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KDDIなど3社、「ペロブスカイト太陽電池」活用の基地局の実証へ――20年代後半の実用化目指す

 KDDIとKDDI総合研究所、エネコートテクノロジーズの3社は、ペロブスカイト太陽電池を用いた地球環境に配慮した基地局の実証実験を、2024年2月から群馬県で開始する。2020年代後半での実用化を目指す。商用基地局でペロブスカイト太陽電池を用いて運用する実証実験は国内初という。

ペロブスカイト太陽電池活用の基地局のイメージ

 同社が進めている「サステナブル基地局」の一環。太陽電池を用いて消費電力を低減することで地球環境への負荷軽減を図っている。CO2削減に寄与する一方で、太陽光パネルの接地面積が大きいといった課題がある。ペロブスカイト太陽電池はペロブスカイトという結晶構造の化合物を用いる仕組みで、「曲がる太陽電池」として複数のメーカーが開発を進めている。一般的なシリコン製などの太陽光パネルでは不可能な、曲げて設置するといった柔軟性の高い運用が可能になる。

 KDDIでは、ポールにパネルを巻き付けて設置するという運用方法を示している。これにより、風による影響を軽減する。あわせて銅やインジウム、ガリウム、セレンなどの化合物を用いるCIGS太陽電池の実証も同時に進め、発電効率などの比較も行う。実証は2024年から開始し、最大でおよそ1年間を想定。発電効率や太陽電池の耐久性などを確認し、2020年代後半の実用化を目指す。敷地の広さを十分に確保できる場所では、長年の実績がある従来型の太陽電池を使い、反対に十分な土地を確保できない場所では、ペロブスカイト太陽電池を用いるなどの使い分けを想定している。

 KDDIによれば、同社が排出する、年間でおよそ94万トンのCO2のうち半分ほどが基地局関連による。基地局の省電力化が課題となるなかで、今回の実証を通じてサステナブル基地局の拡大を図り、カーボンニュートラルへの取り組みを進めるとしている。