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ドコモが開始した「ドコモ データクリーンルーム」の狙いは? プライバシーに配慮して顧客分析をサポート
2024年8月22日 18:29
NTTドコモ、インテージ、ドコモ・インサイトマーケティングの3社は、パートナー企業向けのサービスとして「ドコモ データクリーンルーム」を8月7日に開始した。
「ドコモ データクリーンルーム」は、個人を特定することなく、プライバシーに配慮したセキュアな環境で顧客データを分析できるサービスとなっている。
同サービスを通じてパートナー企業を支援することで、ドコモはマーケティングソリューション事業の強化を図っていく。
「dポイントクラブ」が大きな強み
ドコモは、インターネット広告やマーケティングDX市場が着実に成長することで、マーケティングソリューション事業が年8%程度成長すると見込む。今後の成長が見込まれるため、これを収益の柱と位置づけて企業活動を強化する構え。
同社のマーケティング領域におけるコアアセットのひとつに、約1億人の会員数を誇る顧客基盤「dポイントクラブ」が挙げられる。dポイント加盟店は957ブランド約11万店舗、決済・ポイント利用が可能な店舗は559万店舗以上となっている。
独自AIエンジン「docomo Sense」
ドコモは、同社の顧客基盤やデータなどをクライアントの課題解決に使っていくためのツールとして、独自AIエンジン「docomo Sense」を保有する。
「docomo Sense」は、会員IDベースのユーザープロフィールやオンライン・オフラインの日常行動といったデータを横断的に解析し、ユーザーの特徴をプロファイリングするもの。
「docomo Sense」の成熟が進むことで、ドコモのパートナー企業だけでなく、ドコモのユーザー側にも恩恵がもたらされるという。たとえば求めている情報が最適なタイミングで手に入ったり、企業の一貫したブランド体験を享受したりできる世界観が目指される。
インテージとの協業意図
ドコモにとって、インテージとの協業には「弱点の補完」という意図がある。ドコモはこれまで、広告販促やCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)など、生活者に近い領域でのビジネスに軸足を置いてきた。
今後、中期的な目標として企業へのマーケティング支援などを考えるとき、マーケティングバリューチェーンの上流に該当する市場調査や商品開発などにおいて課題感を抱えていたという。
一方、2023年10月にドコモが子会社化したインテージホールディングスは、市場分析や調査、それらの情報を踏まえた戦略策定に強みを持つ。
相互に補い合うような両社の強みを活かし、統合型のマーケティングソリューションサービスを展開するとしている。
「ドコモ データクリーンルーム」で新たな価値を創出
今回新たに始まった「ドコモ データクリーンルーム」の提供元は、ドコモ・インサイトマーケティングとなる。同社は2012年に、ドコモとインテージホールディングスのジョイントベンチャーとして設立された。
「ドコモ データクリーンルーム」は、パートナー企業が、ドコモやインテージのデータの中で顧客から必要な同意を得られているデータを活用し、顧客データを分析できるSaaSサービス。
ドコモが保有するデータの特長としては、ひとつのID(シングルID)で顧客の行動を切れ目なく把握できることが挙げられる。スマートフォンやアプリの利用はもちろん、「dポイント」「d払い」などの決済、「dマーケット」「Lemino」などのサービス利用状況などを、単一のアカウントに紐付いた状態で確認できる。
また、インテージも「SCI(全国消費者パネル調査)」「買いログ(CODE)」などのデータを保有している。
パートナー企業は、分析において、先述の独自AIエンジン「docomo Sense」を活用したプロファイリング情報や行動情報も利用できる。
自社の会員サイトやアプリなどを構築してデータを蓄積しているが、そのデータだけでは顧客の分析が不十分というようなケースに対応する。