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衛星とスマホの直接通信サービス実用化に向け、ドコモなど4社が共同研究

 NTTドコモ、NTT(持株)、Space Compass、スカパーJSATの4社は、成層圏を飛行するHAPSを介した携帯端末向けの直接通信システムの早期実用化に向けた開発の加速と、実用化後の利用拡大を見据えた高速大容量化技術の研究開発を開始した。

 今回の取り組みは、情報通信研究機構(NICT)が公募した「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」に採択されている。

全体概略図

 NTTドコモら4社はこれまで、Beyond 5Gの実現に向け、空・海・宇宙などあらゆる場所へ通信サービスを提供する「超カバレッジ拡張」の検討を進め、HAPSを含めた非地上ネットワークと呼ばれる宇宙RAN(Radio Access Network)の構築に向けた研究開発を行ってきた。

 HAPSは、成層圏から空・海・地上に向けて通信サービスを提供するネットワークで、災害対策への活用や、離島や山間部、海上などのエリア化、それに伴うドローンや船舶などの利用範囲拡大といった、通信サービスの飛躍的な利便性向上が期待されている。

 4社の共同開発は、成層圏を無人飛行するHAPSを介してスマートフォンなどの通信端末へ直接通信サービスを提供するシステムの早期実用化や、高度化を目的に行うもので、HAPS機体を用いた成層圏環境の携帯端末向け通信実験を日本国内で実施することを目指すという。

 また、Beyond 5G時代におけるHAPSの普及とユースケース拡大を図るため、携帯端末とHAPS間の通信(サービスリンク)容量の高速大容量化や、HAPSと地上GW局の通信(フィーダリンク)を途切れさせない技術の実現、TDD周波数帯の活用など、システムの高度化を目指した開発にも取り組む。

各社の役割

 Space Compassは、同社が2025年に開始をめざすHAPS通信サービスの事業化を見据えており、今回の4社の開発における代表研究者を務める。また、将来のHAPS通信サービスのユースケース拡大に向けた要件定義や実装研究を開発する。

 NTTドコモは、「5G Evolution and 6G」に向けて、HAPSを含むNTN(Non Terrestrial Network)でカバレッジを空・海・宇宙へ拡張することも目的に、今回の開発を推進する。同社は、主にサービスリンクの高効率化や、大容量を実現する地上設備およびHAPS搭載型の基地局開発を行う。

 NTTは、フィーダリンクにおけるサービス品質向上のための制御技術を確立する。Beyond 5G時代のIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)戦略として宇宙空間のインフラ基盤の実現に向け、地上網と統合したNTNの技術を確立し、付加価値を提供することを目指す。

 スカパーJSATは、衛星バックホールや地上GWのマルチ接続による接続率向上など、フィーダリンクの代替方式について開発を行う。

出展情報

 今回の取り組みは、2024年1月17日よりドコモが開催する「docomo Open Houseʼ24」の「5G Evoloution & 6G」コーナーにて展示される。