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スマホにも載せられるAF速度10倍を実現するカメラレンズ、ペロブスカイト太陽電池」などシャープ「Tech-Day」で披露

 10日、シャープの同社初の大型技術展示イベント「SHARP Tech-Day」が開幕した。オートフォーカス速度が10倍になる新型レンズや次世代太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」など最新のテクノロジーが展示される。

10倍のAF速度を実現

 オートフォーカスが従来の10倍の速さになるという展示は、「ポリマーレンズ」を搭載する次世代のカメラモジュールを紹介するもの。

 低消費電力などのメリットがあり、SHARP Tech-Dayではスマートフォン用のものが展示されていた。

 その構造は、レンズが3層になり、中央にポリマーレンズを置くというもの。

 「ポリマーレンズ」は、磁石での制御部をなくし、2枚のガラスでゲル状のポリマーをはさみ、電圧を変えることで厚さを変える仕組み。これにより高速化を実現した。試作品かと思いきや、ブース担当者によれば、要望があれば提供する体制が整っているという。

 また、別の活用例として紹介されていたのは、VRでの応用だ。

 従来のカメラでは、VRグラスで周囲の景色もあわせて表示するパススルーモードを通じて映像を視聴するとオートフォーカス速度などと着用者の感覚の違いからいわゆる「VR酔い」を起こしがち。

 シャープが開発した技術では、従来の10倍以上のオートフォーカス速度と画角の維持でVR酔いの低減が期待される。

日光下でもはっきり見えるARを実現、「マイクロLEDディスプレイ」

 ARグラスへの採用を見込む「マイクロLEDディスプレイ」は、これまでよりも明るい表示の実現に期待が高まる。

 ARグラスのディスプレイは有機ELなどが一般的。太陽光の下などでは光に負けてしまい暗さを感じる場面も少なくない。同社が開発中のマイクロLEDディスプレイは、屋外でも十分な明るさを確保でき、高画素化できることが期待される。

 会場では0.38インチ、表示密度1000ppiのものが展示された。1000ppiのものではフルカラー表示を実現しており、今後はより高密度表示が可能な3600ppiでのフルカラー表示を実現すべく開発を進める。

窓で発電? 「ペロブスカイト太陽電池」

 次世代の太陽電池として注目を集める「ペロブスカイト太陽電池」の一部が展示されている。

「構造B」のペロブスカイト太陽電池。黒い部分がセルだが、向こう側が透けて見える

 ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池技術として注目を集める。「ペロブスカイト」と言われる結晶構造の化合物をガラスなどに塗布するもので、軽く柔軟性が高いことが特徴でシリコン電池よりも低いコストでの生産にも期待される。シャープでは「構造A」と「構造B」という2種類の仕組みを用意した。

 構造Aは高効率化しやすいことが特徴で現時点で20%ほどの変換効率を実現している。従来型のシリコン電池と組み合わせることで、30%超の高効率化を目指す。これにより接地面積が限られる場所でも発電したいというニーズに応える。一方の構造Bは、大面積化しやすく、黒い電池のセルの隙間から向こうが透けて見える。セル間には透明な電極が配置されている。これまでは難しかった窓での太陽光発電などが実現できる可能性がある。

 目下の課題は変換効率の向上。2026年には構造Aで30%ほどの効率を実現することを目指しており、そのうえで商品化を進める。