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世界の5G契約数は17億件、5G SA整備が携帯会社の収益に貢献――エリクソンの定期レポート

 世界での5G契約数は17億件に達した。6月に発行された「エリクソンモビリティレポート」で明らかになった。2029年までに56億件と、世界全体のモバイル通信契約の半数が5Gになる見込み。

5G契約数は17億件に

 エリクソンによると、2024年第1四半期時点でのグローバルにおける5G契約数は17億件。2029年までに93億件のモバイル通信契約数のうち5G契約数だけで56億件と、過半数を占めると予測されている。

 前回(2023年)のレポート公開時から、アフリカでの契約者数のデータに変化があったことから加入者全体の数字としては伸びが見られる。4G契約者数は徐々に減少傾向にあり、2Gと3Gでも同様の動きがある。

右=エリクソン・ジャパン 鹿島氏

 スマートフォンの端末市場は、これまで買い替えサイクルの長期化などのトレンドがあったが、出荷台数ベースでは6%ほど伸びており、回復基調の兆しが現れている。報道陣向けにレポートの概要を説明したエリクソン・ジャパン CTOの鹿島毅氏は、AI機能を全面に押し出した端末が多く登場しており今後、消費者の購買行動を喚起する可能性があるとしている。

世界の通信トラフィックは25%増

 世界のモバイル通信のトラフィックは、2023年第1四半期から2024年第1四半期にかけて25%増加した。前回レポートでの伸び率は30%だったため、数字としては落ちてはいるものの伸びる傾向は続いている。

 2023年~2029年でトラフィックは3倍に増加すると見立てており、2029年には5Gのトラフィックが約75%を占めるとされる。また、2027年ごろからは5G設備のNSAからSAの転換などの影響もあり、4Gのトラフィックが減少に転じることが予測されている。

 スマートフォン1台あたりの通信量が最も多いのはインドで月間平均29GB。世界平均の17GB/月と比較しても突出して多いが、2029年には世界平均で月間42GBに達すると見られており、需要に見合うネットワークの整備が必要だと鹿島氏は訴える。

ロイヤリティ確保や差別化が収益につながる

 通信事業者にとっても欠かせない収益性。その確保にはサービスの差別化やユーザーロイヤリティの向上が必要とされる。

 収益を確保する手段のひとつとしてはデータ容量、アプリ・サービスバンドル以外に、通信自体の付加価値の付与という選択肢があり、性能の向上や優先接続が可能であれば値上げを許容するユーザーは20%(グローバル、日本:17%)いるともされた。

無制限プランの提供はシェアとの関連性が低いとも。米国ではFWAの普及が著しい

 日本のように市場が飽和している場合は基本的にユーザーの奪い合いになることは避けられないが新規獲得のコストは高く、ユーザーのロイヤリティを高めて維持する必要性があるとする。

 北米におけるデータでは、ミッドバンド(Sub6)はコンテンツを開くまでの時間が短く、ユーザー体感に結びつくことからロイヤリティへ向上の貢献も期待される。北米における5Gミッドバンドのカバレッジは85%、インドと中国ではそれぞれ90%、95%と高い数値が並ぶがグローバルでは45%とまだ伸びしろがある。

 ネットワークのパフォーマンスは、ユーザーロイヤリティの向上に重要性が高い。エリクソンが行った別のグローバルでの調査では、事業者乗り換えの理由が1位こそ価格であるものの、2位以下には僅差で通信速度やカバレッジなどが並ぶ。

 一方で解約した理由には、アリーナなどでネットワークに不満があったケースが多く、通信事業者にとって突発的な人口集中が起きやすいイベント会場などでのエリア対策が重要になることを表している。