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Visaが「大阪エリア振興プロジェクト」、タッチ決済普及・データ活用で地域経済活性化

 ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、大阪府で「大阪エリア振興プロジェクト」を開始する。「Visaのタッチ決済」普及促進や購買データ活用によるマーケティング、商品・アプリ開発などで投資を行う。

ビザ・ワールドワイド・ジャパン キトニー氏

大阪でタッチ決済促進

 クレジットカードを端末にかざすだけで支払える「Visaのタッチ決済」の利用拡大などを通じて、消費者の利便性向上や中小規模の加盟店の持続的な成長などを促進する。あわせて公共交通機関での利用や加盟店の拡大でタッチ決済を普及させ、国内外の観光客を呼び込む。「大阪広域データ連携基盤」(ORDEN)との連携によりターゲットマーケティングへの購買データ活用や商品、アプリの開発などイノベーション創出で地域経済の活性化や観光施策、経済活性化策の立案・検証モデルの策定で協力する。4月17日からは、消費者向けにキャンペーンが始まる。

 ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長のシータン・キトニー氏は、大阪で今回のプロジェクトを進める理由について、日本を訪れるインバウンド客の4割弱が大阪を訪れていると国際色豊かな地域であることを挙げる。大阪府では今後、大阪・関西万博や性的マイノリティを対象とした旅行業団体「IGLTA」のイベントも控えている。あわせていわゆる“Z世代”の人口に対する割合が全国で14.5%なのに対して、大阪府は20%と若年層の割合が高い。同社は、こうした大阪の人口構成もタッチ決済普及のチャンスと見る。同社と大阪府、大阪観光局は2019年からパートナーシップを締結している。

 大阪エリア振興プロジェクトにより、消費者は決済体験の向上や安全性の高さを享受できるようになるほか、事業者にも運営効率の向上で持続的なビジネスを実現できるよう支援する。これらにより社会インフラの向上や観光客の増加など自治体にとってのメリットも見込めるとする。

タッチ決済は堅調、全国でも普及進める

 Visaのタッチ決済は堅調に成長しているという。2023年12月時点でのタッチ決済対応クレジットカードの発行枚数は1億2000万枚超。実店舗におけるタッチ決済の利用率は29%と、およそ3件に1件がタッチ決済による。

 コンビニや飲食店、スーパーなど日常的に利用する店舗でもタッチ決済店舗の普及が進んでおり、非日常利用でも2021年~2023年間で5倍の伸びがあった。ユーザーの満足度も高水準という。公共交通機関では全28都道府県で全71プロジェクトが進行中としており、東急電鉄や大阪メトロ、阪急電鉄、名古屋鉄道などでは2024年中にも利用できるようになる見込み。

 消費者向けだけではなく、事業者側にも通常のスマートフォンなどがタッチ決済端末になるソリューション「Tap to Phone」を展開しており、大阪エリア振興プロジェクトでは、こうした仕組みも活用しアピールする。キトニー氏は「持続可能な成長につながる日本の決済の可能性を大阪から広げる。そのパートナーとなるビザは、タッチ決済の技術でキャッシュレス社会への変革の最前線に立つ。我々の目標は日本を決済システムにおけるイノベーションの世界的リーダーとすること」と語った。