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米国でPixel 8 Proに体温測定機能が登場

 今週、米国でPixel 8 Proの温度計アプリに体温測定機能が登場する。

 スマートフォンで人の額をスキャンすることで、体温を測定できる。臨床試験では、FDA(米国食品医薬品局)認可の側頭動脈温度計と比較して、36.1℃~40℃の範囲で±0.3℃以内の差で体温を測定できたという。

 グーグル(Google)は同社の公式ブログで、機能や開発までの様子を紹介している。

どのように構築されたのか

 温度測定には、物体が放出する赤外線を利用している。Pixel 8 Proには、背面カメラの隣に赤外線センサーが搭載されている。発売当初は物体の温度測定機能に使われていたが、今後は体温測定機能にも使われることとなる。

 体温測定の方法は、背面カメラを額に向けて、額を横切るように動かすだけ。Pixel 8 Proでは、額の中心に向けて使う精度の低い体温計とは異なり、側頭動脈をスキャンすることで体温を測定する。

 赤外線センサーは頂角130°以上の円錐形の範囲を感知するため、できるだけ額に近づけるとより正確な測定値が得られる。赤外線センサーからのデータは、Tensor G3チップを利用して温度を計算するアルゴリズムに届けられる。

 開発チームは、衛生的な観点から非接触での測定にこだわった。しかし、自分の額で測定する場合、画面を見ずにスマートフォンを適切な距離でかざすことは難しい。

 この問題を解決したのは別のPixelセンサーだった。通常はオートフォーカスに使われるLDAFセンサーを使用し、測定を開始する前にスマートフォンが人の額に十分に近づいているかどうか検出する。

 さらに、触覚と音声による指示を実装して、ユーザーが携帯電話を額を横切って側頭動脈を通過させられるようにした。

De Novo分類でFDA認可を取得

 体温計は医療機器であるため、米国でこの機能を公開する前に、FDAの認可を受ける必要があった。

 FDAのDe Novo分類(すでに販売されている同等の機器が存在しない場合に選択できる審査)のプロセスの一環として、多数の参加者を対象に臨床試験が行われた。

 FDAの助成金を獲得する上で、安全で使いやすいツールにすることが求められたという。旅行中や携帯電話の電波が届かない地域でも利用できるよう、インターネットに接続していなくても使えるようにしたり、あらゆる人にわかりやすい指示を実装したりする工夫がされた。