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大阪府が高齢者のATMでの携帯電話を禁止、検討へ

吉村洋文大阪府知事

 吉村洋文大阪府知事は、27日の会見で、大阪府下において「高齢者が携帯電話を操作しながらATMを操作する」ことを禁止する条例の制定を目指すことを発表した。2024年度中の制定を目指すとしている。

 吉村知事は、「大阪府において特殊詐欺の被害が増加している。さまざまな対策をしているが看過できず、より踏み込んだ対策が必要だ」とし、対策強化の方針を示した。

 具体的には、コロナウイルスの影響で一時は落ち着いたものの、ここ数年は件数、被害額共に右肩上がりの状況で、2023年は2656件(過去最多)36億6140億円、1日あたりおよそ1000万円がだまし取られている状況だという。被害者の85%が65歳以上の高齢者で、特に「携帯電話で指示をしてATMで操作させて振り込ませるもの」と「コンビニでプリペイドカードを買わせる架空請求詐欺」が多くを占めている。

 大阪府では特殊詐欺対策を想定した「大阪府安全なまちづくり条例」を制定しているが、改正から5年経過するのを契機に、より踏み込んだ対策をとるべく条例を改正する方針を固めた。

 特に被害が多い「携帯電話で通話しながらATMを操作して振り込ませる」対策としては、「高齢者が携帯電話で通話しながらATMを操作することを禁止にする」ことや「振込限度額まで操作させるなど、不自然な入出金に対する通報義務」を制定。架空請求詐欺に対しては、「コンビニなどでのプリペイドカード販売時の確認義務」などを盛り込むことを検討している。

 吉村知事は「そもそも高齢者がATMで電話しながらATMを操作する必要があるのか?」と自身の考えを示したものの、さまざまな考えがあるとし、今後審議会などでの検討や関係業界との調整を進めると説明する。

 また、ATMを使った詐欺被害の多くは無人のATMで発生しているとし、銀行員やコンビニ店員による声かけ以外の方法などこれから検討する必要があるとした。条例は「法的に義務とする条例を実現したい」とし、理念条例ではなく義務規定を含む条例を制定する方針を示した。

 今後、直ちに審議会を立ち上げ、パブリックコメントを経て2025年2月の議会審議を目標に取り組みを進める。