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KDDIが参加する「オープンメタバースネットワーク」、企業や自治体がメタバース導入で「悩む問題」を一気通貫で解決
2024年3月14日 16:51
KDDIとSTYLY、monoAI technology、REALITY XR cloudは14日、複数のメタバースプラットフォームが連携するメタバースアライアンス「オープンメタバースネットワーク」を発足した。
参加するプラットフォームは、αU、STYLY、XR CLOUD、REALITYで、日本最大級のアライアンスだという。窓口となるKDDIに相談することで、最適なプラットフォームの選定からコンテンツ制作まで、一気通貫で提供するという。4つのプラットフォームが提携する意義はどこにあるのだろうか?
メタバース導入への課題を解決
KDDIでは、2020年5月にスタートしたバーチャル渋谷をはじめとして、都市連携型メタバースの推進に向けて社内外での取り組みを進めてきた。
これを発展させる形で、2023年3月にαUメタバースをリリース、10月にαUライブなどのサービスを拡充し、B2C向けのサービスを提供してきた。
その一方、自治体向けのメタバース導入についても引き続きサポートしており、KDDI 事業創造本部 Web3推進部長の舘林 俊平氏によると、当初は「メタバースをやってみよう、なにか作りたい」といったニーズが多かったが、最近は「新たな顧客接点として継続的に運営するオウンドメディアのような活用」がかなり増えてきている感触があると良い、同社の受注額でも2023年は22年比で約5倍の売上成長だという。
さまざまな実績を積み上げていく中で、課題点も浮き彫りになってきているといい、法人や自治体共通で大きく3つの課題が出てきていると舘林氏は指摘。
1つは、「どのプラットフォームを使えば良いのかわからない」こと。2つ目は「単体のプラットフォームではなく、幅広く使うことで、より多いユーザーにアプローチしていきたい」ということ。3つ目は「イベントやコミュニティを作ろうとする際に、毎回ゼロからプラットフォーム上にコンテンツを作成するためコストがかかってしまう」こと。
また、受注を受けるプラットフォーム側では、自社のプラットフォームだけを紹介する形となってしまい、複数のプラットフォームをまとめて提案できるものもなかなかいない現状があるという。
舘林氏は、これらを解決しないと、自治体や企業のメタバース参入が「どんどん難しくなっていく」と説明。今回のオープンメタバースネットワークの発足は、これらの課題を解決すべく、それぞれのプラットフォームが一緒になって、ワンストップで相談できるような連盟だとする。
舘林氏によると、発足時に参加する4社のプラットフォームを合わせると、延べ1億人を超える参加人数を誇るとし、「メタバース導入を考える企業が真っ先に名前を挙げる4社を並べることができた」と自身を見せる。
オープンメタバースネットワークでは、自治体や企業からの問い合わせに対して、最適なプラットフォームや、メタバース空間とリアルの両方の施策、複数のプラットフォームにまたがる提案、コスト最適化のための提案ができるようになるという。
オープンメタバースネットワーク発足イベント
「オープンメタバースネットワーク」は、あくまでB2B向けの取り組みではあるが、「オープンメタバースネットワーク」のショーケースとして、15日からマルチプラットフォームで展開するイベント「Sakura Virtual Fes2024」を実施する。
舘林氏は、「オープンメタバースネットワーク」ではB2B、企業向けの取り組みで、法人や自治体の需要をしっかりと作っていかなければいけないとしながらも、今回のイベントはあくまでショーケースとしての位置づけだと説明。
工場内を再現するなどはできるが、ショーケースでそれを作って公開しても仕方が無いとし、イベントこそエンターテイメント性を持たせているが、B2B寄りのアプローチをしているとした。
「オープンメタバースネットワーク」発足への期待感
説明会の後半には、「オープンメタバースネットワーク」に参加する4社によるトークセッションが行われた。登壇するのは、KDDIの舘林氏と、STYLY 代表取締役の山口 征浩氏、monoAI technology 代表取締役社長の本城 嘉太郎氏、REALITY XR cloud 代表取締役社長の春山 一也氏。
「オープンメタバースネットワーク」への期待感について、REALITY XR cloudの春山氏は、「REALITYアプリが結構盛り上がっており、イベントでも多くの来場者がいたり、ユーザーの中でもライバーが多くSNSライクな使い高をされている一方、(ほかのジャンルにも)どんどん広げて行きたい」とコメント。また、「企業がメタバースに取り組みたいとなっても、やはり使い方がわからずうまくいかなかった事例が多かったと思い、『オープンメタバースネットワーク』に相談するとうまくいくようにできるといい」と、一体感ある運用を目指すとした。
monoAI technologyの本城氏は、同社が上場企業であることに触れ、「株式市場でもメタバースの関心が高い。メタバース市場が盛り上がっていることを投資家にもアピールできる」と、「オープンメタバースネットワーク」発足への期待をコメント。
STYLYの山口氏も「業界が一丸となって地域や日本の魅力を世界に発信していきたい。メタバースでその魅力を体験してもらい、実際に足を運んでもらい日本のことをよく知ってもらいたい」と想いを語る。
また、山口氏は地域創生についても「年間20くらいのプロジェクトが生まれるが、その自治体の中で、学生から企業までさまざまなユーザーによりコンテンツが作られる。メタバースに参加する際に『どうしたらいいかわからない』と東京の会社に発注してしまうと、地域にお金も経験も残らず、中長期的に地域活性にはつながらないと思う。ほかのプラットフォームでは、ユーザー自身がコンテンツを生み出しているものも多く、成功体験として継続できるのでは」と、単なるプラットフォームの連携にとどまらない可能性について言及した。
また、今後「オープンメタバースネットワーク」でどういった連携をしていきたいか? という問いに対して、各社とも、それぞれのプラットフォームのユーザー層や、国/地域、盛り上がっているコンテンツ、VR/Web/スマートフォンといった端末が大きく違うため、それぞれのプラットフォームに対して、多くのユーザーにリーチできるような展開をしていきたいとした。
今後の「オープンメタバースネットワーク」運営について
KDDIの舘林氏は、今後の「オープンメタバースネットワーク」の参加企業拡大について「4社で協議しながら、参加企業はどんどん増やしてきたい」と回答。一方で、具体的な目標については「まずは、実例を積み上げていくところからスタートしていきたい」とした。
また、今回の説明ではB2B向けの窓口に関する内容が中信であったが、技術の標準化や共通ID化といったものに関しては、「可能ならしていきたい」としながらも、IDやデータの連携は「各社の都合もありなかなか難しい」とコメント。一方で、「ユーザーから見たときに、複数のメタバースを使い分ける時代が来ると思っている。その際にどれらけシームレスな体験を提供できるかというのは非常に重要だと思う。まずは、ユーザーがシームレスに移動できる形から順にはじめて、需要がある様相から徐々に始めて実現できれば」とした。