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カメラ極めたXperia 1 V、「初めて触れるソニー製品」としての役割

 ソニーは、同社のAndroidスマートフォン「Xperia 1 V」「Xperia 10 V」の製品体験会をメディア向けに実施した。

ソニー 濱口氏

カメラ性能に磨きをかけた「Xperia 1 V」

 プレゼンテーションの場には、ソニー モバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長の濱口務氏と同 共創戦略推進部門 モバイル商品企画部の滝沢宏樹氏が登壇し、Xperia 1 VとXperia 10 Vについて説明した。

左=ソニー 濱口氏、右=滝沢氏

 Xperia 1 Vのメインカメラのイメージセンサーには新たに「Exmor T for mobile」を採用。トランジスターとフォトダイオードが2層に分かれた構造により、それぞれの部品の面積を拡大。Xperia 1 IVとの比較で、低照度環境での性能がおよそ2倍向上した。iToFセンサーに変わり、AIによる深度推定を採用したことで、遠くの被写体や黒っぽい被写体でも高精度なオートフォーカスを可能にした。

 人肌をより美麗に撮影できる「S-Cinetone for mobile」を新たに搭載。同社の業務用カメラに搭載される技術を活用したもので、人物の撮影をより豊かにするなどクリエイターに向けた性能を高めている。

 Xperia 10 Vについても、フロントステレオスピーカーを新たに搭載するなど性能を高めた。カラーバリエーションは同社のワイヤレスイヤホン「WF-C700N」と統一できるといった楽しみも設けられている。

 発表の場には、ビデオグラファーのAUXOUT氏とフォトグラファーの6151氏も登場。ともにXperia 1 Vのカメラ性能について高く評価した。

AUXOUT氏
6151氏

グループを上げて開発

質疑応答の様子。左から滝沢氏、濱口氏、大澤氏

 搭載されるイメージセンサーは、新開発のものが用意された。2層積層型のセンサーはスマートフォンとカメラの両カテゴリーにおいて初という。これについて滝沢氏は、低照度環境での性能向上が狙いだったと説明する。

左=Xperia 1 Vのセンサー。右=Xperia 1 IVのセンサー

 前モデルのXperia 1 IVでは、1/1.7インチセンサーを搭載。同氏は「市場の声として、AF性能の評価が高かった。そこにこだわりもあり、暗所での性能も向上したいという想いもあった。センサーサイズを大型化する案もあったが、スマートフォンとしてのデザイン性を維持するなかで、ソニーセミコンダクタソリューションズが1/1.3の2層積層技術を開発し、タイミングがあった」と経緯を明かした。

 販売の面でも変化があった。例年、Xperiaではキャリア向けモデルに数カ月ほど遅れてSIMフリーモデルが発表されるのが通例となっていた。今回は、キャリア向けモデルとあわせてSIMフリーモデルも告知された。

 これについて、ソニー モバイルビジネス本部 執行役員本部長の大沢斉氏は、競合他社を含めた市場環境やソニーを取り巻くビジネス環境の変化、ユーザーの要望にあったと説明する。SIMフリーモデルの普及や通信会社を乗り換える際のコスト低減など、従来とは環境が大きく変化したことから、SIMフリーモデルを望む声が多くなったとみられる。

ハイエンドモデルを重視する理由

 一方で、スマートフォン市場は全体として停滞期を迎えている。高価格化やキャリア販売での値引き規制の影響で、ハイエンドモデルでは特に難しい選択を迫られるなか、ソニーは特にハイエンドモデルを重視した戦略を採っている。

 円安や原価高騰など厳しい環境にあることを示しつつ、あえてハイエンドモデルにこだわる理由を濱口氏は「Xperiaが目指す方向を『好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを』としてものづくりを続けてきた」としたほか、ソニーが目指す方向性として「クリエイターエコノミーを全社グループとしてターゲットとして考えている」と説明する。「高付加価値のモデルを優先し、そこでしっかりと収益率を高めながらビジネスを進めたい」と、機能性で製品の魅力をアピールする考えを明かした。

 撤退に進むメーカーもあるなかで「クリエイターエコノミーをターゲットにして、しっかりと今後もビジネスを続けていく」と語った。

 さらに、Xperiaについて「ユーザーが初めて触れるソニー製品になる可能性が高い」とも認識を示す濱口氏。若年層に使ってもらうことで「クリエイターを育成する」とその役割を位置づける。そのうえで「上位の製品やそのほかのサービスなどを利用してもらえるよう目指したい」とした。