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NTTドコモ・ベンチャーズが麻布台ヒルズに新オフィス、新たに2社に出資

 NTTドコモの子会社であるNTTドコモ・ベンチャーズは2月14日、メディア向けに1月より移転した新オフィスにて、これからの投資方針や、新たにAI modelとパラレルの2社に出資を行ったことを発表した。

 10年ぶりの移転となった新オフィスは、投資家同士の連携によって、投資の機会を創出するため、VC(ベンチャーキャピタル)、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が集積するエリアである麻布台ヒルズ内におかれた。投資家同士のつながりを作ると同時に、起業家と社員の交流を加速させるため、ラウンジのようなくつろげる空間作りを意識したとのこと。新オフィスでは、今後さまざまなイベントの開催も予定されている。

 本記事では、説明会にて語られたNTTドコモ・ベンチャーズの投資方針や、新たに出資を行った2社について紹介していく。

NTTドコモ・ベンチャーズの投資方針

 NTTドコモ・ベンチャーズは、NTTグループ全体を代表するCVCとして、世界中のスタートアップとNTTグループをつなぎ、イノベーションを生み出すことを目指す、NTTドコモの子会社。同社が示した資料によれば運用金額は累計1050億円に到達しており、累計出資件数は194社、協業件数は100社超、NTTグループへのEXIT実績は8社。今後、EXIT実績をさらに伸ばしていくため、リードポジションをしっかりと取っていきたいとしている。

 ドコモ・イノベーションファンドの投資領域は、金融・決済、マーケティングソリューション、エンタメ、あんしん・あんぜん、エネルギー、法人ソリューションの6軸。一方、持ち株であるNTTの投資領域は、IOWN構想の実現に資する領域、データドリブン領域、エネルギー・環境技術に資する領域、その他領域の4つとなる。

 NTTドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長の安元淳氏は、「将来的な事業創出のため、既存事業の延長線上にないテクノロジーサービスを持つスタートアップにも、国内外問わず、戦略的に投資、出資を行っていきたい」としている。

NTTドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長 安元淳氏

AI model社、パラレル社への新たな投資を発表

 説明会では、AI modelとパラレルの2社へと新たに投資を開始したことも発表。2社の代表取締役社長も登壇した。

 AI modelは、名前の通りAIモデルやAIタレントを生成することで、これまでかかっていた多額のコストを大幅に削減するといった事業を展開するスタートアップ企業。オリジナルAIモデルの生成、導入支援から、DXの支援まで行う。NTTドコモ・ベンチャーズとしては、国内初のリード出資案件となる。

 AI model CEOの谷口大季氏によると、アパレル事業において、ブランディングや集客に大きな影響を持つモデル撮影には、デジタルシフトによる負荷の増加や使用期限、媒体制限といった問題、撮影場所や撮影時間の制限といった問題があるとのこと。これらの問題を解決するために、上述したAIモデルの生成、導入支援といったソリューションを展開している。

 具体的には、特殊なマネキントルソーに洋服を着せてコーディネートし、それをAIモデルに落とし込んだのち、さまざまなポージングを生成する。背景の生成もできるので、カタログなどにもそのまま展開できるようになっている。もちろん、ボトムスだけを着せ替えるといった使い方も可能だ。AIモデルは、子供からシニア層まで、幅広い年齢で生成できる。また、実在するモデルを、AIを使って人種や年齢を変えて、幅広く活躍できるAIモデルとすることもできる。

 NTTドコモ・ベンチャーズとしては、NTTグループ内のdファッションに加え、ドコモグループとして、広告ビジネスといったマーケティングソリューションの一環として、幅広い事業機会を、クライアント、ユーザー向けに提供していきたいとしている。

 もう1社の出資先となるパラレルは、ドコモ・イノベーションファンドのスタートアップ投資として、過去最大の出資額となる。

 パラレルアプリは、オンライン上の「たまり場」のようなSNSとなっており、アプリ内で楽しめるゲームといったコンテンツを友達とプレイしたり、別のアプリを起動して動画を同時視聴するといった楽しみ方ができる。

 これまでほとんどプロモーションをしてこなかったサービスではあるものの、口コミを通してアクティブユーザーは増加しており、累計登録者数は400万人超。うち海外比率は25%、Z世代比率は70%にもなる。

 パラレル 共同代表取締役の青木穣氏によれば「NTTドコモが持つエンタメコンテンツと、パラレルのソーシャルが掛け合わされることで、大きなシナジーを生み出されることに期待している」とのこと。ドコモグループとは、dアニメやdブックといったコンテンツの連携を作りながら、将来的にはITをしっかりと作り、より深い連携をすることも視野に入れている。