

 座談会に登壇したLINEMOユーザーの中でLINEMOのサービスは、比較的高い評価を得られた一方、「周知が足りていない」とソフトバンク 東氏が反省する場面も見られた。

 たとえば、Webでの契約手続きについて「1人でできるか最初は不安だったが、実際に契約する際はスムーズだった」というユーザーの声に「難しそうと思われているのではないか。難しくないというところを伝えていかなければ」と東氏はコメント。

 また、LINEMOのLINE公式アカウントと連携させれば、LINEアプリから月額料金や通信データ量を確認できる機能がある。座談会では「通信データ量を確認するのに、いちいちWebサイトからログインしなければいけないのは面倒」という声があり、LINE公式アカウントの機能が知られていない光景が見えた。

 東氏は「便利な機能でも、(ユーザーに)届き切れていない」と漏らし、ユーザーとのコミュニケーションに課題感を感じているようだった。終了後の囲み取材でも、「やみくもにユーザーに通知を出しても見てもらえない」と情報発信について今後も取り組む姿勢を示した。