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グーグルの生成AIサービス「NotebookLM」が日本でも一般公開、調査と制作を助けてくれるAIパートナー

 米グーグル(Google)は、生成AIサービス「NotebookLM」について、日本を含む各国で一般提供を開始した。順次利用できるようになる。開始時点での利用料は無料。

生成AIのリサーチ&ライティングアシスタント

 Google Labsのエディトリアル・ディレクターであるスティーブン・ジョンソン(Steven Johnson)氏によれば、「NotebookLM」は、“生成AI搭載のリサーチ&ライティングアシスタント”だという。

 一般的な生成AIは、事前に取り込んだ(学習した)データをもとに、ユーザーの求めに応じてテキストなどを生み出す。

 一方、「NotebookLM」は、ユーザーがアップロードした資料・データを用いる。これは生成AIで発生しがちな“幻覚(ハルシネーション)”を防ぐ手法とされる「グラウンディング」にあたる。

 米国では昨年、利用できるようになっていたが、今回、グーグルの生成AIモデルのひとつ「Gemini 1.5 Pro」を取り入れた「NotebookLM」が、日本を含む世界200以上の国と地域で、日本語を含む35以上の言語で利用できるようになる。今後は100以上の言語がサポートされる予定。

ダークモードにも対応

 また、生成される結果では、インラインで引用が表示されるようになり、生成物のソース情報へダイレクトにアクセスできるようになった。

 クラウドで処理されることから、ブラウザとネットにつながるパソコンがあれば利用できる。現時点ではモバイルデバイスよりも、パソコンでの体験に最適化されたインターフェイスになっている。

使い方

 NotebookLMでは、複数の“ノート”を作成し、ノートごとにデータ(情報ソース)をアップロードする。1ソースあたり最大50万語、1ノートあたり最大50ソース、計2500万語をアップロードできる。ノートの最大作成数は上限が設定されているとのこと。

 なお、アップロードしたデータは、グーグルの生成AIモデルの学習には用いられず、グーグルがほかのサービスでも適用しているセキュリティで保護される。

 また、ソースとなるデータの形式は、Googleドキュメント、PDF、テキストファイルに加えて、新たにGoogleスライド、WebサイトのURLもサポートされる。Gemini 1.5 Proにより、マルチモーダル機能に対応していることから、スライドやドキュメントに含まれる画像や図表を理解するという。

 発表にあわせて示された利用例では、ベストセラー作家のウォルター・アイザックソン氏が、次作のため、過去の偉人のひとりであるマリ・キュリー(キュリー夫人)の日記をNotebookLMで分析しているという。

 では、実際、どういった使い方ができるのか。

 たとえばNASA(米航空宇宙局)が保有する「オーラル・ヒストリー・プロジェクト」では、30万語以上のテキストと、多彩な画像のデータがある。これは、宇宙飛行士やフライト・ディレクターへのインタビューなどが含まれたもので、米国の宇宙開発史が記録されたもの。

 ただ、あまりに膨大な量になるため、全てを読むには、途方もない時間がかかる。

 たとえば、この膨大なデータ集のそれぞれがどういったものか、「NotebookLM」にアップロードしてから「よくある質問」を作成するように、「NotebookLM」にお願いすれば、生成してくれる。

 はたまた、いつ、どういった出来事があったのか、タイムラインも作成できる。さらに人物も把握し、どの資料に誰が関わっているのか、示すこともできるという。

NASAのデータをもとに「月面着陸でのエピソードを、画像と一緒に下書きして」と問うたところ

 はたまた、「NASAの予算は米連邦予算のなかでどう変化したのか」と問うと、NASAの経年の予算と連邦予算を棒グラフで示すこともできるという。

 こうしたNASAの資料をもとに、別の成果物を作ろうとする際に役立つ、というNotebookLMだが、たとえばNASAの資料がアップロードされたノートに、人気アーティストのテイラー・スウィフトについて質問をすると「丁寧に回答を拒否される」(ジョンソン氏)という。

 もともと文筆業というGoogle Labsのジョンソン氏は、NotebookLMを利用する際、「私自身が使う場合、自分がどんな仕事をして、どんな本を書いているか、自己紹介をしてから質問をすることが多い」という。