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ソフトバンクとEnpower Japan、全固体電池の高エネルギー密度化に成功

 ソフトバンクとEnpower Japanは、リチウム金属負極を用いた全固体電池セルで、重量エネルギー密度300Wh/kg級まで高める技術開発に成功した。

 両社は、IoT機器や携帯電話基地局などでの使用を想定し、エネルギー密度が高くて軽い大容量の次世代電池の研究に取り組んでいる。

 現在、スマートフォンやタブレットなどにも使われ広く普及しているリチウムイオン電池では、イオン伝導体として有機電解液を用いるのに対し、全固体電池は固体電解質を用いる。

 全固体電池は、リチウムイオン電池の課題である電解液の発火や、液漏れなどのリスクが低く安全とされる。また、固体電解質は電解液と比べて寿命が長く、温度変化に強くなるなどの面で期待されている。

 一方で、全固体電池には界面形成と重量増加という課題がある。固体電解質は、正極活物質‐電解質の界面の密着性が低くなるほか、イオン伝導に関わる界面抵抗の増加が原因で、電池容量の減少や出力特性や寿命特性の低下が起こる傾向があるため、電極材料と固体電解質の間に良好な界面を形成する必要がある。

 また、リチウム電池で用いる電解液と比較し、比重が大きい固体電解質を使う全固体電池は、重量が増加するため重量エネルギー密度がリチウムイオン電池よりも低くなる傾向があった。

 こうした課題解決のために、ソフトバンクとEnpower Japanは、正極‐固体電解質層の界面抵抗の低減や、正極合材中の固体電解質の重量比削減、固体電解質層の薄膜化などの技術開発に成功し、重量エネルギー密度を300Wh/kgまで向上させた。この数値は、従来のリチウムイオン電池セルの最高値と同等という。